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MBTIで語るオウム真理教〜麻原彰晃はINFJではなくENTJだった?〜

 今回はMBTIで語るオウム真理教である。戦後日本において最大級の刑事事件がオウム真理教事件であることは間違いないだろう。首謀者の麻原彰晃は判決文で「我が国史上最も凶悪な犯罪者」と言われた。世界初の化学兵器を使用したテロという点でも目を引く。これを実行したのが通常の反政府組織ではなくカルト宗教だったという点でも異例である。

 しばしば教祖キャラ=INFJと言われることがある。それは間違いではないのだが、麻原彰晃がINFJかというと微妙であり、実際はENTJなのではないかと思っている。今回はMBTI的な観点を元にオウム関係者のMBTI考察を行ってみたい。

 一応オウム事件について整理しておくと、重要な殺人事件は以下の通りである。

1989年 男性信者殺害事件(死者1人)
1989年 坂本弁護士一家殺害事件(死者3人
1994年 松本サリン事件(死者8人)
1995年 VX連続襲撃事件(死者1人)
1995年 目黒公証人役場事務長拉致事件(死者1人)
1995年 地下鉄サリン事件
ほか内部粛清が2名。

これとは別に信者の不審死・行方不明者が50人ほど。教団の内部粛清と思われる。

麻原彰晃:ENTJ

 麻原彰晃のパーソナリティに関しては議論あるところだが、少年時代のエピソードを見る限り、ENTJではないかと思う。選挙に出たがったりするのは典型例だ。人前に出て、イニシアチブを取ることに何よりも憧れていた人間なのだと思う。盲学校時代は全盲の生徒を支配し、自分の王国を構築していた。こうした原体験が麻原彰晃という人間を作り出したのだろう。

 他に可能性があるとすればINTP・ENTP・INTJ辺りだろうか。ただ、IN型にしては結構人前で適当なことを言うことを恐れていない印象である。ここまで目立ちたがり屋となると、INTJやINTPの線は消えるのではないだろうか。オウム真理教を見ても、麻原の顔を模した着ぐるみや、麻原が歌ったオウムソングなどが大量に配布されており、かなり人前に出たいタイプだと思う。ENTPにしてはちょっと支配的かなと思う。

 NT型あることは間違いないと思う。麻原彰晃はあまり自己犠牲を払うタイプではなく、裁判や拘禁中を見ても、とにかく自分が死刑にならないことばかり考えていたに違いない。20年以上に渡る詐病は驚異としか言いようがないが、Niユーザーであれば可能な話だと思う。いわば麻原彰晃の余生を賭けた挑戦だったのかもしれない。というわけで、麻原彰晃はENTJだろうと考える。

 麻原彰晃はきっと劣等感の強いタイプの人間だったのだろう。盲学校のような狭い世界においては「王」になれたが、外の世界では相手にされなかった。そういった人生が人格の歪みを引き起こしたのではないかと思う。これは挫折を経験したNT型であれば、誰しも起こり得ることだ。麻原彰晃は大蔵官僚になろうと東大文一を受験したり、典型的な予後不良なNT型ではないかと思う。ただやはり麻原彰晃の他者理解の能力は天才的としか言いようがない。NF方面の能力にかけてはピカイチだったと言える。以前は麻原彰晃はテレビにも出ていたのだが、幸福の科学との論戦を見ていても、麻原のほうが遥かに深いことをやっているように見えた。

 まだ社会とまともに関わっている間は良かったが、教祖というのは意外に孤立した立場であり、世間からズレていくと歯止めが効かなくなる。そういった意味では麻原彰晃は陰謀論にハマる中高年に近い状態だったのかもしれない。個人崇拝の最も良くない点はリーダー自身がおかしくなってしまう点である。

 他にも麻原の動機は無限に思いつく。教団の経営は全財産をむしり取って出家させる焼畑農業的なものだった。こうした経営状態が長続きするはずもなかった。1994年に松本サリン事件で8人を殺害してからは教団の事件はますますエスカレートしていった。シリアルキラーと同じで、一度殺戮に手を染めると心理的ハードルが下がってしまうのだ。麻原の命運は1995年の年初に上九一色村からサリンが検出された時点で決まっており、松本サリン事件による死刑は免れなかっただろう。ただ大量破壊兵器を保有した状態で素直に麻原が捕まるわけもなく、サリンを実戦投入したくなるのは当然である。教祖の「ヤケ」に付き合わされた信者は災難であり、瀧本弁護士が麻原以外の死刑に反対していたのも、わからんではない。

