ENFJ男というレアキャラとの思い出を振り返る
そういえばMBTIと男女差に関する記事をまだ書いていないなと思った。腰を入れて書いてみたいのは山々なのだが、最近筆者は色々余裕がなく、ろくな記事を執筆できないでいる。
そういったボヤキは置いておこう。MBTIには結構男女差がある印象で、筆者の経験上男性で最も見つけにくい性格タイプはENFJではないかと思う。ESFJ・ENFP・ENFJの3つはかなり女性寄りの印象があるが、その中でもENFJは元がレアキャラなので、尚更男性となると少ない。(ISFJもそうだけど、絶対数が多いので男性でもよく見る)
筆者の思い浮かべる男性ENFJは本当に数人しかいない。しかもその多くは、後から思い返してENFJだと思った人物である。INFJと同様に、ENFJは外形的にこれと分かる特徴が意外になく、初見ではわからなかったりするのだ。
その中でも筆者が特に印象に残った人物がいる。Jさんとしておこう。
学生時代の筆者は色々と無謀というか世間知らずというか、今から思えば笑ってしまうようなことで真剣に悩んでいたりもした。特に黒歴史だったのが以前の記事でも書いた地雷系INFPの話である。
具体的にどうだったのかは想像に任せるが、筆者は大変情けない状態だった。色々とこじらせていたような気がする。冷静に考えたら恋愛の方法などいくらでもあったように思えるのだが、当時は視野狭窄に陥っていたのである。
そんな中、Jさんと仲良くなった。Jさんは先輩だったのだが、めちゃくちゃ面白い人で、初めて知り合ったときは大変個性的な下ネタを披露して筆者は大笑いした記憶がある。続いてJさんは熱い恋愛論を語り始めたので、不健全状態の筆者は色々と自分の話をしてしまった。当時は理由のわからない思い込みで頭が支配されていて、ネット上で流行るアンチフェミみたいなことを考え始めていた。
そんなバカみたいな話をJさんは真剣にきいてくれて、その日は夜中までキャンパスで語り明かした。建物を出て、芝生の上で酒を奢ってくれたので、二人で熱く恋愛のこととか、未来のこととか、色々と盛り上がった。楽しかった。
Jさんは冗談好きで面白いことをたくさん考えている人だったのだが、結構理想主義的で、ENFJ特有の説教臭いところもあった。筆者が色々とバカにした発言をした時にJさんは結構ガチで起こり始め、一時間くらい説教をされたときもある。学生の感覚だと結構痛いムーブなのではないかと思う。ただ、筆者はむしろJさんの人格に感動したのだった。Jさんは頭も良く、アカデミックな独自研究の構想も語ってくれた。知識人かぶれの人間にありがちな、自慢げなイライラ感が一切なく、そういった意味でも尊敬できる人だった。
Jさんはあまり同級生との関係はそこまで得意では無さそうだった。コミュ強ではあったのだが、ややクセがあるという感じである。なんというか、SF型方面の能力はあまり高く無さそうだったのだ。露骨な理想主義者だったり、こだわりが強かったり、説教臭かったり、そういう振る舞いはSF型の世界ではあまり好かれない。また、NT型の集団にありがちな、競争主義的な感覚も無さそうだった。NT型の集団ではJさんのようなタイプは純朴すぎてあんまり尊敬されないのではないかと思う。
Jさんのすごいと思ったところは、NF方面の能力が突き抜けて高かったところである。多分、筆者の人生の中でも一番とか二番といったレベルかもしれない。型にとらわれない他者交流にかなり長けていた人だった。筆者のくだらない身の上話に関してもすぐに理解を示したし、進路等の悩みにも的確に寄り添ってくれた人だったと思う。厳しい態度を取るわけでもないが、相手に合わせるわけでもなく、本当に絶妙な間合いなのである。色々と積極的なタイプだったが、かといって承認欲求モンスターでもなく、嫌味はまったくなかった。ただ同調圧力の強い集団や、能力を発揮できない集団、競争的すぎる集団では人格に見合った立場は作りにくいと思う。
そんなJさんだが、学力的にはかなり突き抜けており、地元では異次元の神童だったらしい。ただ、そういった優秀層は、だいたいが花持ちならないエリート主義者だったり、サイコパス傾向があったり、発達障害を抱えていたりした。Jさんはそういった要素もなく、ただただ人格者だった。優秀な人に特有の近寄りがたい雰囲気がまったくなかったのだ。
ここまで書くと完璧人間のようだが、これは後から振り返って理解できたことだ。当時はちょっと変わっているけど、面白くて頼りになるお兄さんという感じである。偏差値が高いとか出世しそうといったNT的な尺度ではなく、自然とその人に従っていきたくなるような、不思議なオーラの人だった。宗教家のセンスはピカ一だったと思う。
NT型のように自分の能力や優位性を示したいという動機はあまり感じなかった。必ずしも人前で口に出す訳では無いが、心の底では理想主義の炎が燃え盛っていたのだろう。一方、JTCや外資系に望んで就職したものはあまり知らない。ENFJが満足できるような理想主義を抱きにくいため、優秀な人ほど物足りないと感じるかもしれない。INFJと比べると、ENFJは「黙っていない」ことが特徴で、社会人になっても何かしらの発信をしているものばかりである(Jさんは職業柄難しいかもしれないが)。
NFJ型と保守的な大企業の相性はそこまで良いと言えないが、それは会社員の仕事が理想主義と縁遠いからであり、NTJ型のように自分の能力を示すことを至上目標としないからでもある。こうした日本型会社組織の集団意識を支えているのは、S型と親和性の高い派閥主義や愛郷主義であり、理想主義ではない。筆者の観察ではあるが、Niは眼の前の興味というより、プロセスの積み重ねが最終的にどういう意味を持つかを重視しているみたいである。
NFJ型に明らかに向かないのは悪徳商法や違法行為を行っている会社とか、そこまで行かなくても利益至上主義の会社などだろう。裏社会まで行くと一周回って弱者保護的な感性が出てくるかもしれないが、筆者はあまり詳しくない。政治家に振り回される幹部公務員もそこまで向いていないような気がするが、能力でカバーするだろう。
筆者のようなNP型は色々と目移りしてしまったり、遊び半分であることも多いので、彼らほどの一本筋は抱けないと思う。NP型を理想主義者と言えるかは微妙で、どちらかというと計画的偶発性理論のほうが肌に合うだろう。過去と未来に関するナラティブを設定し、それに従って努力するという感じは乏しい。自分の人格や価値観を振り返ってみると、Jさんの足元にも及ばないと反省させられる。人にそう思わせるカリスマ性がENFJにはある。
その後、Jさんは教祖……ではなく、裁判官になった。Jさんの能力や人格はどう考えても官僚向きではないし、サラリーマンになっても能力の無駄遣いだろうし、拝金主義的な感じもなかった。なるべくしてなったという感じである。筆者は日本の裁判制度に信頼を置いているのだが、70%くらいはJさんの影響である笑。