【徹底考察】何があったのか
以前、「ちいかわの世界は5つに分断されている」という考察をした。
この亀裂は、危険草の根の侵食を防ぐためのものであり、そのため橋を設けることもできず、ちいかわ族は亀裂をトランポリンで行き来している。
亀裂はどのようにして作られたのだろうか。
これほど大きな亀裂ならば、断層によるものである可能性がある。
断層湖
前回の記事では、ちいかわの世界は内陸地であり、最新話(2023/03/26)に登場した「島」は「湖」の上にあると考察した。
現実世界において、湖はいくつかの要因によって作られるが、そのうちの一つに、「断層運動に伴って生じた凹地に、雨水などが溜まって作られる」ものがある。
これを「断層湖」という。
ちいかわの世界の湖が断層湖であれば、断層は湖を囲むような形で存在することになる。
「内陸部」「断層湖」「湖に浮かぶ島」
これらの特徴が全て共通する場所が、現実世界に存在する。
「諏訪湖」である。
諏訪湖は「糸魚川静岡構造線」という断層に囲まれているのに加えて「中央構造線」という断層が交わっている。
これをちいかわの世界に重ねてみると、冒頭に述べた「エリア5分割」が成立する。
ただし、現実世界の断層が亀裂になっているわけではない。
ちいかわの世界では、かつて「大きな地殻変動」が起きたのではないだろうか。
ちいかわの世界とは、現実世界の未来の姿なのかもしれない。
「文明」の痕跡は随所に見られる。
なのに生身の「人間」がどこにもいない。
ちいかわ族は生身で生活しているのにも関わらず。
なぜなのか
ちいかわの世界の過去に何が起きたか、それを知る手がかりになりそうなのが、「きねんこうえんくん」と「ラッコ」の存在である。
「きねんこうえん」と銘打つからには、その場所には重要な歴史が眠っているはずだ。
上に述べたように、ちいかわの世界が「ナガノ県」であるとすれば、「諏訪湖」のように、「きねんこうえん」にもモデルがあるのではないだろうか。
長野県諏訪市上諏訪に「立石公園」という公園がある。根拠は全くないが、この展望台と見晴らしは「きねんこうえん」を彷彿とさせる。
なお、立石公園は諏訪湖とともに、映画「君の名は」に登場する地のモデルになっている。
諏訪の地を一望する、「立石公園」にあたるこの場所で、かつてラッコは「強くなる」と誓った。
彼は「討伐」のトップランカーである。「強くなる」という誓いが「討伐」と深く関係していることは想像に容易い。この地で「過去に大きな戦闘が行われたのでは」と考える読者も少なくないだろう。筆者は「ナガノ県」の神話や伝説に、そのヒントが隠されているのではないかと考えている。
長野県には、ある争いの歴史が伝えられている。
「タケミナカタ」と「モリヤ」の戦いである。
タケミナカタは、出雲の国譲りの際にタケミカヅチとの力比べに敗北し、州羽海(=諏訪湖)まで逃れた。タケミカヅチに追い詰められるも、タケミナカタはその地から出ない旨と、大国主神・事代主神に背かない旨、葦原中国を天津神の御子に奉る旨を約束することで命をとりとめた。
その後、古くから諏訪の地に君臨していた「モリヤ」と合戦し、勝利したことでその領地を手に入れ、諏訪大社の祭神「諏訪大明神」として君臨し、神をその身に降ろす「大祝」という役職につくことになる。大祝とは、神そのものとも言える「現人神」であり、諏訪社で最も位の高い存在だった。
敗北したモリヤには大祝に次ぐ神官「神長官」という役職が与えられ、実質全ての神事を取り仕切った。モリヤはタケミナカタに敗北した後も、諏訪の権力者であり続けたのだ。
つまり……
もともと諏訪の地にいたモリヤ(ちいかわ族=きねんこうえんくん)が、襲来したタケミナカタ(人間=鎧さん)を迎え撃つも敗北。
だがタケミナカタはモリヤを粛清することなく、自分の次に高い役職を与え、異文化の共存が進められた。
大祝(人間)は役職としては一番偉いが、神長官(ちいかわ)の役割は実務の遂行。
生かされているのはどちらなのか……
【補足】ミシャグジ様
なお、モリヤはミシャグジという古い神を守ってきた。
ミシャグジは蛇神であるソソウ神と習合されたため、白蛇の姿をしているとされ、石神信仰や道祖神信仰と関連があるとも考えられている。
なお、社宮司社に祀られているミシャグジ神の石棒は一つ目である。
ミシャグジは大祝にも厳しいルール(諏訪から出てはいけない、血肉に触れてはいけない)を与えていた。
そして、蛇神とは水の神である。
あくまで「モデル」の考察だが、これらは全て「ナガノ県」で起きたことである。
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