 2018年7月6日、死刑執行。

早川紀代秀:ENTP

 本人は認めていないが、オウム真理教第二の男である。ただ教団内の階級はなぜか最上位ではなかった。オウム幹部の中では麻原より年上で、サラリーマン経験も長かったため、それなりにバランスの取れた人間ではあったようだ。そういった普通の人でありながら、大のオカルト好きというオタクな側面もあり、いかにもENTPという感じである。政治に関心がありそうで日和見だったりする。20世紀少年の万丈目は早川に似ている気がする。

 早川は熱心な信者ではあったが、教団のテロ事件にはあまり関わっていなかった。どちらかというと用地買収や武器工場などの案件に関与していることが多かった。外回り要因としては一番の有能であり、やはりサラリーマン経験の賜物か。殺人行為には向かないと判断されたらしい。しかし、坂本弁護士一家殺人事件に関与していたとして、死刑判決を受けた。まあ、早川の立ち位置を考えるとやむを得ないだろう。

 早川はNT型の幹部にしては珍しく早期に罪を認めて謝罪した。マインドコントロールという雰囲気もない。早川は途中で教団の暴走に気付いていたと思われるが、それでもオウムに参加しつづけた。内心まずいと思っていても、教団の切り盛りや麻原のキャラクターが面白くて、ズルズル行ってしまったのだろう。早川からはそういった自己責任的な後悔がうかがえる。やはり20世紀少年の万丈目そっくりである。

 2018年7月6日、死刑執行。

村井秀夫:INTP

 村井はINTPである。他の候補はない。この人は本当にマイペースで、かなり浮世離れしていたようだ。京大にも受かりそうな実力だったが、家から近い阪大を受験し、確か一位で合格したはずである。かもめのジョナサンを読んでオウムに入ったというエピソードが有名だ。筆者もこの本は読んだのだが、まさにオウムの解脱そのものである。

 早川とは対称的で、村井は仕事ができなかったようだ。村井の発明品で機能したものはほとんどないが、唯一松本サリン事件の噴霧器だけはうまく働いた。皮肉なものだ。村井はちょっとマッドサイエンティスト的なところがあって、被害者を巨大電子レンジで燃やそうとして止められている。こんなところもINTPの悪いところが出ている。村井は坂本弁護士一家殺害事件の実行犯であり、松本サリン事件と地下鉄サリン事件では犯行を実質的に主導した人物とされている。

 ただ、上祐などに比べると温厚な人物であったことは間違いなく、見た感じも純朴で騙されやすそうな人間である。オウムがテレビ出演したときも上祐と一緒に出演していたが、余計なことをべらべらと喋っていた。こうした態度が危険視されたのか、地下鉄サリン事件の1ヶ月後に暗殺される。事件の背景は未だに不明である。生存していたら100%死刑になっていたことは間違いない。

 筆者は村井が教団のハードな修行に耐えられたのか不思議でならないのだが、麻原は人によって態度を変えていたことは容易に想像が付くので、あまり強くは求められなかったのだろう。どうでもいいが20世紀少年のヤマネに似ている。

 1995年4月23日、暗殺。

上祐史浩:ENTJ

「ああ言えば上祐」で知られるオウム真理教の「外務大臣」であり、主要幹部で死刑を免れた人物である。出所後はアーレフの代表を務めたあと、ひかりの輪として独立している。

 上祐はまごうこと無きENTJである。というか、ENTJというのはあんな感じの人物といっても良い。前に立って議論したがるタイプではあるが、ENTPと違って異論反論は許さない。理想主義者ではあるが、博愛主義者ではなく、自己犠牲の精神もあまりない。したがって、自己保身にかけては天下一品である。上祐は1993年の炭疽菌事件を最後にテロ事件には関与しておらず、大事な時はだいたい海外にいて、アリバイを作っていた。

