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合わせるのか自分のペースか
オヤジブログ怪気炎 vol.295
演劇公演や映画やコンサートに行く。上演・上映時間中や演奏中は席を外せない。お金を払った対価として、その時間が演技・映像や音楽で満たされていく感覚を受け取っているのです。その時間内は演じ手・映画や演奏者のペースで時計の針が進むことを了承している。再放送は別として一般的にはダイジェスト盤なんてない。
反対に自分のペースで鑑賞できる表現が、美術館や読書。大混雑で行列を作っていなければ、美術館で名画や作品を鑑賞する時間の自由度は高い。私が息子と美術館に行くと、彼はいつまでも作品の前で佇んでいるので、驚いてしまう。
日常の読書もペースを自分で配分できます。斜め読みや速読法などというスキルが紹介されているが、ゆっくり読みたい所はゆっくりと、さっさと要点だけをかいつまんで読みたい時はさっさと読めばいいので、読む速さは読み手任せなのです。
それでも字を追う時間が惜しい場合があるでしょう。ボクの投稿はだいたい2〜3分あれば読める長さなのですが、一応意図的にやっていて長くなると分けています。ポピュラー音楽も一曲がだいたい3〜4分で収まるように作られていますが、これも意図的でしょう。
音楽でも最初から最後まで1時間を越すような大作は、時間に余裕がある時に覚悟して鑑賞すべきなのです。
現代は、演劇も音楽も短い時間でどのくらいインパクトを残せるかで勝負しているような気がします。寄席芸はだいたい一人の演者の持ち時間が15分。わずが15分でも飽きてしまう人がいるので、高座に上がる人は大変です。漫才が短い時間で勝負している良い例でしょう。 M1グランプリは決勝戦でさえ持ち時間が4分しかありません。いかにスピーディーにお客様を沸かせるかが鍵なのですね。
世の中が全体的に時間を惜しみ、コンパクトに済ませようとしている昨今。自ら緩急自在のペース配分を工夫して、浸るときはゆっくり浸り、時間が足りない時でも美味しいところや要点は逃さずに、さまざまな表現を味わい楽しんでいきたいと思います。