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ヤン・フス 正統と異端

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オヤジブログ怪気炎 vol.193

王朝は血縁関係によって正統性を主張し、継承者が途絶えると、その王朝も終わりを告げる。
ところが宗教における正統性は、時代によってかなり揺らぐように感じる。ヤン・フス は、ウィクリフの影響を受けて、カトリックが与える贖宥状のあり方に疑問をもつ。今日的な視点からは、利権金権まみれとしか思えない状況を批判して、原点である聖書に戻ろうとしたのだ。その聖書さえもウィクリフが英訳版を出す前は、カトリックによって独占されて、一般の人が聖書の記述に直接ふれる機会はなかったのだ。ウィクリフやフスは後の世にルター達によって推進された宗教改革の先駆者と言われるが、フスの最期は何と火あぶりの刑なのだ! ウィクリフの場合もわざわざ墓を掘り返されて焼かれている。
権威とは、絶えず自らが正当化されていないと危ない。それを批判する者を異端と決めつけて、徹底的に攻撃・排除するのだ。
カトリック本体はその後の自己改革により、今は中世の愚を繰り返していないが、足元の日本でも最近、元首相の暗殺事件に絡んで宗教団体への献金のあり方が問題視された。
何を以て正統を主張するのか、なぜ異端視されるケースがあるのか、私たちは絶えず注意深くそれぞれの立ち位置を見つめていなければならない。

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