 上祐はアーレフの代表になるや否や麻原との決別を宣言し、アーレフを自分の教団にしたかったみたいだが、その魂胆があまりにも見え透いていたため、他の信者から反感を買い、最終的にはアーレフを追い出されている。現在の上祐は好き勝手に信者相手に長舌を振るっているようだ。ひかりの輪は健全なサークルを名乗っているが、その正体は上祐の老後とプライドを保証するためだけの団体といっても過言ではない。自己保身にかけてはうまい男である。

 現在はひかりの輪代表として活動中。

新実智光:INFJ

 オウム真理教の殺人マシンである。教団の殺人事件の全てに関与し、不審死事件や内部粛清にも必ずと行っていいほど顔を出している男だ。オウム真理教幹部の中では村井や中川と並んで最も罪の重い人物である。麻原への忠誠心が強く、大柄な体格もあって、実行犯として積極的に参加していた。教団の暴力装置と言っても過言ではない。

 新実は麻原の言いなりで、忠犬のような人物だったようである。こう書くと残忍なサイコパスのようだが、実際はそうでもなかったようだ。もともとは真面目なセールスマンで、初期の事件では思い悩むなどしていたらしい。しかし、殺人を繰り返すうちに感覚が麻痺していったようだ。最初の男性信者殺害事件で手を下したのに始まり、坂本の妻を絞殺し、松本サリン事件でサリンを散布し、VX連続襲撃事件でも実行犯となり、地下鉄サリン事件でも運転役を務めている。新実は他の幹部のように高学歴でも専門的な知識を盛っていたわけではないが、自分にできることは現場仕事だと思い、教団の汚れ仕事を熱心に行っていたようである。

 忠犬というとESTJのように思えるが、どうにもINFJとかだったんじゃないかという疑念が尽きない。逮捕されても反省の色はなく、相変わらず麻原への信望を保っていた。保身を図るような言動も特になかった。むしろオウム真理教の理想のために殉じるつもりだったようだ。オウム真理教のビデオでもだいたい登場する古参幹部で、そこそこ人望はあったんじゃないかとも思える。悪い思想にハマったINFJという可能性は捨てきれない。

 2018年7月6日、死刑執行。

井上嘉浩:INTJ

 地下鉄サリン事件の現場指揮役だったとして、オウム幹部の中では最年少で死刑になった男である。一審では無期懲役だったが、二審で覆された。井上は「諜報大臣」として教団のテロ行為を主導していたし、地下鉄サリン事件の実行犯が死刑になって井上が生きながらえるというのもおかしな話なので、極刑はやむなしだろう。

 井上はあまりF型っぽいエピソードは見られない。どちらかというと主張の強いタイプだったのではないかと思う。自分の信じたものには真剣で、修行も人一倍熱心にやっていた。麻原をして修行の天才と言われただけはある。目標達成志向の強さはINTJ的だろう。個人的な妄想だが、井上はもっと早く生まれていたら確実に革マル派とか日本赤軍に入っていたと思う。

 オウム幹部を見ていると、NT型の人間はだいたい自己保身に走っている気がする。NF型のような自己犠牲精神はないということだろうか。麻原への信仰は冷めていたが、宗教的な価値観は捨てていなかったらしい。NT型らしく、人よりも真理の方に目が行っているというわけである。井上は麻原個人というよりも修行が好きだったのだろう。

 2018年7月6日、死刑執行。

青山吉展:INTJ

 上祐2号という感じである。ああ言えば上祐とはいうが、青山は更に面倒くさそうな人物だ。青山は教団の顧問弁護士で、大学三年生にして司法試験に合格するというエピソードを持つ。実家はアパレル経営で大金持ちだったらしい。

 青山も上祐と並んで教団の最高位の幹部のなかでは死刑を免れた人物だ。地下鉄サリン事件では謀議に参加していたが、発言をしなかったので関与は認められなかった。単純に興味なかったのかもしれないが、上祐と同じでリスクを取らなかったのかもしれない。xNTJというのはそういう人たちである。

