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鴻巣市・旧笠原小学校での「制服・浴衣撮影会」の件についての分析と考察。その14。鴻巣市議会9/18本会議、近代麻雀撮影会関連の一般質問その2。「イ なぜ市が事前に地域住民に告知を行わなかったのか伺う」の分析検討。

鴻巣市議会令和6年9月定例会、9月18日本会議での一般質問の質問順位5番、社民党西尾綾子市議の一般質問内容についての検討の続きです。

前回のその13(鴻巣市議会9/18本会議、近代麻雀撮影会関連の一般質問その1。「ア 撮影会興行について」の分析検討。)はこちら


こちらは社民党西尾市議の質問通告の内容ですが、今回は2(1)イの「多数の来場者が予想される今回の興行について、なぜ市が事前に地域住民に告知を行わなかったのか伺う」についてです。

私個人としては、公共施設で行われるイベントについて、なぜ施設を貸し出す側の自治体が告知をするのか全く意味が分からないです。
民間施設でイベント興行主が「イベント告知」を会場に依頼したら、普通は「自分の仕事は自分でやって下さい」と言われるのがオチですし、仮に会場で告知のサービスをやったとしてもおそらく対価が発生して有料になると思います。ましてや自治体は「税金」で運営されている訳ですから、必要のない「無駄な支出」などしたら議会で追及されてしまいます

ですが、きっと住民の負託を受けた議員である社民党西尾市議にはお考えがあると思いますから、まずは質問内容を見てみましょう。

質問の冒頭で社民党西尾綾子市議は、2024年(令和6年)8月2日に「他の議員、市民と共に執行部を訪問」したと明らかにしています。
これは朝日新聞DIGITALで報道されて物議を醸した「近代麻雀制服浴衣撮影会」への鴻巣市施設の貸し出し処分撤回を求めて「複数の議員や市民ら」が行った「懇談会」という名の申入れの事です。

8月2日の「懇談会」については鴻巣市に「記録簿」という形で議事録が公文書にて残されていることは当noteその12でもお伝えしました。
その記録簿のうち、当該一般質問イに関連する部分を抜粋したのが以下の文書です。

自治体が市有の施設を市民へと貸し出すのは、憲法第21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という表現の自由について規定したうちの「集会の自由」の為です。
公共サービスを提供するのが役割の自治体が、「基本的人権」を保障し実現するために「公共サービスの給付」、この場合は「集会を開ける場所の提供」を行う訳です。

「懇談会」(申入れ)では参加した「市民」のひとりが「イベント開催について周辺住民が誰も知らなかったのはおかしい」と意見を述べています。
対する鴻巣市側は「市から周辺住民への周知は(今回に限らず)行っていない」とした上で、「近隣住民へ騒音や迷惑がかかる様な行為が想定される場合」であれば貸付団体へ周知を要請する、と回答しています。

旧笠原小の周辺住民には日常を安寧に暮らすために、静寂な環境を保つ権利があります。憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」という「幸福追求権」という基本的人権がそれに該当します。

もし旧笠原小でのイベント開催で、周辺住民に騒音や迷惑がかかる行為などがあればそれは基本的人権の侵害ですが、一方でイベント興行主側にも「集会の自由」という基本的人権がある訳です。
ここでも住民の「幸福追求権」と興行主の「集会の自由」という二つの基本的人権がバッティングしました。こうなれば「公共の福祉」のために両者の人権を比較衡量し調整する必要が自治体(この場合鴻巣市役所)にはあります。

鴻巣市側の一般質問2(1)イに対する答弁部分です。
まず8/2懇親会(申入れ)で回答したのと同様に、「本件を含め、市が主催するイベントでない限り市からの告知は行っておりません」としています。
その上で「地域への迷惑の可能性が予見される場合」には主催者側に周知の要請をする場合もある、としています。

そして鴻巣市は事前に当該撮影会興行について、企画書などの提出によって確認を行っています。その上で、校外放送の使用による近隣への騒音、施設への損傷の可能性が無いこと、シャトルバス運行によって近隣への不法駐車対策を行うなどの措置を事前に確認しており、近隣への騒音や迷惑といった「基本的人権の侵害」は無いと判断をしたことを答弁しています。

これによって「公共の福祉」の観点から、興行主の「集会の自由」という人権が近隣住民の「幸福追求権」という人権を侵す恐れが無い事を鴻巣市側は確認したため、「事前にイベントの周知の必要性は無い」と判断したという訳です。
社民党西尾綾子市議の主張する「周辺住民のお気持ち」は、イベント興行主へ損害を与え尚かつその上で権利を侵害できる重みは無い、という事です。

