2024年10月19日 大授搦 DAY1
2024年10月19日
大授搦DAY1
午前7時15分から11時まで。
天気予報では大雨の予報が出ていて、
夜中には雷が鳴り響き、雨もかなり降っていたように思う。
シギやチドリの観察には最悪の条件だ。
もし一人で行く予定だったら、絶対に行かなかっただろう。
それでも、今日はどうしても行かなくてはならない。
まだ日が昇らないうちに起き出し、家族を起こさないように準備を始める。
外に出てみると、思ったより雨は降っていない。
もしかしたら、運が良ければ少しは観察できるかもしれない。
車を走らせる途中、雨が強く降ることもあった。
今日はずっと雨かもなあ。と不安を抱きながら現地に到着。
驚いたことに、到着時には雨が降っていなかった。
しかし、空の向こうには黒い雲が広がり、いつ大雨になるかわからない。
一応レインコートを着て観察の準備を整える。
干潟には予想以上に多くのシギやチドリが集まっている。
周囲にはまだ誰もおらず、鳥たちを独り占めする贅沢な時間が始まる。
まず目に飛び込んできたのは、冬羽に変わりつつあるハマシギたちが、
干潟を歩き回る姿だ。彼らは群れを成して、餌を探している。
さらに、ホウロクシギが見事にカニを捕まえる瞬間にも出くわした。
クロツラヘラサギは15羽。
波打ち際を歩きながら餌をとる姿は見ていて飽きない。
干潟の塩生植物であるシチメンソウはまだ真っ赤には紅葉していないが、
少しオレンジ色に染まってきており、その景色もまた美しい。
今年の夏は特に暑かったので、紅葉の時期が遅れているのかもしれない。
干潟にはまだシオマネキやクロヘナタリも元気に活動している。
ヤベガワモチを探してみるも見つからず。
彼らの生活史はほんとに謎である。
沖合いにはカモたちの姿も見え始めている。
オナガガモとヒドリガモが多数見られ、
そろそろ冬が本格的に近づいていることを実感する。
さらに、一羽だけだがユリカモメの姿も確認できた。
ズグロカモメが到着するのも、もう間もなくかもしれない。
今日は特に潮が高くなる日で、満潮時には6メートルにも達する、
年に数回しかない特別な日だ。
9時を過ぎる頃には、下の通路は水没し鳥の姿は見えなくなっていた。
堤防の上に移動し、車のハッチバックを開けてそこに座り、
満潮の有明海をぼんやりと眺める。
ホウロクシギの群れが鳴き声を響かせながら、
空高く舞い上がっていく。
これほどの群れを見ることができるのは、今や日本では有明海だけだ。
ポットに詰めていた温かいコーヒーを飲みながら、
朝食として持参していたパンをかじり、
眼下に見えるダイゼンの動きを観察していた。
彼らはいつも小競り合いをしていて、
その賑やかな姿が何とも面白く見飽きない。
常に周りにいる鳥たちに突っかかっていき喧嘩している。
一羽のオオソリハシシギが、
怯えた様子でおずおずとダイゼンの群れを通り抜けていく。
あ。やっぱりダイゼンに絡まれた。
こうして毎年、同じ場所で同じように鳥たちを観察しているが、
不思議と飽きることがない。
結局観察している間、雨は降らなかった。