 現在は親の金でニートをやっているという噂である。

土谷正美:INTJ

 土谷はオウム真理教の最重要人物である。彼こそがサリンの開発に成功し、教団を人類史上初の化学兵器テロへ導いたからだ。

 土谷はもともとアカデミアを志していたようだが、やはりこの業界は厳しく、心が折れていたようだ。そこにオウムが資金と施設を提供したのだから、土谷は大喜びである。親が土谷をなんとか脱会させようとしたが、保護施設から脱走されてしまった。1993年にはサリンの合成に成功している。村井や遠藤と違い、土谷はホンモノの科学者だった。その才能がテロリズムに使われたのは悲劇である。土谷は二度のサリン事件に直接関与したわけではなく、教団の化学兵器を製造しただけである。土谷を死刑にできるのかという点はちょっと問題になったが、松本サリン事件を受けて明らかに用途が分かっていたのにもかかわらず、化学兵器を作り続けたということで死刑になった。

 土谷は上祐と違って理系感があり、あまり専門分野以外には顔を出さない。学者タイプというと村井が思いつくが、実際に学者になるタイプは土谷である。かなり神経症傾向が強いようで、うつ状態になっていたようだ。ストイックな雰囲気も合わせて考えると、まあINTJだろうと思う。

 2018年7月6日、死刑執行。

遠藤誠一:INTP

 無能な方の科学者である。性格の悪い村井という感じだ。理系研究者という理由で麻原に引き抜かれ、教団の生物兵器開発をやっていたが、一回も成功しなかった。ボツリヌス菌や炭疽菌の培養も試みたが、異臭を放つ納豆状の何かが生まれただけだった。このまま引き下がっていれば死刑にはならなかっただろう。

 遠藤が生物兵器の開発に失敗すると、代わってあとから入ってきた土谷が麻原の寵愛を受けるようになった。遠藤としては面白くない。事あるごとに土谷に嫌がらせを繰り返し、両者は犬猿の仲となった。遠藤は北大医学部卒という嘘の学歴で土谷にマウントを取っていたとか。本当に狭小な人間である。

 無能だがプライドだけは一人前の遠藤は麻原の前でいいかっこをしたかったらしく、松本サリン事件の実行犯を買ってでたり、地下鉄サリン事件のサリンを調合したりした。その結果、死刑となる。土谷と遠藤の対立はアカデミアのゴタゴタを彷彿とさせるだろう。

 遠藤のタイプは微妙である。INFPっぽいところもあるが、F型っぽいエピソードはあまりない。INTJにしては動揺しているようにも思える。消去法でINTPという辺りが妥当かもしれないが、INTJでも通ると思うが、麻原との対談を見ていると、どこかヘラヘラしたオタク感があって、INTPっぽい。

 2018年7月6日、死刑執行。

中川智正:INFJ

 真面目で正義感の強い秀才といったところだろうか。ブルーハーツの甲本ヒロトや水道橋博士と中学の同級生らしい。奇跡の学年である。京都府立医科大学出身の医師なのだが、勉強のできるINFJが医学部に行くのは既定路線なのだろうか。どうも、元からメンヘラ的なところがあったようである。

 中川は暴力に縁があったタイプには見えないが、出家してまもなく坂本弁護士一家殺害事件の実行犯となり、坂本の長男を窒息死させている。このギャップは一体なんなのか。どうも坂本に塩化カリウムを注射して殺害する計画があったからだろうか。しかし初期研修ドロップアウトの中川にそんなことはできず、最後は新実らが絞殺している。やはりINFJ特有の人の良さに漬け込まれている気がする。

 中川は化学の専門家ではないが、理系に強そうだと思われたのか、土谷・遠藤とともに化学兵器製造に関与する。両者の橋渡し役を期待されたのかもしれない。松本サリン事件では実行犯であり、地下鉄サリン事件でもサリンを製造している。罪状としては新実や村井とならんで最も重い部類である。正直、中川の人物像に残虐性を感じさせる要素は存在しないのだが、本当に不思議である。本人もかなり罪悪感を感じていたようだ。やはり人の良さと真面目さに漬け込まれた感じがある。進んで殺人に加担していた新実はともかく、中川や端本が稀代の大量殺人犯になってしまったのは不幸である。

 2018年7月6日、死刑執行。

林泰男:INFJ

 顔からしてINFJである。とても優しい人物だったようであり、ぐう聖のようなエピソードしか出てこない。

 地下鉄サリン事件の実行犯として一人だけ3パックのサリンを引き受けた。頼まれたら断れない性格だったらしい。地下鉄サリン事件の被害の大半は林泰男がサリンを散布した日比谷線で発生しており、結果的にオウムで1番多くの人間を殺した人物になってしまった。犯行後は彼女と一緒に1年半にわたって逃亡するが、逮捕される。

