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■Z世代の放浪者『オルタナティブな経済体制(経過報告)』



共同所有自己申告税と定期配当金

★概要

『ラディカルマーケット〜脱私有財産の世紀〜』において提唱された税、COST(Common Ownership Self-assessed Tax)とも言われる。


★方法

1 現在保有している財産の価格を自ら決める

2 その価格に対して一定の税率分を課税する

3 より高い価格の買い手が現れた場合には、

ⅰ. 1の金額が現在の所有者に払われ、

ⅱ. その買い手へと所有権が移行する。

★見込めること

それまでの私有財産制において、

使用する権利と、排除する権利が独占的に所有者に認められており、

格差を生み出したり、土地の価格を釣り上げることで、有効利用を妨げたりしていた。

しかし、COSTの下では、自ら決める財産の価格を高くしすぎると税金を高く払わなければならなくなり、

また価格が低くてもオークションのようにより高い価格を提示されるリスクが高まり、程よく抑制された形で保有する土地の価格を申告する動機が生まれる。


所有権に対して一定の制限や条件をつけることによって、

社会的に私的所有の利益や恩恵を受けることができ、

またCOSTによってできた財源を配当金として、

社会の成員に対して配ることで、最低限の生活基盤を保証することが可能となる。


★デメリット

しかしながら、税を貨幣で収める場合、

余りにも貨幣保持者の力が強くなり過ぎるという懸念点がある。

そこで自由銀行制度が必要である。


非営利的な自由銀行制度の復活

★概要

自由銀行とは元々18世紀〜19世紀にかけて欧米などで採用された貨幣システムで、一定の条件(例:金や銀と引き換え)を満たすことにより兌換銀行券を発行する仕組み。

これをプルードンやゲゼルのようにアレンジし、

地域共同体で非営利的に銀行を運用をする。


★方法

銀行と利用者との間で、

商品の使用価値を、相場と交渉により評価し、(少し質屋に近い感覚)商品と引き換えに銀行が利用者に貨幣を発行する。

発行した銀行券を持ち込むと商品を引き出すことができる。

なお、商品は時間とともに劣化し使用価値が損失していくため、貸し出し、その代わりに同一の商品もしくは同じ使用価値のあるものを返済してもらう。

このようにで銀行内で保有する使用価値を維持していく。

★見込めること

貨幣に対して独占によって生じた希少性を取り除くことで、適正な使用価値に基づいた交換が行われる。

使用価値を見誤ると銀行で取り付け騒ぎが起きるため、より適正に価値判断をしようとし、また利用者を巡って他行との競争も起こる。

そのため社会全体における貨幣量の調節がしやすくなる。

また、貸出す過程で本来生じていた利子も、商品の劣化による使用価値低下を防ぐために、劣化しやすい商品ほど貸し手に利子をつけられなくなる。


★デメリット

使用価値の維持ができなくなると、貨幣価値が急激に下がり、その不安から、銀行が取り付け騒ぎになることが起こり得る。そのため不安定性が拭えない。

それを防ぐために、一定の信用のある共同体内の貸し手にLETSを応用して支払らってもらい、貸し手ではなく共同体内のLETS交換リングから使用価値を連帯して維持することができる仕組みを考える。

LETS(地域交換取引制度)

★概要

LETS(レッツ、local excange trading system、地域交換取引制度)は、1980年代前半にマイケル・リントンが考案した地域通貨制度の一種。


★方法

ある財・サービスを取引する際に、この制度への参加者は自主的に貨幣を発行できる。

必ず、自分の口座にではなく売り手の口座に払い込む。

そして売り手の口座に黒字が記載されると、

買い手・貨幣発行者の口座には赤字が記載される。

つまり、あるシステム内に貨幣が発生した際、必ずプラスとマイナスが同額分発生するので、全メンバーの持ち金総額は常にゼロとなる。

もし、自分の口座にある持ち金を増額したいのであれば、自分以外の参加者の誰かに自分が提供できる財・サービスを売らなければならない。

★見込めること

地域コミュニティ内における交換や交流の促進。

例えば、庭掃除一時間で別の誰かに自転車の修理を頼むなど、グローバル経済、大企業主導の経済から抜け出すことができる。

また自由銀行制度において、貸し出された商品に対して銀行に対してLETSを振込むようにし、後々にその銀行が貸し出した商品と同じ使用価値をもつ商品をLETS交換リングから取り出し可能にする。

この事によって、個人負う負債未払のリスクを軽減することができる。

賃金の間接支払い義務化

★方法

企業から、労働証明書を持ち込む事によって製造商品と交換することのできる労働証明書を発行することで労働者に賃金を支払う。


労働証明書を自由銀行に持っていくことで、自由銀行から会社に商品の引き出しを請求する。

その商品の価値相場に応じて、LETSや銀行券と交換することができる。


★見込めること

未払労働を防ぐことができる。

資本主義では労働と生産物が切り離されていたが、労働と生産物を一体のものにして価値を判断することで、労働に対する使用価値を適正に判断し交換を行うことができる。

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