鴻巣市・旧笠原小学校での「制服・浴衣撮影会」の件についての分析と考察。その4。笠原小学校存続の住民運動に入り込んでいた(と思われる)「犬笛に踊る」人たちその2。
さて、鴻巣市の旧笠原小学校校舎(鴻巣市の市有施設)で近代麻雀主催の「制服・浴衣撮影会」についての検証記事の続きです。
その1(旧笠原小撮影会問題と水着撮影会問題の酷似について)はこちら。
その2(旧笠原小撮影会で「犬笛」に踊った市議について)はこちら。
その3(笠原小学校の廃校に至る経緯についてその1)はこちら。
前回のその3の記事では、「旧笠原小学校校舎を利用した『近代麻雀』の撮影会」の話なのに、なぜか笠原小学校が廃校となる経緯を時系列で追いました。
これは2024年(令和6年)8月9日に行われたと見られる「鴻巣市役所での『近代麻雀の撮影会への施設貸し出し処分の撤回』を求める申入れ」と、笠原小学校の廃校に関して密接な関わりがある、と考えるので、その説明に必要であるからでした。
具体的に言えば、笠原小学校の廃校に関する議論の際に「笠原地区の住民運動に入り込んで運動の主導権を奪った人たち」が、今回の「近代麻雀の撮影会」キャンセルに動いた人たちと大きく重なる、と私は考えます。
前回のその3記事はその説明の為に必要な前半部でした。
文部科学省が「小中学校の学級の適正配置」について事務次官名の通知を出し、これを受けて鴻巣市でも「私立小中学校の適正配置」に関する指針が策定され、審議会が設置され具体的な学校統廃合の施策が始まりました。
そして、鴻巣市で一番最初に「適正配置」の俎上に上がったのは、校区全体が市街化調整区域で今後の就学児童の増加が絶望的な笠原小学校でした。
これに対して、党中央でも「適正配置」による学校統廃合に反対をしている共産党の鴻巣市議たちを中心とした複数の議員や市民団体が、笠原地区の住民運動を煽る形で「笠原小学校存続を求める請願」の提出へと動きます。
と、ここまでがその3でまとめた概要となります。
鴻巣市では2020年(令和2年)6月には教育委員会より、笠原小学校について廃止の方針が打ち出され、9月には同じく教育委員会からスケジュール案が出されました。
これに対して笠原地区で笠原小学校の存続を目指す「笠原小学校を守り育てる会」は「笠原小学校の存続に関する請願書」の提出を目指し、10月11月に
署名を集め、4445筆を添付して11月18日に鴻巣市議会議長へと提出をしています。
笠原小学校の廃校スケジュールを示し、指針に沿って「学級の適正配置」を進める市側と、「笠原小学校の存続」を求める「守り育てる会」と左派グループ。この両者が2020年(令和2年)11月30日の鴻巣市議会で激突する事となります。
以下が当該案件に係わる、鴻巣市議会の議会中継の動画です。
■鴻巣市議会 議会中継 令和2年12月定例会 ー 11月30日 本会議
◆日程第10 議案第94号及び議案第95号の質疑
「議案第95号 鴻巣市立学校設置及び管理条例の一部を改正する条例」
◆日程第14 議請第4号及び議請第5号の質疑
「議請第4号 笠原小学校の存続に関する請願書」
以下では「鴻巣市 令和 2年 12月 定例会 11月30日-02号」議事録より引用をしながら、個々の答弁について見て行きたいと思います。
(※註:以下画像は議事録よりの引用となります)
なお、今回の議事録の検証は「笠原小学校の存続問題」について精査する為ではありません。
笠原小学校の住民運動に日本共産党を中心とした左派が入り込んで問題を自分達の都合の良い方向へと誘導しようとした様子を示し検証したい、との考えからです。
ですので「存続問題」としては話を端折る事になりますので、その点をご了承下さい。
まずは令和2年(2020年)12月定例会 11月30日本会議より、議案95号「鴻巣市立学校設置及び管理条例の一部を改正する条例」についてです。
簡単に説明すると、鴻巣市は当該条例の第1条で「本市は、学校教育法(昭和22年法律第26号)第2条第1項の規定に基づき、同法第1条に定める小学校及び中学校を設置する。」と定めており、第2条に定める別表で個々の小中学校名を列挙明記しています。この別表から「笠原小学校」を削除、すなわち廃校とする、というのが「一部を改正」という事となります。
この第95号議案で先陣を切ったのは日本共産党鴻巣市議団より竹田悦子市議でした。
これに対する鴻巣市の教育部参与(部長級)の答弁。
答弁に対して共産党竹田悦子市議は再質問を行います。
ここでは1点目と5点目を抜き出して見てみたいと思います。
まずは1点目。
共産竹田市議は「笠原小学校令和2年度新1年生0名」という件で、笠原地区の5名の新入学年齢児童へ「一度『笠原小入学』と通知を出したのに、なぜ再確認などするのか」、つまり「教育委員会が『笠原小は廃校だから入学するな』と誘導したのではないか」と言ってる訳です。
