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大授搦での1日:越冬する野鳥たちと秋の干潟
2024年11月20日(水)、1か月ぶりに大授搦(だいじゅがらみ)を訪れました。
午後から佐賀市内で会議があったため、
午前中の時間を使って干潟に足を運ぶことにしました。
ウキウキ気分で向かいましたが、潮の状況はあまり良くない様子。
それに加え平日ということもあり、到着してみると人影はゼロでした。
干潟を独り占めできる贅沢な時間です。(短い間でしたが)
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目の前には果てしなく広がる有明海の干潟と、
遠くには海苔養殖の無数の支柱が続いています。
ここに立つと、大きく深呼吸して心が洗われるような気分になります。
干潟の主役たち:ズグロカモメとハマシギ
干潟には、1か月前には見られなかった小型のカモメたちが群れを成していました。
「キッキッ」とかわいい鳴き声を上げるのはズグロカモメ。
この日は約500羽が観察できました。
ズグロカモメは干潟を舞いながらカニやゴカイを捕まえる姿が特徴的。
ところが捕まえたカニは、周囲のズグロカモメたちがすかさず横取りを狙っており、
干潟はその小競り合いで賑やかです。
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小さな黒いくちばしと、黒目がちな瞳がとても愛らしい鳥で、
私は彼らを「海のシマエナガ」として世間に広めたいと思っていますが、
シマエナガのような誰が見てもかわいいと思える“激かわ写真”を撮るのはなかなか難しい課題です。
一方、ハマシギは完全に冬羽になり、干潟の灰色と見事に溶け込んだシックな姿に。
この日は約5000羽が越冬のため滞在しており、ここが国内最大の越冬地であることを実感させられました。
潮があまり岸に近づかなかったため、大半は干潟でのんびり休憩中。
目を閉じた顔が「にっこり」しているようで、見ているだけで癒されます。
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カラスに追い立てられた瞬間には大群が一斉に飛び立ち、
空に現れる一つの生き物のような群れの動きには毎回胸を打たれます。
羽を翻した瞬間に白く光る様子は息を呑む美しさで、これは国内でもここでしか見られない貴重な光景です。
ヨシ原の住人たちと干潟の風景
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干潟の周囲では、ヨシ原から「チーッチーッ」と懐かしい高い声が聞こえてきました。
声の主はツリスガラ。日本最小級の小鳥で、その特徴的な鳴き声で存在を知らせてくれます。
彼らはヨシ原の中で群れで行動し、常に声を交わしながらお互いの位置を確認しているようです。
ヨシの茎につかまったり、宙ぶらりんになったりと身軽な動きで、写真を撮るのが難しい鳥の一つ。
無数のヨシにピントが吸い取られるのも悩ましいポイントです。
最後は諦めてその可愛い姿を目に焼き付けようと観察に終始しました。
そしてふと上空を見上げると、
大群のミヤマガラスがクルクルと輪を描くように昇っていく「カラス柱」の光景に出会いました。
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500~600羽ほどの群れが徐々に高く昇っていき、
いつものようにどこかへ飛び去るかと思いきや、
突然錐もみ状に急降下し、みんなで元の干拓地に戻ってきました。
何をしていたんだろう。カラスの行動は毎回よく分かりません。
秋深まる干潟で
干潟では、赤く色づいたシチメンソウがまだ楽しめますが、例年よりも紅葉の色づきが不揃いな印象。
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夏の異常な暑さの影響かもしれません。
アリアケガニやシオマネキなどの干潟の生き物たちも、
柔らかな日差しの中まだ活発に動いている様子でした。
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1か月ぶりの大授搦でのひと時は、
穏やかで豊かな有明海の自然を改めて感じさせてくれるものでした。
この特別な場所が、これからも野鳥や干潟の生き物たちの楽園として守られるよう願いを込めて。