ヴァンダル人の王 ガイセリック
世界史の「この人、気になる!」10
オヤジブログ怪気炎 vol.169
アッティラと同時期に西ローマ帝国の脅威となった人物がガイセリック。ヴァンダル人の王です。西ローマ帝国は北からはアッティラ、南からガイセリックと二つの敵を抱えていたのですね。
フン族の侵入により移動せざるを得なかつた(逃げてきた)ゲルマン人の中でもヴァンダル人は、一旦アンダルシア地方にコシを落ち着けたものの、何とジブラルタル海峡を渡って北アフリカに侵入し、さらにカルタゴを奪ってしまう。カルタゴはローマ帝国の軍事経済面での重要拠点であったから、さぁ大変。
ヴァンダル人の王ガイセリックはローマにも攻め入っているのです。あの名将軍ハンニバルでさえ攻略が難しかったローマを落としているのですね。(守るローマ帝国側にスキピオのような戦略家がいなかった・・)
ちなみにアフリカに攻め入った時にヒッポという城塞都市を包囲して攻め落としているのですが、その時にヒッポにいたのが、このシリーズ7に登場したアウグスティヌスで、この聖職者を飢餓に追い込んだのは、ガイセリックなのです。
ガイセリックをただ巧みな戦略家として捉えるのは早計です。キリスト信仰をめぐるアリウス派とカトリックの対立の調整にも政治力を発揮しています。さすが一代にして放浪の身から王国を築き上げた人物ですね。
彼は88歳まで生きて、西ローマ帝国の滅亡を見届けています。海賊的に地中海を荒らし回り帝国衰弱の原因を作った人物の一人です。