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INFPの四類型を考えてみる

 前回はINFP・ENFPに特異に見られる「あざとさ」について論じたが、これを踏まえてINFPの分類について考えてみたいと思う。INFPはテンプレというものを意外に思い浮かべにくく、見た感じも人によって様々だ。ある意味で個性を重んじるINFPらしいといえばらしい。

 これは筆者の独自の分類であり、一般的な分類とは全く違う。そこは注意である。INFPの特徴の表出の仕方によって、大きく4つのタイプに分けられると筆者は考えている。

①純朴型
②あざとい型
③擬態型
④ダーク型

 もちろんこれらは便宜的なカテゴリであって、実際の特徴は人それぞれである。特に擬態型に関しては何に擬態するのかが人によって異なるので、分類はさらに難しい。それに中間形態の人間も多いと思う。ただこうした困難は性格分類全般につきまとう宿命なので、御愛嬌である。なお以前の記事で書いた地雷系INFPはまた違う分類法と考えてほしい。

 それでは考えていこう。

まずは女性から考えていく

 N型は総じてジェンダーロールとの相性が悪いのだが、それにもかかわらず、INFPの男女差は非常に大きい。ちょっとこの点は不思議である。おそらくINFPの本質は男女共にそこまで変わらないように思える。ただ、人間が社会的な動物であり、周囲との関係性の中で自我を確立していく以上、性差が発生することは避けられないということだろう。INFPの男性は特にそのままの状態ではかなり生きづらいはずだ。筆者の知っているINFPの多くは何らかの方法でこのデメリットを乗り越えている。

 男性のINFP考察はちょっと複雑なので、まずは女性からみていきたいと思う。女性は先述の4つのタイプがいい感じにバラけており、INFPの考察としては非常にやりやすいからだ。

1.純朴型

 純朴型はINFPの中では最も本来の自我に近いタイプである。純朴型はあまり自分を取り繕うようなペルソナを持っておらず、メルヘンのような世界観で生きている。それを人前で話すか否かは人によるが、言わなくても雰囲気は明らかに伝わってくるものである。

 坂道グループでいうと生駒里奈や久保史緒里が該当する。ただ、有名人で最もわかりやすいのは能年玲奈「のん」だろう。能年玲奈「のん」のピュアで純朴な雰囲気はINFPの本来の姿に近いと思う。まるで絵本の中の登場人物のようだ。能年玲奈「のん」には男女交際の話が本当に出ないのだが、それが違和感を持って語られないくらいには変わった人と認識されているのだろう。

 純朴型は言ってしまえば教室の隅っこで集まって絵を書いているようなタイプである。基本的に三軍であることが多い。オタク型と呼ぶことも考えたが、男性によく見られるINTPへの擬態型と区別がつかないのでやめた。あざとい型との違いは男性から褒めそやされるか否かであり、SF系統の能力が高いか低いかが分水嶺となっている気がする。まさに「のん」や生駒里奈が良い例なのだが、SF系統の能力や関心があまりに低いと、いくら顔立ちが美形でも「モテ」グループには入れないし、本人もズレた感性で進んでしまうだろう。したがって、純朴型はあまりモテないことが多い。「のん」ほど判別し易い訳では無いが、このカテゴリで最高の美人はおそらくZARDの坂井泉水だと思う。ただやっぱりお色気路線のイメージは全く無い。これほど美人薄命という単語が似合う人も少ないが、こうした劇的なカリスマ性を持つのも成功したINFPの一例だろう。

 ペルソナを構築するにはある程度の対人スキルか上昇志向が必要であり、それらに関心が無い場合は純朴型になるようだ。INFPの女性でエッセイスト等になっている場合も大半が純朴型である。したがって、世間に迎合することを良しとせず、ピュアで鋭い感性を保っていることが多い。そういう意味ではさくらももことか高橋留美子のような人物も純朴型なのだろう。他に有名アニメで例えると、けいおんの平岡唯も純朴型INFPである。

2.あざとい型

 前回の記事でも書いた「あざといINFP」が該当する。ESFPのような垢抜けた雰す囲気や高度な対人スキルはないが、それなりに可愛い見た目と愛くるしい雰囲気によって男性にチヤホヤされるタイプである。あざとい型は同調圧力の強い中高ではまだ顕在化しにくく、大学辺りから本領を発揮する事が多い。

