5年間の空白を埋めよう。歯医者と私。

　今日はホテルに宿泊しているので、書き溜めていた記事を投稿しました。

　先日歯医者に行った。高校1年生の時に歯列矯正を始め、大学1年生の頃には矯正がほとんど終わり、1年に1度定期健診で来てくださいね、という状態だった。その辺りで行くのが面倒になり、行かなくなった。1年に一度の定期健診の案内ということは、直接矯正には関係ないだろうと考えたためだった。

　気が付いたら5年もの歳月が経ってしまっていた。それまで別段困ったことがなかったので放っておいたのだが、今年になって奥歯の奥の歯茎に穴が開いていることに気づき、これは何か不味い気がする、と同じ歯医者を予約した。

　5年行っていなかったので、治療室の様相が若干変わっていた。マイナンバーを置く機械も置かれていた。なんだか治療の椅子が綺麗になっていたり、うがい用の水が勝手に出てくるあの機械がハイテクになっていたので、へ～なんだか儲かっているのかな、と思った。(下世話)
　主治医の男性と助手の女性の、緊張感のある嫌味なやり取りは変わっていなかった。　

　高校生の時、治療を受けている際に目にする器具が怖いのと、ライトが明るいからという理由でタオルで目を隠してもらっていたが、それが言わずとも継承されていて驚いた。

　治療を受けている1時間、ただただ怖かった。何をされるんだと思った。(悪いのは自分なのに。)完全にまな板の上のコイだった。
　先生が何を言っているのか、全く分からないというのがこんなに怖いのかと思った。どうやら5年放置した口内は自分が思っていたより状況が悪いようで、助手さんがああだこうだ話しているのが何となく聞こえる。聞いたことがない言葉が頭の上を行き交い、同じ空間にいるのに、分かる言葉が何もない。言葉の断片を繋ぎ合わせてもこれから何をするのか、イメージが何もできなかった。
　病院なら「胃が」と聞こえれば「ああ、胃か」と思うし、「癌が」と聞こえれば「ああ、癌か」と思うことができる。歯医者はそれが全くない。何が悪いのか、何を使って何を治すのか、分からないことだらけでパニックになった。
　なんとか治療を終え、今後の治療スケジュールを決めた。あと何回か通うことを考えるとまあそれなりにお金がかかるだろうが、自業自得だ。
　奥歯の奥の穴ぼこは親知らずらしい。これが世に聞く親知らずか、と思った。まだ抜いていない。

　私が通っていなかった5年間、ここの先生たちは私の知らない5年間をこの歯医者で過ごしていたんだな、と思うと変な気持ちになった。
　私は空白の5年間の歯医者のことを知ることはできない。でも歯医者は歯を見れば、5年といわず、高校1年生から24歳の今日までの私のことが分かるのだ。それって何だか嫌だ。嫌だな・・。

今度こそ、ちゃんと・・・。