【ショートショート】最後の日記のページ
注意!
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
この作品には画像生成AIを使用して作成した画像を使用しています。
以上を踏まえた上でお読みください。
澤村拓也は、ある日、ふと立ち寄った古書店の奥深くで、ひときわ色褪せた表紙の日記を見つけた。
その日記は、誰かの手によって丁寧に書き込まれた古びた文字で満ちており、澤村はなぜかその日記に強く惹かれた。
日記を手に取ると、彼の心は不思議な安堵感で満たされた。
これが、彼の人生を変える出会いとなるとは、その時の澤村には想像もつかなかった。
澤村はかつては才能を評価され、若手の頃は将来を嘱望された作家だった。
しかし、時間が経つにつれ、新しいインスピレーションを見出すことが難しくなり、彼の作品は次第に世間の注目から遠ざかっていった。
そんな折、この古い日記を手に入れたのだ。
日記を開いてみると、そこには未来の出来事が予言されているかのような記述が綴られていた。
最初は偶然だと思っていた澤村だが、日記の予言が次々と現実のものとなるのを目の当たりにし、彼はこの日記の不思議な力を信じざるを得なくなった。
そして、彼はその日以降、日記の予言に従って、新しい小説のアイデアを得るようになっていく。
その結果、久しぶりにヒット作を出版し、一躍時の人となった。
しかし、成功の影で澤村の心は徐々に重くなっていった。
澤村は自分の成功は自分の才能によるものではなく、日記の力に依存しているという事実に苦悩するようになっていった。
日記に書かれていなければ、何も書けない自分に気づき、作家としての自信を喪失していく。
日記の最後のページに近づくにつれ、澤村の不安は頂点に達する。
彼は何度も最後のページを開こうとしては躊躇い、恐怖に震えた。
しかし、ある夜、彼はついにその勇気を振り絞り、日記の最後のページを開いた。
そこには「この日記を読んだ者は自らが書いた最後のページを迎える」と記されていた。
この言葉を目にした瞬間、澤村は深い絶望に襲われた。
彼は自分の終わりを迎えることになるのか、と。
しかし、その夜、澤村はペンを手に取り、自分の終わりではなく、新たな物語を書き始めた。
彼は自分の人生や作家としての旅路を振り返り、自己の内面と向き合う。
書き進めるうちに、彼は自分の真の才能と再び向き合う勇気を見出し、その物語は彼のこれまでの作品とは一線を画す深みと感動を持つものとなった。
完成した小説を前に、澤村は突然の啓示を受ける。
この「終わり」は、彼の死を意味するのではなく、作家としての自分を見失っていた過去からの脱却、新たな始まりを意味していたのだ。
実際に彼が書き上げた小説は、彼のキャリアで最も売れた作品となり、それは彼にとっての「終わり」ではなく、新たな始まりの証となった。
以上でこの物語は終幕となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。