江戸時代という近世
オヤジブログ怪気炎 vol.285
大河ドラマが蔦谷重三郎を取り上げるらしい。彼と繋がりのある文化人は大勢いるのだから、元気いっぱいの江戸文化史物語が展開するのでしょう。
古代〜中世〜近世という時代区分では、江戸時代は近世にあたる。続く明治からは近代であります。
欧米史では、近世は絶対王政による主権国家の時代で、産業革命・市民革命以前とされています。つまり工場はマニュファクチャ、経済は商人が豊かになり、王権を揺さぶる力を持ち始めている時代です。
江戸時代と比べてみると、いろいろな点で類似している気がします。幕藩体制による国は、ヴェストファーレン条約以降の神聖ローマ帝国で小国家が乱立している様子に少し似ています。日本の場合は藩の上に将軍が鎮座していたわけですが。
産業面は借金まみれの武士階級の首根っこを商人が押さえつけていた関係に似ていますし、大規模ではありませんが職人は技能を高めて、クォリティーの高い製品を生み出していました。
そして文化。草書のカナ文化のため活版印刷こそ広まりませんでしたが、木版印刷によって多くの人が本に親しんでいました。蔦谷重三郎の活躍ですね。
明治に、急速な近代化を成し遂げた背景に江戸時代が近代を準備していた事実を、今回の大河ドラマは教えてくれるかもしれません。