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配偶者居住権(後編)

後編では、配偶者居住権の節税効果やメリットデメリット、そして「配偶者短期居住権」について掘り下げ、実際の活用を検討するために必要な情報をお伝えします。


前編:配偶者居住権の基本理解(前回)

1.「配偶者居住権」って何!?

2.配偶者居住権の設定要件及び手続き

※前回の記事
https://note.com/lucky_borage26/n/n783148703bb7
 

後編:節税効果とメリット・デメリット、配偶者短期居住権の説明と比較


3.配偶者居住権の節税効果

1)配偶者居住権は、相続税の課税対象になります。しかし、相続税には配偶者の税額軽減があるため、配偶者が相続した財産には大幅な軽減措置が用意されています。
※相続税を大幅に減額できる制度 参照
https://note.com/lucky_borage26/n/n7fa172a9b295
 
また、配偶者居住権は、原則、終身の権利であり、配偶者が死亡した時点で消滅します。そのため、居住権の評価額分だけ財産がマイナスとなり、相続税の節税に繋がります。
仮に配偶者居住権に期間が設定されていたとしても、期間が満了して配偶者居住権が消滅した時点で所有者に贈与税が課税されることもありません。
ただし、配偶者と所有者の合意によって消滅させた場合や配偶者が配偶者居住権を放棄した場合には税金がかかる場合があります。
 
2)配偶者居住権が設定されている敷地でも、要件を満たせば小規模宅地等の特例が適用できます。
※小規模宅地の特例について 参照
https://note.com/lucky_borage26/n/n7fa172a9b295
 

4.配偶者居住権のメリット

1)安心した老後生活の確保
配偶者は、相続発生後も住み慣れた家にそのまま住み続けられるため、新たな住居を探す手間や、生活環境の変化を避けることができ、安心感があります。住まいが確保されることで、家賃など住居にかかる費用の心配がなくなり、老後の生活に安定感がもたらされます。
 
2)財産分割の柔軟性が向上
配偶者が自宅をすべて相続する必要がなくなるため、他の相続人に対して公平に財産を分けやすくなります。配偶者は居住権を得て住み続けられ、他の相続人は自宅の他の部分を相続することで、柔軟に財産を分配できます。
 
3)現金や他の資産の確保が可能
配偶者は家に住みながら、不動産以外の現金や預貯金、金融資産なども取得しやすくなります。不動産以外の資産も確保できるため、生活費や他の資金需要に対応しやすくなります。
 
4)住居の取得コストを抑えられる
不動産の相続にかかる評価額が通常よりも低くなるため、相続税が軽減され、住まいにかかる税負担を抑えることができます。
 

5.配偶者居住権のデメリット

 1)配偶者居住権の制約
配偶者居住権は、あくまで自宅に居住することができる権利のため、第三者に譲渡することはできません。また、所有者に無断で、賃貸や増改築をすることもできないため、所有者との仲が悪い場合には、トラブルに発展する可能性がありますので注意が必要です。
 
2)固定資産税や維持費の負担
配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物にかかる固定資産税や維持費、修繕費などを負担する必要があります。高齢者の場合、限られている収入の中での費用負担を重く感じることがあります。
 
配偶者が自宅に住み続ける権利を必要としない場合、配偶者居住権を設定しなくても問題ありません。配偶者居住権はあくまで選択肢の1つであるということを覚えておいてください。
 

6.「配偶者短期居住権」とは

1)「配偶者短期居住権」も「配偶者居住権」と同様、2020年4月1日に施行されました。
配偶者が長年住んでいた自宅が相続や遺贈で他の人のものになった場合でも、すぐに出て行くのは難しいので、一定期間は無償で住むことができる権利です。これにより、配偶者は一定の期間、住み慣れた自宅で安心して暮らし続けることができます。 


2)「配偶者居住権との違い」
両権利の違いをまとめると下表の通りです。
 

配偶者居住権の設定については、法律と税務の両面から慎重な検討が必要なので、弁護士、司法書士、税理士などの専門家へご相談することをお勧めします。
弊社では、信頼できる専門家のご紹介も行っておりますので、少しでも疑問や不安がある方は、ぜひ一度ご連絡ください。
 

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