関西の学歴は階層化が激しい

 今までの学歴考察の中で気がついた所感だが、関西のほうが学歴的な序列・棲み分けが結構はっきりしているのではないかと思う。

 大学の序列だが、関西の場合は東大理三>京大医学部>阪大医学部>東大・難関国医>京大>阪大>神戸大>上位国公立≧関関同立、ときれいに階層化されているように思える。上位国公立と関関同立の関係を除けば、社会的なステータスはほぼこの順で間違いないのではないか。

 首都圏はここまで綺麗ではない。まず京医と阪医に相当する学校がない。医科歯科・慶医は難関だが、東大以上のブランド力があるかというと疑問であり、少なくとも偏差値が高いから東大理一をやめてこれらの医学部に進学したという者は聞いたことがない。結果、東大の上位存在となる医学部は東大理三だけで、その下のゾーンは大半が東大に進学する。
 
 次に東大よりも下のゾーンだが、これまた首都圏の場合は変則的である。首都圏から京大に進学する者は少なく、一橋や東工大は単科大学という性質上、地味である。となると、本来はその次に位置する早慶が巨大な存在感を放っている。東大にやや届かない人間の場合は関西では京大に進学することが多いが、首都圏の場合は東大に特攻して早慶に進学するほうが圧倒的に多い。早慶がかなり幅広いレンジを持っているため、ステータス性では東大を除けばかなり強いというのが実情である。早慶と一橋・東工大当たりの関係は関西で言うところの関関同立と大阪市立大の関係に近い気がする。早慶その下の序列はかなり明確で、首都圏で最も重要な差異はここだと思う。首都圏の場合は国公立信仰が無きに等しく、上位国公立とMARCHの差異はそこまで意識されていない。というわけで、首都圏の学歴序列はこのような形になる。

 東大理三>いろいろ>東大>いろいろ>早慶>いろいろ>MARCH

  とにかく早慶との関係性で全ては決まってくる印象である。

 続いて高校だが、ここも関西はかなり区分がはっきりしている。まず中学受験をしている層と高校受験をしている層が交わらない。上位層は中学受験で関西七帝からから東大・医学部に行き、高校受験組は北野や神戸といった公立進学校から京大・阪大に進んでいるイメージである。両者の相関も明確で、京医阪医はほぼ私立中高一貫校、東大も私立中高一貫校が優位で、京大になると半々、阪大の場合は公立進学校のほうが大勢となっている。関西の場合は公立小から私立中高一貫校に進む層と公立中高から公立進学校に進む層に二分されていて、それ以外の区分はあまり多くない。私立校の高校募集も首都圏に比べて廃止のペースが速く、完全一貫校が多い印象だ。

 一方、首都圏の場合は遥かに複雑だ。まず首都圏の場合は小学校受験が明らかに関西よりも盛んである。国立付属の進学校も多く、ここは分類が難しい。中高一貫校の筑駒ですら高校募集を続けている。首都圏は中学受験が盛んだが、一方で帰国子女が多いため、高校受験の上位層もそこそこ存在するイメージである。しかし最大の違いは早慶付属の存在で、大学受験に参加せずに中高の受験で抜けてしまう優秀層が結構いる。他にも挙げればきりが無いが、首都圏は学校の種類が多いため、関西のように公立と私立中高一貫校に二分されているわけではない。首都圏の場合は私立といっても中高一貫校なのか、小学校受験系なのか、大学付属なのか、いろんなパターンがある。

 首都圏出身の東大卒は高校受験組も結構存在するのだが、関西出身の東大卒は大半が中学受験で私立中高一貫校に入った組である。なので感覚的には関西のほうが中学受験志向・中高一貫志向が強いように思えるのだが、データとしては中学受験率は関西のほうが低い。むしろ大阪府の場合は公立信仰が強い。北野や天王寺から京大に行く層は、そもそも関西七帝とは交わっておらず、優劣も特に感じていなそうである。やはり関西のほうが二分化が激しい。

 社会的な背景もあるかもしれない。関西の上流階級は医者の割合が高い。医者家庭の場合は子供を医学部に入れるために私立中高一貫校に対する強力なニーズが存在する。一方、首都圏の場合は医者の存在感は大きくなく、アッパー層は早慶かMARCH辺りに収まれば問題ないため、私立中高一貫校に強力なこだわりがあるわけではない。首都圏の中学受験は見栄や場の空気という側面が強いような気がする。

 色々見た上での所感だが、関西のほうが首都圏のほうが社会階層がはっきりしているのではないかと思う。首都圏は競争社会ではあるが、まさにその理由によって入れ替わりも激しい。職種の幅も構成員もかなり幅広く、階層はそこまで明確ではないと思う。あくまで横並びの競争という印象だ。一方、関西の場合は医者>一流企業>公務員>普通の会社員、という序列が見えやすい。マージナルな新興IT企業や外資系の数は少ない。他にも関西の階層社会について考察はあるが、あまりにも危険なので止めておく。


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