千夜一夜物語の王様 ハールーン・アッ=ラシード
オヤジブログ怪気炎 vol.237
世界史気になるシリーズ 47
イスラムの英雄たち①
私たちは知らず知らずのうちにヨーロッパ的な視点に感化されてしまっている。例えば地名。中東、中近東、極東などというが、どこから見て東なのかと言えば、それはヨーロッパから見てというこなのです。トルコの辺りを小アジアと呼ぶのも、ギリシアから見て東の方角をアジアと呼んでいたからなわけです。
イスラム諸国とイスラエルが戦闘状態にありますが、歴史上何度も繰り返されている悲劇です。十字軍側から見た歴史が語られることが多い気がするので、今回はイスラムの英雄について調べてみました。
アッバース朝最盛期の第5代カリフが、ハールーン・アッ=ラシードです。東ローマ帝国との戦いに何度も勝利し、インドの王やカール大帝の使節とも会っている。彼の治世下でアッバース朝は版図を最大に広げます。
ただ戦闘が得意だったわけではありません。エジプトのアレキサンドリアにあったムセイオン(=王立研究所)のギリシア語の文献を、バグダードに移しアラビア語に翻訳する研究施設を作っています。名付けて「知恵の宝庫」。vol156で紹介した紀元前7世紀のアッシリアのアッシュル=バニバル王も図書館を作っていましたね。知っていたのでしょうか? 9世紀初めは、バグダードが世界の文化の中心であったのですね。
アラビアンナイト(千夜一夜物語)にも、夜な夜なバグダードに繰り出す風流な君主として登場します。