World Scholar's Cupに出場して 日本から世界へ
1.自己紹介
僕は日本生まれ日本育ちの高校2年生です。今年一番の思い出となったWorld Scholar's Cupについて紹介したいと思います。
2.World Scholar's Cupについて
①概要
World Scholar's Cupは中高生の教養・知識を英語で競う国際大会です。2007年に韓国で最初の大会が行われ現在までに世界40か国で行われています。大会主催はアメリカのDemiDecという教材出版会社が行っており、日本では2012年に始まりました。競技の公式キャラクターがアルパカで、大会に参加するとアルパカのぬいぐるみをもらうことができます。
この大会では
・Team Debate(ディベート)、
・Scholar's Challenge(歴史や文学、メディアなどの知識を問う6科目×20題=120問、75分のマーク式ペーパーテスト)、
・Scholar's Bowl(6科目に関連した15秒クイズ)、
・Collaborate Writing(6科目に付き一つ、その内容に関連したお題について
文章を書く)
の4競技を行い、それぞれの競技で順位が発表されチームと個人で成績が出されます。
②大会の流れ
日本での地方大会(Regional Round 東京、関西、九州)
↓
世界大会(Global Round世界4箇所)
↓
決勝大会(Tournament of Champions アメリカイェール大学)
僕は2022年5月4日に東京で地方大会があり9月の世界大会、そして11月に決勝大会ToCに参加しました。
2022年5月4日;東京大会 7月16・17日:九州大会
世界大会 6月:ドバイ
8月:プラハ
9月:バンコク、(9/2~9/7)
ニャチャン(ベトナム)
10月:ケープタウン
決勝大会(Tournament of Champions):11月11日〜17日
アメリカ・イェール大学(コネチカット州)、日本含む41か国が参加
③大会参加の経緯
僕は教育委員会が主催する英語のプログラムに所属しており、プログラムの一環で5月4日にWSCの東京大会(秋葉原にて)で参加、世界大会出場権を獲得し、今回バンコクでの世界大会(Global Round)に参加しました。チームメイトが帰国子女だったこともあり、バンコク大会でイェール大学でのToC参加権を獲得しました。
④WSCの6科目と2022年度のトピック
WSCの大会では、歴史、文学・メディア、社会、サイエンス、スペシャルエリア(毎年変わる)、芸術・音楽の6科目から出題されます。有名なものからマニアックで難しいものまで様々あり、とても興味深いです。
今年の大会テーマは”A World Re-renewed”。直訳すると「更に新しくなった世界」。2020年と2021年は日本を含め大規模には開催ができなかったため、2年経った「新しさ」を象徴しているのだと思います(僕個人の感想です)。
3.各競技の詳細
1.Scholar's Challenge
6科目×20問の75分マーク式ペーパーテストです。教科書に掲載されるような有名な内容から、とある国の人物や出来事にちなんだあまり知られていない内容まで様々です。正直結構難しいです。
2, Collaborative Writing
6科目の内容にちなんだお題が各科目一題ずつ出題され、それらに従って文章を書く競技です。各大会、とてもおもしろいお題が出題されるのが特徴です。参考までに僕が選んだお題を紹介します。
Bangkok Global Round(Special Areaより)
Design a policy to ensure that the mistakes made by people of different genders are treated similarly
ToC(Social Studiesより)
Choose a famous person who died at least 100 years ago. How would biographies written about them at the time of their death differ from ones written about them today?
語数制限や、形式制限などがないため、配布された解答用紙の分だけ好きなだけ書くことができます。また事前に15分のリサーチ時間と、個人作業後のチーム内チェックの時間が在るので、個人完結の競技ではないというのも特徴です。解答用紙の余白にアルパカの絵を描くとスコアが上がる??
