プレゼント。
ある日のこと。その日は誕生日。
無意識に仕事も入れて、いつものように通勤路を行く。
狭い小道の向こうから、気づけばいつもの大型犬の彼女と、隣で紐を持ついつものおじちゃん。
「おはよう。今日も元気そうでなにより」と心の中で思い、すれ違おうと思った瞬間、
あ!
ワンちゃんのほうからゆっくりとわたしに近づき、
「撫でていいよ」の急接近。
「え!いいの?」
そのまま恐る恐る彼女の頭に手を伸ばし、その毛並みにはじめて触れる。
撫でることしばしのモフモフタイム。
おお、なんという幸せ、なんという多福感、
気づけば横でおじちゃんもニコニコ顔でこちらを見ている。
誕生日はいつの日か「生まれただけの日」になり、家族や親しい友人からしんみり祝われる日になっていた。
特にここ数年はなんの感慨もなく、
その日が近づくと「今年もきましたねぇ」といち風物詩。しかも無味乾燥に近いほうだ。
思いがけない幸福なのか、
誕生日サプライズなのか、
神は時々粋なことをしてくれるではないか。
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