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自衛隊の都市伝説 硫黄島の砂

硫黄島とは

小笠原諸島の南方に位置する硫黄島。この島は、太平洋戦争末期において日米両国で数多くの戦死者を出した激戦地として知られている。
現在は自衛隊の基地が置かれており、慰霊訪問や特定の工事を除き、民間人の上陸は禁じられている。

多くの命が失われたこの島は、国内でも屈指の心霊スポットとして有名である。実際に上陸した民間人や島で勤務した自衛官の間では、多くの幽霊話が囁かれているという。


激戦地であった硫黄島

自衛官が語る怪談話

硫黄島では、戦没した日米両国の兵士の霊が現れるとされる。夜になると、兵士の霊が空中を行進したり、寝ている人を起こして屋外へ連れ出そうとするなどの心霊現象が報告されている。

特に多く語られるのは、水を求めて彷徨う兵士の幽霊だ。冷たい水を欲し、生きている者の前に現れるという。戦時中、島では熱帯の暑さと火山の地熱により地下水ですら湯立つほどの環境だった。そのため、戦死者が最後に口にした水は熱湯のようだったと言われる。

こうした話を受け、自衛官たちは霊に遭遇しないように日々慰霊碑へ水を供え、部屋の窓際にも水と塩を置く習慣を守っているという。


砂の持ち帰りは禁止

硫黄島に関する規則として語られるのが、「砂を本土に持ち帰ってはいけない」という決まりである。実際、自衛官たちは島を離れる際、航空機に乗り込む前に上官から「砂を払え」と指示される。靴底に付いた砂粒一つも残さず、念入りに落とすよう命じられるのだ。

噂によれば、砂を持ち帰ると兵士の霊が枕元に立つと言われている。瓶に砂を詰めて持ち帰った隊員のもとには、血まみれの兵士が現れたという話もある。また、いたずらで他人の荷物に砂を入れた結果、その人が霊障により事故に遭ったという逸話も伝えられている。


砂を持ち出し禁止の理由

砂の持ち帰りを禁じる理由には、いくつかの背景がある。
まず、防疫上の問題が挙げられる。戦時中に米軍が島に持ち込んだ外来種のアリの侵入を防ぐためである。また、倫理的な観点もある。硫黄島の砂には多くの戦死者の血が染み込み、人骨が目に見えない形で混ざっている可能性があるため、持ち帰ることは不適切とされるのだ。

さらに、硫黄島は白と黒のコントラストが美しい「鶉石(うずらいし)」を産出することで知られる。石の収集家なら一度は手にしたい逸品であるが、霊障を恐れて持ち帰ることをためらう人もいるという。ただし、鶉石を持ち帰っても問題はないとされている。

対照的に、アメリカでは硫黄島を「戦勝の地」として捉える文化があり、普天間飛行場では硫黄島の砂が土産物として売られていた。



霊の鎮まりと現在

平成6年、天皇皇后両陛下が硫黄島を訪問され、慰霊碑や鎮魂の丘を拝礼された。

これはネット上で囁かれていた噂であるが、この慰霊により霊の出現はぴたりと収まり、心霊体験談もほとんど聞かれなくなったとされる。


真相としての「砂の祟り」

硫黄島に駐留した自衛官は、本土に戻る際、動植物や砂の持ち出しを禁じられる。これには表向きには防疫上の理由があるが、「砂に混じる戦死者の人骨」を巡る問題が背景にある。

引退した幹部自衛官の話では、島には数多くの遺骨が未だ残されており、それらが風化して砂や小石と区別がつかなくなっている。一握りの砂の中に複数の戦死者の骨が含まれている可能性が高い。

砂を持ち帰ることで起こる現象は「祟り」として語られるが、実際には「供養を求める」という形で現れているようで、記念品として砂を持ち帰ることは、あまりにも重い責任を伴う。そのため規則として持ち帰りが禁じられているとされる。

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