3, Team Debate
正直一番苦手で一番緊張しました。どの大会でも周りが帰国子女やインターナショナルスクールの学生だったのでスピードがとても速く、レベルが違いました。ディベートのトピックも6科目に関連しており、肯定側・否定側に分かれて討論します。最初に肯定側の主張・定義を述べ、否定側の主張を述べた後、交互に反論と具体例を述べていく形式です。
4, Scholar's Bowl
チームで協力して行うクイズです。6科目に関連していますが、Scholar's Challengeよりもややカジュアルで面白いのが特徴です。Scholar's Challengeと同様結構難しい競技で速いのでリスニング力をつけておくことをおすすめします。この競技の冒頭にAlpaca Balanceという、アルパカのぬいぐるみを頭の上に載せて、誰が最後まで続けられるかというイベントがあります。
4.その他WSCのイベント
①Tour(世界大会・ToCのみ)
世界大会とToCは参加人数が多いため、競技やイベントが行われない日を利用してWSCの主催のツアーがあります。バンコク世界大会では水上マーケットとアユタヤ遺跡、ToCではボストン、ハーバード大学とMITキャンパスツアーに行きました。現地の人とのふれあいを楽しむ貴重な機会です。
②開会式と閉会式
大会初日に開会式、最終日に閉会式が行われます。どちらも主催者DemiDecの社長ダニエルを中心に行われ、WSCの紹介や、世界大会の説明、合唱などが行われます。閉会式では異なる国籍の参加者が国旗を持って入場し、ステージに並ぶFlag Bearerがあります。
また世界大会とToCでは開会式の後にScavenge Huntというものがあります。参加国の参加者が他の国の参加者とバラバラにチームを編成され、外で色々なミッションを行います。同じチームには同じ国の人がいないので、やり取りは全部英語になります。バンコクでは遊園地で、ToCでは大学近くの公園で行われました。チームで一斉に声を出したり、アルパカの鳴き声の真似をしたり、誰かが腕立て伏せをしたり様々でとても楽しいです。
③Culture Fair(世界大会・ToC)
参加国の文化や食べ物を紹介するイベントです。僕が参加した際はコロナ禍ということもあり、日本ブースは食べ物を提供するのは控えましたが他国は普通に提供していました。折り紙やけん玉、ヨーヨーや絵葉書、英語版パンフレットを通じて日本を紹介しました。
④Scholar's Ball
参加者全員がライブハウスに集まって熱く踊ります。知っている洋楽から知らないものまで様々な曲が流れみんな声を出して歌うイベントです。とにかく熱く、みんな一番元気になる場所です。
⑤Scholar's Show(日本国内だとTalent Showとも言う)
参加者が自分の特技や趣味をステージで披露するイベントです。個人で行う場合は事前にオーディションがあるらしいですが、毎年日本チームはぜんいんで「ソーラン節」を踊ります(団体だと優先されるとか?)。World Scholar's Cup Japanとロゴ入りの青いハッピを着ます。個人だと歌を歌ったり、ピアノを演奏したり、いろいろです。
⑥Scholar's Social(世界大会・ToC)
大会期間中のランチとディナーは会場の近くのホテルの広間などに一斉に集まって摂ります。同じテーブルに違う国の人が居ることが多いので、すぐに
友人を作ることができます。
5 WSCの魅力・参加して感じたこと
WSC参加の魅力は2つ在ると思います。
1つ目は「学ぶ楽しさ」を見つけることができるということです。Scholar's Challengeの勉强をしていて、知っているものから知らないものまで様々でした。知らなかったことを知ると自分が少し賢くなった気がします。大会終了後も勉強した内容が時々テレビのニュースやクイズ番組で遭遇したこともあるので勉强は無駄にはなりません。最近話題の映画やアーティストなどがトピックに登場することも多いので学校でやるガッチガチの「科目」のイメージとは違うのも特徴です。
2つ目は自分の価値観を広げることができ、世界に近づけることです。僕は純ジャパなのでそんなに英語がペラペラに話せる人間ではありませんが、他の日本人参加者は帰国子女や国内インターナショナルスクールの生徒でした。レベルの違う英語力に刺激をもらい、また海外の人々と多くの交流を重ねたことで、自分の持っていた「世界」のイメージが変わりました。同時に海外に友人も作ることができ、今でもInstagramで連絡を取り合っています(ToCで再会した人も)。
あくまで僕個人の感覚ではありますが、日本の「英語教育」の話をしたいと思います。僕達が学校で学ぶ英語はReadingやListeningといった知識を活かすものばかりです。「国際人」として世界で活躍するためには学校の授業でもWritingやSpeakingといった「表現力」やディベートを学ぶ機会が必要不可欠だと思います。
WSCは日本ではまだまだ知られていない大会です。僕の心を変えたこの大
会を広げ、将来更に発展してくれればと思います。
6.コロナ禍での海外渡航
世界大会のタイでも、ToCのアメリカでもマスクを着けている人はほとんどいませんでした。日本にいるときは毎日着用していたので僕は基本的に常にマスクはつけるようにしていました。ワクチン接種証明などやや大変な面もありましたがスムーズに移動するこ
とができました。
7.参考リンク
WSC Japan公式サイト
WSC公式サイト(英語版)
僕がScholar's Challengeの勉强に使用したサイトです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
質問・感想等あればぜひお寄せください。