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【ショートショート】死神の問い

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

ある夜、突然現れた死神が、平凡な男に問いかけた。


「お前に2億円を渡そう。欲しいか?」


男は驚きつつも、「もちろん欲しい!」と答えた。


死神はにやりと笑い「では、2億円を渡す代わりに、明日の同じ時間にお前の魂をいただく。それでも良いか?」と尋ねた。


男は一瞬怯み、震える声で答えた。


「それならいらない」


死神は首をかしげ、少し考え込んだ後に言った。


「よく、悪魔に魂を売ってまで金が欲しいと言うのに、なぜ死神に魂を差し出すのは嫌がるのだ?」


男は深呼吸し、静かに答えた。


「金はこれからの人生を楽しむために必要だ。でも、命がなくなればその未来は無意味だ」


死神はしばらく考え込み、やがて静かに笑った。
「なるほど、それが人間の選択か」
そう言うと、ふっと消え去った。


翌朝、男が目を覚ますと、普段と変わらない朝が訪れていた。


そして不意に、死神の声が耳元に響いた。


「お前は2億円を断ったが、それはお前の一生分の稼ぎだ。これからの人生で、その選択がどれだけの価値を持つか、よく考えろ」


男はその言葉に打ちのめされ、残された時間で2億円を超える価値を自分が作り出せるのかを深く考え始めた。


彼は毎日、自分の仕事、人間関係、夢に新たな視点で向き合うようになった。


金では得られない真の価値を見つけるために、彼は人生の本当の豊かさを模索し続けたのだった。


「しかし、その価値を証明するために、俺はどれだけの時間を犠牲にすれば良いのだろうか?」


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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