 オウム真理教のMBTI考察をしていると、「いい人」に限って大量殺人犯に仕立てあげられていてるように思える。林泰男は裁判で「被告人の人間性を取り立てて非難することはできない」と裁判長に指摘されていた。

 2018年7月26日、死刑執行。

林郁夫:INTJ

 地下鉄サリン事件の実行犯で唯一死刑を免れた人物である。なんと慶応医学部卒であり、向井千秋の指導医にして、石原裕次郎の担当医だったこともあるそうだ。オウム真理教附属病院の院長であり、他にも多数の不審死に関与していると思われるが、真相は闇の中である。

 林郁夫は地下鉄サリン事件でいち早く自供したことで減刑されているが、どうにも自己保身が動機だったらしい。他の幹部からは良く思われていないようだ。ここの割り切りもINTJっぽいと言える。

 現在収監中。事実上の終身刑と言われる。

広瀬健一:INTJ

 この教団はINXJしかいないのだろうか。広瀬健一もたぶんINTJだと思う。大変優秀な研究者だったのに、オウムにハマってしまったことで殺人犯になってしまった。地下鉄サリン事件の実行犯の一人である。

 書いていて思うのだが、研究者として将来が嘱望されるタイプはINTJが多く、INTPはあんまりいない気がする。獄中の広瀬を見ていると、本当に知的探究心が高い人というのを感じる。

 2018年7月26日、死刑執行。

端本悟:INFJ?ISFJ?

 オウム真理教の凶悪犯の中では最も従属的と言われる人物である。特に役職についていたわけではないが、単に体が大きいという理由で坂本弁護士一家殺害事件に動員され、松本サリン事件でも噴霧者の警護をさせられた。本人はオウムから心が離れていたようだが、坂本の殺害に手を貸していて、引き返せなかったようだ。もともとは教団にハマった友人を助けるために入信したのに、ミイラ取りがミイラになってしまった。他にもあまり残虐性や自己保身を伺わせるようなエピソードはなく、むしろ教団からの脱会に手を貸したりしている。裁判においても罪を認め、謝罪を繰り返していた。

 2018年7月26日、死刑執行。

石川公一:INTJ?

 石川公一は灘高校から東京大学理科三類に合格したのにオウムに入ってしまった残念な人物として知られる。性格タイプは良くわからないが、真面目そうなのでINTJとしておくべきだろうか。ちょっと安直だが。オウム真理教のアニメでは真面目でノイローゼ気味の青年として描かれていた。

 オウム真理教は修行がハードなので、J型でないとついていけないのではないかと思う。村井や早川辺りが修行をしているイメージはないが、どうしていたんだろうか。

 現在の状況は不明。親が開業医なのでニート生活だろうか。

冨永昌宏:不明

 石川公一の高校・大学の同級生である。滝本太郎にサリンを掛けた罪で逮捕されている。この人物の最も特筆すべき点は灘校史上最大の天才と言われた岡田康志が駿台模試で全科目1位を達成した時に、2位だったということである。当然進学先は東大理三だ。日本一偏差値の高い犯罪者だろう。

 どうでもいい話だが、オウム真理教で有能な理系人材は土谷(筑波)・広瀬(早稲田)・中川(京府医)であり、無能なのは遠藤(帯広畜産大)・村井(阪大)・冨永(東大理三)・石川(東大理三)と考えると、学校歴との相関は無さそうだ。早川(神戸大)や上祐(早稲田)も理系だが、オウムでの立ち位置は文系就職である。高学歴文系は青山(京大)・端本(早稲田)くらいだろうか。

 現在は出所しているはずである。医師免許は出所と同時に剥奪されており、医学部最強論も流石にオウムには通用しないようである。

岡崎一明:ISTP

 オウム真理教の死刑囚の中では一人だけ全く事情の異なる人物である。岡崎はノイローゼ気味の大学院卒といったタイプとは真逆であり、どちらかというとチンピラに近い人物だと思われる。こんな反社まがいの人物がオウムに在籍していたのは不思議だ。新実とは違った意味で暴力を振るうのが平気だった人物である。

