【ショートショート】永遠の仮想迷宮
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
美咲は毎晩、現実の苦しさから逃れるためにVRゲームの世界に飛び込んでいた。
上司の嫌がらせや孤独な生活から逃れる唯一の場所だった。
しかし、ある夜、ログアウトボタンが忽然と消え、心臓が凍りつく恐怖が襲った。
さらに、ゲーム内のキャラクターたちが彼女の過去を知っているかのように話しかけてきた。
「美咲、あなたはもう戻れない」と冷酷な声が響いた。
ゲームマスターが現れ、「これは政府の実験で、あなたの記憶と意識は操作されている」と告げた。
美咲は混乱し、恐怖で震えながら「どうすれば戻れるの?」と尋ねた。
「システムを停止させるしかありません」とゲームマスターの言葉は冷たかった。
美咲は恐怖を振り払い、秘密のファイルを探し始めた。
暗号化されたデータ、迷路のようなプログラム、襲いかかるセキュリティロボット。
数々の罠をくぐり抜け、ついにシステムの中枢にたどり着いた。
最後のボタンを押す瞬間、手が震えた。
「これが本当に現実なの?」
自問する暇もなくボタンを押した。
次の瞬間、彼女は自分の部屋で目を覚ました。
しかし、VRヘッドセットはまだ装着されたままで、画面には「次のレベルへようこそ」と表示されていた。
メッセージには「最終レベル: 永遠の迷宮」とあった。
「なんてこと……これじゃ、終わりがないじゃない……」
美咲はヘッドセットを外し、深く息を吸い込んだ。
目の前には見覚えのない部屋が広がっていた。
「ここは……どこ?」
彼女の胸は不安でいっぱいになった。
すると、頭の中に冷たい声が響いた。
「おめでとう、美咲。次のレベルに進みました。これが現実かどうか、確かめる方法はありませんが…」
美咲は絶望の中で気づいた。
彼女は永遠にこの迷宮から逃れられないのだ。
彼女が最後に見たのは、鏡に映る自分の姿が、ゲームマスターに変わっていく瞬間だった。
最後まで読んで頂きありがとうございました。