ご覧の通り「笠原小学校を守り育てる会」は存続請願署名を笠原住民へと依頼するにあたってビラを作り配布していますが、「教育委員会が(笠原小ではなく)中央小へと入学の働きかけをした」と主張、その為笠原小の新入学児童が0人となった、としています。
共産竹田市議はこの主張を市議会で「質問」としてぶつけてきた訳です。
対して教育部参与は「教職員の定数確認と配置」の必要性からの確認である事、「対象学区は笠原小学校」と伝え誘導はしていない事を答弁しています。
対する共産竹田市議はご覧の通り、お気持ち論全開で「(権力を持つ)教育委員会が確認したらそれは誘導」論を展開します。
教育部参与はまず、共産竹田市議の言う「(新入生が)5人しかいないけれどもどうしましょうか」などという問いかけはしていない、とキッパリ否定をしています。
整理しますと、「守り育てる会」という笠原住民たちへ「教育委員会が『笠原小ではなく中央小へと新入生は入学する様に』と誘導した」と虚偽情報を流し、請願を優位に進めようと画策したものの、市議会で市側に明確に否定された、という事です。
この「教育委員会の誘導」に関しては、この後革新系無所属の菅野博子市議(笠原小存続の請願に「紹介議員」として署名した5議員の一人)も質問をしています。
「笠原小を廃校にするために(誘導を)やったのではないかな」という間の市議に対して、鴻巣市教育長は怒りを帯びた口調で「決してそんなことはありません」「そんな事実は絶対ありません」と完全否定をしています。
続いて共産竹田市議の再質問へと戻って、以下は5点目の部分です。
こちらは共産竹田市議は昨年(※註:2019年)の敬老会で「息子さん達が地元に戻ってくるようにしてください」と発言した、という事についての質問です。
既に笠原小廃止を決めている市側を代表する市長が、小学校が無くなるのに「息子さん達が笠原に戻ってくるように」としらじらしいお願いをするので住民が怒りを覚えている、という話を共産竹田市議は質問した訳です。
質問に対し市長は「敬老会での発言は覚えていない」とした上で、市街化調整区域で人口を増やせる唯一の方法「笠原に子どもや孫が戻ってきてもらう」という話は何度もしたことがある、と答弁しています。
これに対して共産竹田市議は「市長の発言にその人(笠原住民)は『頭にきた』ので覚えている」と話し、今議会で笠原小廃止を決めてしまわない様主張を行います。
対する市長は「昨年の敬老会」で「今年になって決まった『笠原小廃校の方針』」がある訳が無い、と明確に論破。なのでそのような話をする事はあり得ない旨を答弁しました。
本当に「笠原の住民の方」が「勘違い」をして「頭にきた」と言っていたのかもしれませんので、これだけで「虚偽の作文」とは言えません。が、市長を陥れて優位に案件を進めようとした様に、私には思えてなりません。
この件については、この後公明党市議から関連の質問が以下の通りありました。
読んで頂ければ分かりますが、市長は「私の市長在任中には笠原小を廃校にはしない」という発言は前後を切り取られて都合の良い解釈で流布されたものである事、「教育委員会が中央小へと新入生を誘導した」という話もデマである事を答弁しています。
そして、請願や市長要望の署名の為に「笠原小を守り育てる会」が流布した文書について「誤った内容の文書を住民に流布されるのは困る」と市長自らが「守り育てる会」の会長に話し、会長も「間違ったことを私(会長)も承知している。ただ、こういう形で書かれてしまった」と回答を得た旨を答弁しています。
「守り育てる会」の会長は笠原地区在住の郷土史家の方の様で、恐らくは肩書から会長に推戴されたのだと思われます。
デマ内容については「書かれてしまった」、訂正については「事務局、他の役員に任せる」と発言していることなどからも、会長が積極的に住民運動を扇動している訳では無さそうです。
すると会長を飛ばして住民を扇動する「他の役員」やその背後に控える「複数の議員」などの影がちらつくのです。
第95号議案については、最後に教育委員会の条例改正に関する見解が答弁されています。
ご覧の通り「笠原小学校の適正規模及び適正配置」、すなわち笠原小の廃校に関しての教育委員会の見解はおおむね妥当なものだと思われます。
小規模少数での教育と、大規模集団での教育のどちらが良いか、については双方それぞれメリットデメリットのある問題ですし、私も専門外ですのでどちらが良いかについては申し上げません。
しかし、一方の勢力が「事実ではない」内容を流布して住民運動を扇動する様子が伺えるのは好ましい事だとは思いません。
こちらの「第95号議案」についてはまだまだ、落語で言えば「枕」に過ぎません。この後この日の市議会終盤で審議された「議請願4号 笠原小の存続に関する請願書」の質問と答弁が、私の検証したいメイン部分の一つなのですが、字数が多くなったので引き続きその5に続けたいと思います。
では。
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