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ペイシストラトス

世界史の「この人、気になる!」2

オヤジブログ怪気炎 vol.157

今日の主人公ペイシストラトスは僭主。非合法な手段で権力を得た者を指し、一般的に暴君と同じ意味であります。
しかしながら、それは貴族側からの言い分であり、貴族でない他の階級から見れば、そんなに悪いことでもなかった。当初彼は山地党を率いて政敵と争うが、山地党を支持していたのは貧農や牧人であった。自ら腕を傷つけて、政敵からやられたと訴え、護衛の兵を確保するあたりが、権力を得るためなら何でもする人間という感じ。
僭主は独裁者なので思い通りにできるが、もちろん民主的であるとは言い難い。この思い通りに行った政治が、実は合法的で彼の政治が続いた理由であり、アリストテレスからも評価されている。独裁者が貴族とその他の人々との間にある階級の差を取り払い、平等の実現に向けた一歩を踏み出しているという結果を産んでいるのだ。
政治は彼の息子ピッビアスに引き継がれたが、マラトンの戦いで有名なペルシアとの戦争で息子はペルシア軍を先導するなどして、失脚する。
僭主の存在に懲りたアテネは、クレイステネスの改革によりついに民主政の実現を図るのであります。
独裁者=悪。今の教育はその定義を子どもたちに刷り込んでいる。しかし、なぜどうして、そこまでして民主政治を望んだのか、ボクらが古代アテネの政治史から学ぶ部分はあるでしょう。

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