 岡崎はオウム真理教の古参信者で、初期の事件に関与していた。坂本弁護士一家殺害事件のあと、教団の金を盗んで逃走し、麻原を脅迫し続けていた。一度警察に取り調べを受けたこともあるが、自己保身のために黙秘した。警察絡みても素行不良の人物と映ったようである。地下鉄サリン事件のあとに自首し、坂本弁護士一家殺害事件の全容を自供するも、自首が認められずに死刑になっている。岡崎の遍歴を見ればこんなやつに減刑を与えたくはないだろう。思想云々ではなく、純粋に「悪いやつ」である。

 岡崎を見ていると、他の信者のようなIN型特有の悩み事はあまり感じず、むしろ面白い趣味関係の稼業といった感覚だったのではないかと思う。あまりにも異色だ。ESTPには見えないので、ISTP辺りが妥当だろう。この人種はS型の中では最もマニア的なところがあるが、ところどころ金とか暴力の要素が入ってくることがある。その「暴力」というのはNT型が好むような国家転覆計画や大量破壊兵器の製造ではなく、もっと直接的なものである。

 個人的な妄想だが、オウム真理教がおかしな方向にいった原因の一つは岡崎ではないかと思っている。

 2018年7月26日、死刑執行。

教訓

 一番の教訓は、INFJはテロ組織に入ってはいけないということである。F型のリスクとして治安の悪い界隈にいる時に犯罪に巻き込まれやすいというものがあるが、INFJは正義感が強く、単純犯罪にはあまり魅力を感じないだろう。悪徳商法や暴力団関係は営利主義であり、INFJのメインフィールドとするところではない。

 INFJの純朴な正義感や自己犠牲の精神は、テロ組織に入った場合に不適切な方向に向かう可能性が高い。人の良さやピュアさに漬け込まれ、汚れ仕事の実行犯にされてしまう。逮捕後も自己保身に入ることができず、重罪になってしまうようだ。この点、NT型はずる賢い。麻原は格別としても、上祐や青山は巧みに逃げ切っているし、井上も早めに保身に切り替えたことで一審では無期になっている。潔く罪を認めたのは早川くらいである。

 NT型のテロリストは自己顕示欲や恨みつらみが原動力になっていることも多く、自己犠牲や道徳性はあまり期待できない。正しそうな事を言っていても、その背景には単なる私利私欲(物質的ではないにせよ)が隠れていることが非常に多く、いざとなった時は自己保身に走る傾向が強い。DEATH NOTEの夜神月が死神の目の取引をしなかったのが良い例である。

 この点、INFJは殺人を断れなかったり、教祖を裏切れなかったりして、世間では凶悪犯ということになってしまう。ギバーテイカーが最悪の形で出てしまうのだ。麻原彰晃は他者理解に関しては天才だったため、こうした個々人の特性をよく見抜いていたと思う。新実には現場を任せ、土谷には研究者としての自尊心を与え、村井には好きにさせていた。INFJのような人物は、麻原に忠実だと信頼され、殺人行為に駆り出されて行ったのだ。

 オウムの信者には結構INFJが多いように見える。オウムというと男性のイメージがあるかもしれないが、実際の信者は女性の方が多かった。筆者にとって印象的だったのは、以前のテレビで元幹部(村岡達子だった気がする)がインタビューに答えていたときだ。教団の真相が明らかになり、オウムが壊滅し、自身もアーレフから追放されていたのに、それでも、麻原のことは忘れられないと言っていた。あの人は本当に自分を導いてくれたと言っていた。その時の澄んだ目は以前の記事で書いたネイティオの目そのものである。

 筆者は中学生あたりからオウム真理教をモデルとした自作サスペンスを考えるなどしていたのだが、MBTIの観点から考察してみると、予想外にえげつない結果となった。オウムは世間知らずで理想主義的なIN型が多いが、その中にも色々と権力関係や自己保身があり、INFJはそういった環境で損な役回りになってしまっている。この点、INTJはうまく立ち回るし、INTPは自分の好きなこと以外には関心がない。INFPに関しては明確な人物が思い当たらなかったが、INFJと分類されている信者の中にはINFPもいるかもしれない。

 いすれにしても、犯罪行為はオススメできないというありきたりの結論になった。信者を騙すような宗教団体には気をつけてもらいたいものである。


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