鴻巣市・旧笠原小学校での「制服・浴衣撮影会」の件についての分析と考察。その11 番外編その2。「公の施設」幕張メッセでのキャンセル行為、共産党のキャンセル行動の内容検証。
さて、番外編の千葉・幕張メッセでの「防衛装備品見本市」への共産党のキャンセル行為について、埼玉の水着撮影会や鴻巣・制服浴衣撮影会キャンセルとの共通点類似点を検証する記事です。
その1(共産党金光理恵・船橋市議らの千葉県知事に対するデマの検証その1)はこちら。
前回のその1では、共産党がキャンセルの根拠として主張する「住民の福祉の増進」が「目的条文」に拠っている事、「目的条文」は具体的な規定を定めるものではないので「法的根拠」とならない事、千葉共産党の手口が昨年の埼玉水着撮影会の共産党埼玉県議団とほぼ同一だった事などを書きました。
そもそも「住民の福祉」とは地方自治法第244条(公の施設)のみならず、法第一条の二第1項でもご覧の通り出てくる言葉です。
法第一条の二第1項の「住民の福祉の増進」とは地方自治体そのものの設置理由として定めた「目的」です。ここで言う「住民の福祉の増進」とは「住民の幸福感の追及」であり、「住民サービスの向上」であると言われています。
つまり自治体は「住民の生活を支えるため」に公共サービスを住民に提供することが基本だと言っている訳です。
「公共サービスの提供」が基本であるので、法第2条第14項では「住民の福祉の増進に努める」ために「最小のう経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と定められているのです。「公共サービスを効率よく提供しろ」と地方自治法は言っている訳です。
狭義の「福祉」は基本的人権の生存権を保護する観点から、生活困窮者への生活保護や、心身の障害や介護を必要とする弱者への支援、といった意味となります。
しかしここで言う「福祉」とはそういった「一部の人々」へと向けた意味ではなく、全ての国民を対象に一般的な生活問題の解決を目指す取り組みを指す広義の意味を持っています。全ての人々が誰しも幸福に生活する権利を「福祉」としています。
この「全ての人々が誰しも幸福に生活する権利」は憲法第13条で保証されている「幸福追求権」という基本的人権です。
この幸福追求権は「公共の福祉に反しない限り」保証されています。
そして地方自治法で言う自治体の「住民」は多種多様です。様々な考え方を持つ人々の集合体が「住民」です。
ですからたとえば、住民Aさんの「幸福感」と住民Bさんの「幸福感」は同じかもしれませんし、違うかもしれません。AさんとBさんの幸福が違ってお互いの希望がバッティングした場合、どちらの「権利」を優先し採用するのか、といった問題が生じることでしょう。
また、「公共の福祉」とは一般的に「人権の制限法理」であり、「他人の人権を侵害するような自由及び権利は制限される」とされています。
その上で地方自治体にはバッティングした両者の幸福の調整を法に基づいて図る役割があるとされており、比較衡量などによって「最小限の人権の制限」で調整を行い、「住民の福祉の増進」すなわち「住民が幸福に暮らす」様に図るよう定められている訳です。
とまあ地方自治法における「住民の福祉」について基本的なおさらいをしたところで、その1で紹介した2024年(令和6年)2月の千葉県議会2月定例会での共産党丸山慎一県議の一般質問へと戻ります。
地方自治法第244条第2項の「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」という規定に対して、共産党丸山県議は「『命を奪う武器の見本市』は『住民の福祉の増進』ではない」と主張しています。なので「公の施設の設置目的に反する」として「堂々と貸し出しを拒否すべき」と一般質問で述べました。
その1で述べましたが「目的規定」は「公の施設を利用する権利」を制限する法的根拠とはなりません。ですので共産党丸山県議の主張する「住民の福祉の増進ではない」という主張はそれだけでは通りません。
昨年大恥を掻いた埼玉水着撮影会の共産党埼玉県議団と同じ主張と言って良いでしょう。
そもそも共産丸山県議のいう「住民の福祉の増進」がどのような意味合いなのか、がイマイチ見えません。「命を奪う」と「福祉」は相反する、というイメージ的な主張なのかもしれませんが、地方自治法で言う「住民の福祉」は先に述べた通り「住民サービス」の事と言ってよく、「武器」と「住民サービス」に相関性は見当たらないので共産丸山県議の主張は噛み合っておらず謎でしかありません。
この共産丸山県議の質問に対して千葉県の黒野副知事は、幕張メッセの設置目的は「本件の産業の振興及び文化の発展、国際化に資する」と規定されているので、地方自治法(第244条第1項)に合致すると答えています。そして当該催事は「産業の振興に資する」ものなので「幕張メッセの設置目的に合致」しているので利用を不承認とすべきものではない、と答弁をしました。