 坂道グループでいうと松村沙友理が該当する。松村は本当に典型例で、中高時代は三軍だったのに、二十歳前後から自分が実はモテることに気が付くと、男に目覚め始めたようだ。もっとひどい例だとやや歳上になってしまうが、斉藤由貴が挙げられる。斉藤由貴は昔から不倫騒動が多いのだが、まだ不倫相手と付き合っているらしく、ちょっと壊れているんじゃないかと思う。撮影現場に生脚で現れるなど、あざといINFPの中でも極致ではないか。斉藤由貴の自他境界はどうなっているんだろうか。

 あざとい型の発生条件は思春期から成人辺りまでに自分に魅力があることに気が付き、男性との交際を通して自己承認欲求を満たすことを覚えることである。純朴型は男女関係と自己承認欲求が無関係なので、ここが大きく違う点だ。いわゆる「理解のある彼くん」もこの一環と言えるかもしれないが、これは純朴型やダーク型にもあり得る展開である。あざといENFPとの違いは、自己承認の中身の「重さ」である。ENFPの自己承認は外に出している範囲で概ね完結し、特定の人間を捕まえて承認してもらう必要性は低い。

 あざとい型INFPの宿命はESFPのような本物の一軍がいる場所では全く立場が無くなってしまうことである。というより、同性コミュニティではあざとい型INFPは行動しにくい。ES型のハイカーストによって必ず目をつけられるからである。したがって、あざとい型は男性に混じってとは言わないまでも、ES型のハイカーストの圧力が働かない場所で活動するしかない。

 あざとい型INFPは男性目線では結構かわいい事が多いのだが、それでもギャル系など本物と比べると非言語コミュニケーション能力は劣ることがほとんどだ。それほど一軍ギャルのレベルは高い。コスメ等にこだわっている人も多いが、やはりどうしても本物「あざとい女子」の威圧感には勝てないのだ。また、あざとい型が対象とする男性は一軍とは限らず、幅広く集まっている印象である。ただし、ヒカルが典型例だが、あざとい型INFPは一軍のガラが悪いタイプを好むことも多い。こういった人物がINFPの世界観を理解しているとは思えないが、純朴型と違ってあざとい型は男性への依存が世界観の中核となっているので、問題はないようだ。

 ここまで書いてしまうと悪口のようだが、実際のあざとい系INFPは別にオタサーの姫というわけでもサークルクラッシャーということでもない。異性関係に関心が強い場合はだいたいこれになる。サブカル系美女のINFPも基本はあざとい系である。INFPの人生において最も重要なのは他者承認だが、あざとい型はある段階で男女関係にそれを求めれば簡単に他者承認が得られることに気がついた群である。

3.擬態型

 ペルソナを複数形成し、他のタイプに混ざって生活しているタイプである。擬態先は他のタイプであることもあれば、どのタイプともつかない分類不能の人格であることもある。一軍に混ざっていることもあれば、三軍にいることもあり、千差万別である。女性の場合、他のタイプに比べればやや数が少ない気もするが、見分けられていないだけかもしれない。

 坂道グループの場合は長濱ねるが典型例である。そこまで自分の世界観を表に出さず、集団の潮流を読み、一軍風の雰囲気を醸し出している。振る舞いはISFPとそこまで変わらないのではないかと思う。純朴型と違い、オタク趣味を全面に押し出すことはない。長濱ねるに限らず、実社会で受けるタイプのINFPはだいたい擬態型だと思う。スター的な人気を獲得するには多かれ少なかれS型に合わせる能力は不可欠なのだ。

 擬態型の発生条件は対人スキルが高いことや何らかの必要性に迫られることである。中高で一軍に入りたい場合は擬態型になることはほぼ必須と考えて良いだろう。ただし一軍内部で上位に立つのは難しい。また、純粋なモテ度で言えば擬態型はあざとい型よりも上であることが多い。

