☆手足口病
手足口病は夏に流行る病気ですが、私の勤めている病院で最近手足口病の患児が多く見受けられます。
なので少しでも病態を知っておくことで、早めに対処できると思うので参考にしていただければ幸いです。
○手足口病とは
手足口病は主に「コクサッキーA6ウイルス」「コクサッキーA10ウイルス」「コクサッキーA16ウイルス」と呼ばれるコクサッキーウイルスA群と「エンテロウイルス71」というウイルスが原因で起こります。これらのウイルスの特徴は胃腸炎を起こしやすいウイルスです。
5歳以下の乳幼児にかかりやすい疾患です。まれに大人も感染することがあります。
○感染経路、予防対策
このウイルスはウイルス保持者のツバなどからうつる飛沫感染と、便からうつる経口感染によって人から人に感染します。水疱から直接感染する場合もあります。また、ウイルスに汚染されたものを触ることで感染する接触感染です。
唾液からの感染力は通常、1週間未満、便による感染力は長く、2~4週間に渡ってウイルスが排出されるので、子どもの排便後は保護者も含めてしっかり手洗いをする必要があります。手洗いなどの基本的な予防がしっかりできていれば、集団感染予防のための隔離などは必要ありません。
○症状
手足口病は名前の通り手・足・口の中だけに、水を持った発疹(水疱)が見られるのが特徴です。主な症状は以下の通り。
◦発熱、あっても軽度な場合がある
◦食欲低下(口のなかに口内炎のようなものができるため)
◦倦怠感
◦口内痛
◦水をもった湿疹(水疱)、治っても、あまりカサブタになりにくい
○潜伏期間・治るまでの期間
ウイルス感染から発症までの潜伏期間は3~5日。初期症状では口内に痛みを感じるだけですが、1~2日後には手足に発疹が出てきます。中に水が溜まった発疹なので水ぼうそうと勘違いする方も多いようですが、手足口病の場合はお腹や背中には発疹が出てこないので、簡単に区別することができます。ただし、乳児の場合はお尻にも発疹が出ることがあります。
見た目の症状として最初に現れるのは、口内の白い点々。その後、歯ぐき、舌、ノド、手の指の間、手のひら、手の甲、足の指の間、足の裏などに同様の点々ができ、水疱に発達していきます。
ウイルスの種類によっては、肘を越えて脇ぐらい、膝を越えて足のつけ根ぐらいまで、また、肘や手首に集中していたり、膝や足首に見られることもあります。さらに、ひどい場合では、爪がはがれることもあります。治れば、多くは爪は生えて元に戻ります。この現象は、コクサッキーA6型で見られます。
手足にはあまり痛みの症状は出ませんが、口内は痛みが出やすいのが特徴です。物を食べる時にしみることが多いので、食欲が低下してしまう子どもも少なくありません。口内炎ですから、よだれが非常に多くなります。
発熱がなくて、手足にあまり湿疹が無くてもよだれの多さで気づかれることがあります。
食欲低下によって、脱水症状を引き起こすこともあるため。食事量が軽減していくようであれば早めに病院受診強いておく必要があります。
発症から5日目~10日目くらいから手足の皮が剥けてきます。痛みはそこまで内と思います。でも皮がむけると気になって触ってしまうと思います。とくに有効な薬剤もないため触らず回復するのを待ちましょう。