この様に「公共の福祉」の観点から「周辺住民へのイベントの告知」を自治体側が行う必要性も必然性も無いことが改めて確認できました。
しかしそれでも鴻巣市側は「住民側の希望」を汲んで、当該撮影会興行の興行主に対して「近隣へのイベントの周知」を依頼し、8月9日(金)に旧笠原小の近隣へ周知を行っています。本来は必要の無い周知をあえて行ったのは「近隣住民の意向の尊重」以外の何物でもないと思います。

答弁に対しての社民党西尾綾子市議の再質問です。
「近隣への告知」を行ったという市側の答弁に対して、社民党西尾市議は「笠原小周辺の6軒のみに簡単な文書が配られたのみです。」と述べています。
要は社民党西尾市議は「言い訳のため、申し訳程度に隣の家へ手抜きの文書を配っただけ」だと言いたいのだと思います。

それでは以下の、旧笠原小学校付近のGoogle MAPによる航空写真をご覧ください。

こちらは国土地理院地図で見た旧笠原小学校周辺の地図です。

今はネットで現地周辺の写真やストリートビューなどが見られる時代です。
そしてご覧いただければ分かる通り、旧笠原小は南側は旧荒川の河川敷、東側は工場、北側には県道が隣接しています。そして旧小学校周辺はそのほとんどが畑と空地で占められており、騒音等が影響する近隣民家はおよそ6軒程度であることが分かると思います。こうした情報を加えて考えれば「6軒のみ」の周知文書の配布は妥当な措置であったことが分かります。要は主催者側は迷惑がかかると思われる「隣近所」に挨拶に回ったという事ですから。

しかしながら一般質問で当該質問をした社民党西尾綾子市議や、「懇親会」(申入れ)で意見した「市民」の方としては、「近隣住民への周知」というのはそれこそ笠原地区の大部分に盛大にイベント開催周知のビラを配布するイメージなのでしょう。だから「6軒程度」の配布は「やっていないのと同じ」だと言いたいのだと思います。

では「周辺へ盛大にビラ配布をして周知」したらどれくらいの費用がかかるのか、を以下参考で見てみましょう。

こちらは実在の政治家が参院選で使った「政治ビラ」の作成や「ポスティング」による配布などの費用が報告された収支報告書の抜粋です。対象地区の規模やビラ作成枚数、ビラの内容などで単価は異なってくるとは思いますが、「周辺への告知」をしたらこれくらいは費用が必要である、という参考にはなると思います。当然社民党西尾綾子市議は選挙を戦った議員ですからこの事は良くご存知かとおもうのですが。

こうした参考資料から類推すれば、南北3km弱、東西4km弱はある対象地域、2300名ほどの住民が住む笠原地域で、その全てではないにせよビラを作成しポスティングを行ったとすれば100万200万の単位の費用が発生することは容易に分かるでしょう。

仮に社民党西尾市議らが満足する「近隣住民への周知」をしたとすれば100万円単位の費用が必要である、すなわち「『住民のお気持ちの為』に主催者は100万円支払え」と要求しているという事です。鴻巣市にイベントの告知をさせるというのであれば「お気持ち」の為に税金100万円使えと言う話でになります。
「公共の福祉」の観点から「住民が不安というお気持ち」と「100万円の損害」を天秤に掛けた場合(比較衡量)、どちらが妥当で重いと思いますか?

仮にそれでも当該イベントの様な興行を行う場合には「近隣への周知」を行うべきだ、と社民党西尾市議が考えるのであれば、議員なのですからそうした条例を作るなり、県や国といった上位への働きかけを行うなどして法的な整備を目指し、周知の範囲や規模、内容などを明確に定めた具体的な法令作成へと動くべきだと思います。年間655万9800円の鴻巣市議の議員報酬を得ているのですから。

社民党西尾市議が最後に述べた「興行主が笠原小学校を引き上げた後も含めて、市側は問題が無かったと判断しているのか」という問いに対する答弁が上となります。
鴻巣市側としては「市や警察に対する苦情は寄せられていない」こと、興行に市職員が立ち会った結果違反行為が確認されなかったこと、主催者側が真摯に対応をしていたことなどを挙げて「適正な対応が図られていた」と考える旨を答えています。

社民党西尾市議の質問に出てくる事例は「伝聞」のものばかりで具体的なエビデンスが一切提示されていませんから、市や警察という公文書に履歴が残る機関に当該苦情が無い、とする市側の回答は妥当だと思います。

