眠る為に目を閉じたのに
目を閉じると浮かぶ光景。
あぁ、あの人はこんな顔をしていたな。
私に触れる時の指や手の感触。
お風呂で後ろから抱きしめられていた時の安堵感。
目を瞑って、このまま時が止まればよいのにと心から思った心地よい時間。
あの時間と空間は2人だけのもの。
名前のない関係。
それでいいと思っていたのに、
途中から言い聞かせる自分に気づいた。
私は好きになってしまったんだな。
触れる手も、抱きしめる腕も、
掛けられる言葉も全部優しい。
なのに、1番ほしい物はもらえない。
愛し合うためにする行為は
私だけが心を奪われ、虚しさだけが積んでいった。
優しさは覚えてる。でも同時に涙が溢れる。
想っても仕方ない人を想っても仕方ない。
涙は流したまま、眠ろう。