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【ショートショート】完璧なる自由への計画

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

7:00 起床

目覚ましのアラームが鳴る前に目が覚める。
カーテンの隙間から朝の光が差し込んでいる。

スマホを手に取り、ToDoリストを確認する。

7:00 起床
7:05 歯磨き
7:10 朝食
8:00 仕事開始

「よし、完璧だ」

一日の計画を眺め、満足する。
これで今日も理想的な時間が流れるはずだ。

完璧な一日。
完璧な人生。

しかし、ふと疑念がよぎる。

もし、予定がズレたら?

11:55 トイレ

時計を見る。

──11:54!?

まずい、あと1分しかない。
急いで立ち上がり、トイレへ向かう。

だが、その途中で気づく。

「11:58 トイレ退出」に間に合わない。

となると、12:00 昼食にも影響が出る。
昼食が遅れれば、12:30 資料作成13:00 会議準備も……

崩壊する。

一つのズレが、すべてを壊す。
計画の鎖が音を立てて断ち切られるような感覚。

📱 ToDoリスト更新中...


☑ 12:30 予定の修正
☑ 12:45 パニックを回避
☑ 13:00 精神を安定させる
☑ 14:00 失敗を取り戻す

落ち着け、落ち着け……
大丈夫、すぐに修正すれば──

画面が揺れる。
スマホのリストの文字が滲んで見える。

時計の秒針の音が、異様に大きく聞こえる。

「……おかしい」

ToDoリストを整えるために、ToDoリストを更新している。

これは、計画なのか、それとも呪いなのか?

23:00 就寝

布団に横たわり、スマホを握る。

「明日は、もっと余裕を持たなければ」

そうだ──自由が必要だ

📱 ToDoリスト更新中...


☑ 9:00 〜 10:00 自由時間
☑ 9:00 何をするか計画
☑ 9:15 計画を立て直す
☑ 9:30 計画を実行するための準備をする
☑ 9:45 計画に沿って自由に過ごす
☑ 10:00 自由時間終了

スマホの画面を見つめる。

「……よし、完璧だ」

完璧な自由時間の計画が、できあがった。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
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