続けてイの再々質問です。
冒頭で社民党西尾綾子市議は「そもそも施設を貸し出す前提として、興行主の他の撮影会での経緯を踏まえて誓約書の提出を求めなければならなかった事自体、市側として何か起こっては困るという意識があった事の表れではないでしょうか。」と質問を述べています。

はい。私も市側は「何かがあっては困る」と考えて「誓約書の提出」を求めたのだと思います。そこは西尾市議に同意します。
しかし「何かが起こる」と考えられたのはイベント主催者側ではなく、社民党西尾市議や共産党、新日本婦人の会といった「鴻巣左翼ムラ」の側に対してですが。

市側は「懇談会」(申入れ)や市議会の答弁でも繰り返している通り、撮影会興行主の対応は誠実であった事や、法令等に触れる事項などが無い事を明らかにしています。
鴻巣市側が懸念をしていたのは「キャンセル活動」を仕掛ける側があの手この手でケチをつけて来ることに対して、だと思います。「誓約書の提出」を主催者に求めたのは「キャンセル活動」に対して「必要な措置を行っていた」と反論できる材料を準備したにすぎない、と考えます。

鴻巣市側は社民党西尾市議の当該質問を「質問」ではなく「意見表明」ととらえたのでしょう。この点については答弁せずスルーしています。


体育館にあったバスケットボールクラブの備品の件については、単純に主催者と市役所のミスですので、私からは述べる点はありません。適切な対応が取られるべきだ、としか言えませんので。

市側が当該の件について答弁していますが、市外の私は現場の事例に口出しをする立場にありませんので、この部分については意見は述べません。


この一般質問2(1)イについては、そもそも何が問題なのか、全てを検討してもさっぱり私には分かりません。

鴻巣市側が述べた通り「市内近隣への周知活動はあくまで主催者側が行う責務」であって、施設を貸し出す側の自治体に周知を求める、という発想自体がおかしいと思います。

例えばこれは仮定の話ですが、旧笠原小で自衛隊がイベントを行って、笠原地区への周知を市役所側が100万円単位の費用を掛けて行ったとしたら、社民党西尾市議や鴻巣の共産党は「市民の貴重な税金を浪費した」とギャンギャン騒ぐと思うのですが。

浴衣や制服の「撮影会興行」という曰く「ハレンチな催し」なので、「笠原地区の近隣住民のお気持ち」を一般質問の柱としている社民党西尾市議が「住民への説明が無い」「密室でハレンチな事をしていて不安」と騒ぎ「問題点」に仕立て上げているだけにしか私には見えません。


また昨今のフェミニズム界隈では「ゾーニング」という言葉が流行っています。この界隈でのゾーニングとは「青少年に成人向け表現を見せないようにすること」「成人向け表現を見たくない人や嫌いな人への配慮」といった意味合いで、要は萌え絵や水着グラビアといった「性的消費」と主張する
物を「自主規制」という名で「公共の場から目に触れないようにする」といった意味で用いられています。

昨年の埼玉の水着撮影会では有料入場者のみが撮影区画に入ることができ、外部からは目隠しがされるなど一定の「ゾーニング」がされていました。しかし「性的消費」を糾弾する勢力からは「子供たちも使う公園で開催するのは好ましくない」と非難を浴びた訳です。このように「ゾーニング」という言葉で「性的」と認定した対象物は「世間の目から隠せ」と強要された訳です。

しかし今回の鴻巣の共産党や社民党、新日本婦人の会といった「鴻巣左翼ムラ」の方々の主張は、「ゾーニング」とは真逆の「近隣から隔離して隠すな」という主張でした。
旧笠原小での撮影会興行では「旧学校」というロケーションを利用して有料入場者以外は会場である構内へと入れない「ゾーニング」をしていた訳です。昨年の水着撮影会騒動からいえば「完璧な対策」だった訳ですが、今度はそれを「近隣住民から隠している」「何をしているか分からず不気味」とした訳です。

子供の目に触れるから見せてはダメ。しかし近隣住民が不安だから隠してもダメ。要は「性的消費に集まるオジサンたちの集団」はキモいから来るなという事に他ならない訳ですが、これほどストレートなヘイトであり差別はなかなかありません。

社民党西尾市議が鴻巣市議会令和6年9月定例会で一般質問をしたうち、旧笠原小での制服浴衣撮影会に関連する質問は3問ありました。ア、イ、と分析しましたので、次回は残りのウについて見てみたいと思います。

では。

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