これは共産党丸山県議が「設置目的」について質問をしたので「設置目的」について答えた、という以上のものではありません。
共産党丸山県議の「貸し出すべきではない」という主張に法的根拠が無いので「貸し出しを不承認とすべきではない」と答えたのみと言えるでしょう。
答弁に対して「武器を拡散するために、住民の福祉の増進を目的としている幕張メッセを貸し出すなどというようなことは、あってはならない」と主張する共産党丸山県議。
「武器」と「住民福祉の増進を目的」という話を繰り返すのみで、お気持ち論を再三述べているのみです。公の施設の利用を制限できる法的根拠などを新たに主張してはいません。
答弁者は千葉県庁商工労働部長へと代わりましたが、「利用を承認するか不承認とするか」については「地方自治法や管理条例の規定に即して判断」するのみで、他の催事と変わりは無い、と答えています。
共産党丸山県議が「『目的規定』に書いてあるから貸し出し不許可にすべき」と言っているので、「法の規定に拠って判断」と答えた訳です。
「あなたの主張に法的根拠は無いので千葉県庁は貸し出し不許可にはできない」と遠回しに言ったのだと思います。
「武器展への幕張メッセの貸し出しを中止します」という望む答弁を引き出せず、捨て台詞を残す共産党丸山県議。部分ごとに質問を答弁を分解してみるとご覧の通り分かりやすいですが、千葉県庁は簡潔にきちんと答弁をしていると思います。
「公の施設での『人を殺すための武器』の展示は人道的に許されない」というのは共産党側の主張、というかお気持ちです。
対して「産業の振興に資する催事」であるというのが千葉県庁側の見解であり、おそらくイベント主催者の意見であろうと思われます。
「メッセを貸すな」「メッセ貸します」という相反する権利の主張がある為、施設を所有し管理を委ねる千葉県庁は「住民の福祉を増進」する為に、二つの権利の主張を調整する必要が生まれました。
「公共の福祉」という観点で見た場合、共産党の主張には法的根拠が無くお気持ち論のみであるのは上で述べた通りです。対する千葉県庁側の主張は地方自治法第244条第2項に拠るものであり法的な根拠があります。
法的根拠が「無い側」と「有る側」の主張を比較衡量すれば、根拠のある側に軍配を上げる判断は妥当なものだと思います。
上の共産党丸山慎一県議の一般質問は千葉県議会の2024年(令和6年)2月定例会のものですが、その2か月前の2023年(令和5年)12月定例会では共産党から以下の請願が出されています。
請願では幕張メッセを「武器展示会」へと貸し出すことは地方自治法第244条と「千葉県日本コンベンションセンター国際展示場設置管理条例」第8条に反するとして、施設の使用貸し出し処分を行わない様に請願をしています。
繰り返しになりますが法244条(第1項)の「住民の福祉を増進する目的をもって」というのは「目的条項」なので具体的な法的根拠にはなりません。ですのでこれを根拠に施設の貸し出し処分を行わないという事は千葉県にはできません。
県条例第8条に関しては「法律や法令」よりも条例は形式的効力は下位となる為、この場合地方自治法を上回る効力はありません。法244条第2項で「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」とある以上、千葉県は条例を根拠に施設の貸し出しを認めない事はできないという事になります。
千葉県議会2023年(令和5年)12月定例会12月19日本会議では、共産党の三輪由美県議が上の第16号請願について討論を行っています。
主張の内容はご覧の通り、「無辜の民を殺傷する武器を千葉県の県有施設で売り買い」をする事は「絶対に許されない」としているなどお気持ち論を述べているのみでした。
この請願は千葉県議会の商工労働常任委員会に付託され不採決となり、本会議でも賛成多数となって請願不採択が決定しています。
2023年(令和5年)12月の千葉県議会への請願、2024年(令和6年)2月の千葉県議会一般質問と2回のキャンセルにした千葉県共産党は、あきらめずにネットへと活動を移します。下は2024年(令和6年)4月に左翼御用達のインターネット署名サイトChange.orgで行われた「幕張メッセの武器見本市」のキャンセル署名活動です。
このネット署名を募った「幕張メッセでの 武器見本市に反対する会(ママの会@ちば)」とは「安保関連法に反対するママの会ちば」の事で、その1で熊谷千葉県知事に「デマ」を指摘された金光理恵・共産党船橋市議が立ち上げメンバーである会の事です。
ネット署名サイトではご覧の通り長文の主張を掲載していますが、ここでは法的な部分を抜粋して検討して見たいと思います。
ご覧の通り、地方自治法第244条第2項の「正当な理由がない限り、住民が公の施設の利用することを拒んではならない」に対して「あくまで『住民』の権利を守るための条項であり、武器見本市への貸し出しを拒否できないとする理由にはなりません」などと述べています。
