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タイムワープ


寝ることはぼくのタイムワープ。
ダークホースに飲み込まれたみたいに、ほかのものを跡形もなく片付けてしまう。
記憶がないんだ。
それでいて嫌なことが過ぎ去っているんだから、これほどよく出来たものはない。

最近は、眠っても眠っても、眠り続けられる。
この意味がわかるかな。

楽しくもない。
気持ちよくもない。
寝ること。
そう感じる。時間がありあまる時ほど。

これでは良くない。
って思うのもわかる。
今日はバイトも飛ばした。
迷惑とか、自分がだめだとか、そう思う瞬間。
そうではないと気づいた。

そんなのでもいいんだ。
重要なのは突き抜けること。
泳ぎ着いた先にある島が大事なんだ。
これを正当化だと言ってくれてもかまわない。
気にならないほど、全力で呼吸を繰り返すから。
芸術は感情の爆発だ。
ぼくには作り続けているものがある。
自分が瞳孔を開いて、レーザーのような視線をもってうなづけるものをつくるためには、その爆発が必要なんだ。
あの人も、あの人も、僕には小さなビッグバンを起こしているように見えている。
遠くの遠くの銀河でいい。
科学者が観察できないほど遠くても、小さくても、ぼくは爆発しないといけない。
宇宙の片隅の地球様に、感知されるためではないんだ。

それでも、このままではだめだ。って思わせる要素が最近1つ出来た。
あの子の存在。
星が僕に語りかけるようになったから。
流れ星の裏側を知ってしまったから。
今のぼくはあの子に語りかけるライセンスを、持ち合わせていないと思ってしまうんだ。

山を超えた、少し遠くの君が、着々と作業を行う。
たぶん、ぼくよりも嫌なことや辛いことを抱えて。

それだから、すこし離れた理性を、いや、離れていく昔のぼくの感覚を、引き戻そうとしてしまう。

星が、星屑に見えたらぼくは変わっていける。
でも、僕が君と手を結ぶ星になったら、昔の僕の勝ちだ。

なんともむず痒い。
そして、なんと贅沢な悩みだろうか。

みんなには浅くのどかに見える小さな海に、ぼくは流され、四肢をめちゃくちゃにされる。
ついでに、着ている服や大事な友達も巻き込まれる。

激流の浅瀬で、ぼくは走馬灯のハイライトを迎えている。

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