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ダンテの遍歴
オヤジブログ怪気炎 vol.218
世界史気になるシリーズ 33
作家で詩人で、しかも政治家という御仁がいらっしゃる。最近の日本なら青島幸男。中世ヨーロッパならゲーテ。
今回のダンテもその一人です。彼の「神曲」は世界文学の最高峰と言われる名作ですが、実は作品の中に彼の実体験が挿入されているのです。
ダンテが9歳の時、同い年の少女ベアトリーチェに出逢います。いわゆる一目惚れですかね。早熟な彼はベアトリーチェを大好きになるのです。9年後再会するのですが、彼女にそっけない態度をとってしまい、彼女への片思いが告白されることはありませんでした。ベアトリーチェは他の男性と結婚して子どもを育てます。
神曲に出てくるベアトリーチェは、ずばり彼女の名前なのですね。名作に登場する名前は実在の人物だったのです。
さて、小貴族として成長したダンテは、ブルネット・ラティーニに論理学や修辞学を学ぶが、この先生も人物として登場してくる。やがてボローニャ大学に進んだダンテはカバルカンティと出会い、詩作について大いに刺激を受ける。よき友であり師匠でもあったようです。
この頃のイタリアは教皇派と皇帝派に分かれて戦っており、ダンテのいたフィレンツェは教皇派だった。実祭の戦場での模様が神曲の地獄の鬼として描かれている。
そしてフィレンツェの政権を握る白党と黒党の争いに巻き込まれる。ダンテは白党に属し、リーダーの1人として政治に参加する。しかし、クーデターにより黒党に主導権を奪われ、故郷フィレンツェから永久追放されてしまう。
他の白党の仲間とも袂を分かち、一人一党として流浪生活が始まる。大作神曲の創作に入ったのもこの頃です。1318年ダンテはラヴェンナの領主の元に身を寄せて、子どもを呼び寄せ、神曲の最後の仕上げに取り掛かる。
外交使節としてヴェネツィアに赴いた際にマラリアに罹患し亡くなる。流浪の身のダンテがフィレンツェの地に戻ることはなかったのです。