申し訳ないですがこれは明確な間違いです。分かっていてミスリードを誘っているのか、はたまた本気で分かっていないのか、は私には分かりませんが。
「『公の施設』の利用を許可しては許可してはならない事由」としては「泉佐野市民会館事件」という最高裁判例があります。
判例によれば「公の施設」の貸し出し制限については「人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべき」とされています。
これは憲法で保障される「基本的人権」はまことに重いものであり強く守られなければならないとされているからであり、「公共の福祉」を理由としても極力人権に制限が加えられるべきではない、との考えからです。なのでリアルタイムで人が殺傷されるような事態にならない限りは自治体は施設貸し出しを断ることはできません。
しかし共産党、おそらく金光理恵船橋市議は「武器を製造している企業」であるという理由のみで「公の施設」の幕張メッセの貸し出しを断れ、と言っているのです。
憲法第12条(自由権及び人権を保持する義務)、第13条(個人の尊重、幸福追求権及び公共の福祉)、第14条(平等権)といったものに軒並み反する主張と言わざるを得ません。
これが「武器を乱射して殺傷が行われている」のならば「上尾福祉会館事件」の最高裁判例などを鑑みても施設の貸し出し拒否の立派な理由として通用するでしょう。
しかしDSEIの参加企業は「武器製造企業」というだけで、幕張メッセで武器で殺傷を行う危険は全くありません。「情報セキュリティ関連」の展示を行うのみの経済活動なので、これの施設利用を拒否するのは地方自治法違反となります。最高裁判例では「テロリストが押し寄せる危険性」を理由とした施設利用不許可を違法であると退けているのですから。
金光理恵・共産党船橋市議は「あくまで『住民』の権利を守るための条項」という言い方をして「武器見本市への貸し出し拒否」が可能であると論じています。
「武器見本市」の主催や参加企業は「千葉県に住所を置く『住民』ではない」ので施設利用を拒否できる、と言いたいのでしょうが、とんでもありません。憲法第14条の「平等原則」を何だと思っているのでしょうか。
たとえば「住民」ではないので「千葉県の県道」は「埼玉県民」には使わせないことは可能です(利用の制限)、と言ったら正しいと思いますか?
共産金光市議が言っているのはそういう内容の事です。
一般的に「非住民に対する行政作用(ex:施設の利用など)を禁止する趣旨が(法や条例などで)明確に読み取られる場合でない限り、非住民に対する行政作用は禁じられない」と考えられています。
「非住民」に差異的な扱い(ex:施設の利用拒否)をするには、差異化を根拠づける合理性の有無(ex:法や条例などによる規定など)に依存すると考えられるのです。
共産金光市議は「武器」や「戦争」という言葉が「黄門の印籠」だと考えて施設の利用拒否をすべきだと主張しているのでしょうが、全く法的根拠がない差別的な扱いなので違法です。
つづくこちらのくだりは、何度も繰り返して説明した地方自治法第244条第1項の「目的条項」を根拠とした主張です。何度も説明した通り「目的規定」に法的根拠は無いので、これを根拠とした主張は少なくとも法的には無意味です。
この様にChange.orgで募ったネット署名での主張は、共産党が千葉県議会で繰り返した内容とほぼ同一といって良いものでした。
共産金光理恵市議に関しては、新日本婦人の会の活動報告を見ると、2020年(令和2年)には「安保関連法に反対するママの会@ちば」として「DSEI JAPAN 2019」に対する抗議行動についての報告をしている記録があります。
「新日本婦人の会」といえば自衛隊を目の敵にする「戦争反対」とフェミニズム(女性主義主張)の活動を行う会です。その言動や活動内容から金光市議は新日本婦人の会関連だろうと思いましたが、やはり関与はありました。
幕張メッセの武器展示会の件はその2でまとめるつもりでしたが、字数が掛かってしまいもう少し書く内容が残っています。
その2では
■地方自治法における「住民の福祉の増進」の意味について
(共産党が「根拠」とする内容の間違いの指摘)
■千葉共産党が「DSEI JAPAN(共産曰く『武器展示会』)」へ
行ってきたキャンセル活動の内容の検証
について書いてきました。
つづきのその3で、千葉共産党が千葉県知事へと行ったデマの検証検討と、
「幕張メッセ武器展示会」「鴻巣制服浴衣撮影会」「埼玉水着撮影会」それぞれを並べ比較する事で「共産党のテンプレートなキャンセル行動」を浮き彫りにしたいと思います。
では。
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