復讐の状態

憎悪の続きです。

知らぬ間に涙が出てくるくらいの憎しみを経験したこともない人は言います。

いわく「憎しみなんて、持っていてもなんの解決にもならない。」
いわく「復讐なんてして、なんの意味がある」

こんな言葉しか出ないなら会話はしない。
二人の親友と家族以外とは、一切繋がりを絶とうと決めました。
ですが、縁が強すぎて、切ろうとしても切れなかった友人もいたのにはビックリしました。

憎しみだけが自分の存在意義でした。

憎悪と一緒に、当たり前のように復讐を考えます。
すぐに結果が出るような方法では、相手に苦痛をあたえられない。
私が頭の中で反芻したのは、目の前で自殺、でした。

自分の腹を横三文字、最後に縦にひらいて、内臓を相手になすりつけ、耳元で
「幸せになりそうになったら、お前はこの光景を思い出す」
とささやく。

何回も想像しました。
実際にはできない。血はつながっていないが、命よりも大事な子どもがいたから。
想像通りの復讐を果たすと、その子が苦しむ。母の地獄と、私の死。
頭の中での復讐と、できない葛藤の繰り返しの毎日。
そこで、過去に生霊の体験がある私は気づいてしまった。

「これほどまでの憎悪なら、必ず生霊がとぶ。そうしたら、やつは地獄だろうが、母が苦しむのを見るあの子はもっと苦しい」

こうなると、憎むことさえできない。
思うこともはばかられる。
憎しみを、ぶつけたい。頭の中だけでも復讐したい。なのに、それもできない。
これが本当の地獄だった。
声にならない声がいつも漏れていた。

発散方法は、ない。
親友は、いつも私の恨み言と復讐を聞いてくれた。
自分でもわかるほど、禍々しい恨み言の多さに、聞いてくれる彼らの精神に害がないか心配した。

ヒューマンバグズ大学の『拷問ソムリエ』を見るたびに、理不尽の暴力を受けた人間の復讐代行を依頼するシーンでは、私も歯をくいしばって泣く。時には嗚咽もでる。
悔しくて悔しくてたまらない。
今でも、この動画の依頼シーンではぐっと歯をくいしばる。

復讐代行の漫画では、登場人物に共感して、悲しくて泣く。文字通り、他人の気持ちが、わがことのようにわかり、悲しくなって泣く。そして、その人物の復讐が果たされた時、私も少し軽くなる。

あいつの好きな酒を嫌悪し、酒好きな地元を嫌悪し、日本を嫌悪した。
しかし、国外に逃げる余裕がないので、私は県外に出張に出るようになる。

これを読んでいる方の知り合いに、同じような状況の人がいるけれども、あなた自身はそんな感情を理解できない人は知ってほしい。

憎しみも、復讐を考えることも、否定しないでほしい。
あなたたちとは見えている景色も、聞こえている音も、住んでいる世界が、何もかもが違う。
楽しいことなど、何一つない。他人の幸せは、ノイズでしかない。よほどの親友でなければ、幸せを聞かされたら知らぬ間に側から消えるかもしれません。

ただ、本当にキレイなものだけは、希望になります。
どんなに恨み言を吐いても、黙って聞いてくれる親友。
一人は、長い長い親友だったから、捨てられるとは思わなかった。
もう一人は憎しみにとらわれたときから心配してくれた人。だから、いつか捨てられると思っていた。
でも、どんなに稚拙なことを言っても、何度死にたいと嘆いても、私を捨てずに必ず返事をくれる。時には、「これでさすがに捨てるだろう」と試したこともある。

あなたたちがいたから、私は今、昔のように笑えるようになった。
感謝してもしきれない。私も、誰かをすくい上げたい。これは、経験者にしかできないことだから。

現在、憎しみも復讐も考えない。たまに発作のように堕ちてしまうが、すぐ帰ってこれる。
そんな状態なので、この文章は本来の半分以下の表現しかできていないと思う。

同じような友人、家族がいる人は、めげずに声を聞いてあげてほしい。聞いてあげるだけでいい。



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