癇癪持ちの元でスネ夫になる

 前に書いた熱海のコンパニオン宴会慰安旅行に誘ってくれた工事長がものすごい癇癪持ちだった。社会に出てからこの人以上の癇癪持ちには会ったことが無いと断言出来る。とにかくすごい。

 業務上色んな方と調整しないとならない。建築コンサル、土木コンサル、電気担当、ネットワーク担当、施工業者…。この全方位に対して気に入らないことが少しでもあるとブチ切れる。疲れないのかな?

 ただこの工事長は頭がすごくいい人なので言ってることは合っている。瞬時に状況を把握してどこに問題があるかを突き止めて猛攻撃する。だから誰も反論出来ない。反論したらもっと熱くなるからね。
 本人も自分が大声出したら誰も歯向かえないという驕りがある。仕事するには最低なヤツだね。

 単純に関わり合いたくないタイプだが、私はこの人サイド、仲間扱いだ。ブチ切れられることは一回も無かった。それでずっと一緒に仕事をしていると私も悪い考えが浮かんでこの工事長のたちの悪さを利用し始める。

 業者から書類がなかなか出ない時に工事長が怒ってるんですよまずいですなんて言うと2週間待っても来なかった書類が午後に来たりする。
 怒っているパターンをいつも使うと飽きるから今日は機嫌がいいので今のうちに出してもらえれば私のほうから書類の処理出来るようにしますんでとか言う。面白いように書類が提出される。ウチの親分を怒らせたくなかったらちゃんとしろよという圧力。
 書類作成なんてあんなもんどれだけ優先順位高く考えてもらえるようにするかの心理戦だ。

 私が今怒られているんでなんとか助けてくださいみたいな表現も効いた。大変な人の元で毎日怒鳴られてる可哀想な人という設定をいつもの会話で作っておく。一回も怒鳴られたことなんか無いのに。
 ウチの工事長あんな人じゃないですか?はぁ〜なんて言えばパワハラ受けてると解釈される。

 電話でいつもそんな話し方をしているからたまに現場で業者さんと会うと大変だね頑張ってなんて言われて昼メシ奢ってもらえたりしてた。そうね、そんな生活しているうちに私が工事長より段々たちの悪いイヤなヤツになっていましたとさ!

 これぞジャイアンの傘の下で安全に過ごすスネ夫そのもの!高いオモチャ親に買ってもらわないとな。

 ちょうどその頃、同じようなエピソードをラジオで聴いた。松本人志の放送室で。
 桧博明を松本が可愛がっていたときの話だ。松本の絶大な力の下で松本に近い存在として一目置かれるようになっていた桧、松本さんに用があるなら俺を通せみたいになっていた。

 すごいのは当時の松本に人気があるからで桧・友野なんて全く面白くもないゴミだった。吉本も松本に近い若手という事を利用してヤングダウンタウン若きカリスマみたいな扱いで売ろうとして銀座7丁目劇場に出していたがつまらない。

 勘違い野郎桧は日に日に偉そうな振る舞いをするようになり、とうとう寄生元の松本に対してすら偉そうにするという間違いを起こして破門された。

 桧は今では芸人を辞めてビヤホールの店主をしていてそれ関係のYouTubeで見ることが出来る。なんとあのとんねるずの石橋貴明が店に来ている。

 昔の癖は抜けておらず松本に不義理をしたなんて思わないで偉そうに思い出を語ったりしている。当時のことなんか知らないYouTubeを見た人もこいつは信用ならないとコメントしてる。どうしようもないね。

 放送室はCDが発売されているので興味のある方は是非。CDじゃかさばるからパソコンで聴くMP3版のも発売されていた。松本が今回のような問題を起こす思考回路、思想、性癖などの片鱗を感じとることが出来るかもしれない。知らんけど。

 話を戻すと通勤中にこのラジオを好んで聴いていた私は自分が桧化、あるいはスネ夫化していてますいと感じて生活態度を改めたのでした。少しだけ。

 私と工事長の関係は派遣の契約が切れたところでおしまい。激務に耐えて頑張った割にあっさり返されて次の人来るから引き継ぎしてねなんて言われたからどうでも良くなった。最終日なんて会わずにさっさと帰った。家が大変な時期だったし。

 女性が男性を選ぶ時、優しい人なんてよく言うが「私に」キレない人なんていうのも案外オススメかと思うよ。木村祐一と結婚してた時の辺見えみりみたいな経験が出来るだろう。

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