 筆者も完全には考察できていないのだが、モー娘。の裏ボスこと安倍なつみも擬態型INFPだったのかもしれないと考えている。オーデの時から「安倍の笑顔は怖い」なんて言われていたし、中澤以上に恐れられていたようだ。いずれにしても、擬態型INFPはオタクっぽい話やメルヘンっぽい話をめったにしないため、雰囲気勝負になってしまい、見分けるのが難しい。ただしS型の場合は底しれぬ感じがすることはめったにないので、何か自我を隠している素振りがあるなら、可能性は高まる。

4.ダーク型

 これはかなりの不健全形態であるが、最近の日本社会ではこのタイプがどうにも流行っているような印象を受ける。メンヘラやトー横キッズはこのタイプの中でも特に目立つ人々である。以前の記事で書いた地雷系INFPの中でも「あざとい」の領域を超えてしまった場合はダーク型になりうる。

 坂道グループで例えるなら、平手友梨奈や中西アルノが該当する。平手は最初は純朴型のような素振りだったが、程なくしてダーク型へと変貌した。中西アルノに至ってはトー横キッズ一歩手前である。最近の有名人だと自殺未遂を起こした戦慄かなのも例として挙げられる。だがこのタイプの最も顕著な例は頂き女子りりちゃんだろう。

 ダーク型の発生条件はなんとも言えないが、家庭環境が悪かったり、何らかの事情で困難を抱えたりするとこのタイプになるようである。見た感じでヤバそうな感じが漂うので、擬態型とは明らかに違う。あざとい型と違い、ペルソナの数が多かったり、不安定だったりする。ダーク型の特徴を言語化するのは難しいが、独特の厭世的な雰囲気や、心の壁を作っているところだろうか。純朴型と違い、他人をホイホイ信頼するということはない。純朴型の持っているメルヘンな世界観が完全に侵食されてしまった状態とも言える。

 ダーク型の全員に当てはまる訳では無いが、やたらと向精神薬の話に詳しい場合はダーク型INFPである可能性が高い。精神系の話はINFPが興味を持ちやすい数少ない理系分野だが、NT型と違って向精神薬の話をしても「ベンゼン環すげ〜」とはならない。偏見だが、アセチルコリンの話が好きな場合はNT型、ベンゾジアゼピンの話が好きな場合はダーク型INFPである。

男性の場合

 今までは主に女性を前提に考えてきた。しかし、これが非常に興味深いところなのだが、男性の場合は女性とは全く表出の仕方が異なるようなのだ。

 男性の場合はあざとい型は非常に少ない。男性は女性に依存することで自己承認欲求を満たすことはできないし、思春期に異性からチヤホヤされて自我を確立することもできないからだ。モテる男性は何らかの能力や達成事項に紐づいている事が多く、何もしないで承認されることはない。また、純朴型も男性の場合はかなりレアだ。どうにも純粋な形のINFPは男性的なジェンダーロールと相性が悪く、人生の早期に変性してしまう。したがって女性と違ってINFP男性は仲良くならない段階からあからさまなメルヘン的言動をしてくる人間はほとんど見ない。

 したがって、男性のINFPはほぼ全員が擬態型と考えて良い。男性INFPはだいたい擬態のためのペルソナを1〜3程度持っているのが普通である。小学校で一枚、大学辺りで一枚、社会人として一枚といった具合だろうか。人によってはもっと多い。INFPは人間の世界観や特徴を理解しやすいので、擬態は彼らの得意分野の1つである。

 男性INFPの考察が難しいのは、擬態の方法があまりにもたくさん存在するからである。例えば以前の記事で取り上げたヒトラーも一つの例だ。ヒトラーの若い頃のエピソードはINFPそのものだが、戦争に従軍し、総統を目指したことで更に新たな擬態の殻を手に入れたようだ。1920年代の写真の中には鏡の前に経って総統としての演説やポーズを綿密に研究するヒトラーの姿が写っている。トランプのような例外もあるが、国家元首は一応はJ型っぽく振る舞うことを要求されるため、ヒトラーは完璧に擬態しているたのだろう。

 これはあくまで一類型(しかも人類史に名だたる特殊な人)に過ぎない。男性の擬態としてまず最初に求められるのは「男らしさ」だろう。小学校くらいの段階で既に一定程度Tっぽく振る舞うことが要求される。INFPの中にはスポーツをしっかりやっていたという人も多いが、やはり何かしらの擬態を作って参加していた様子が見られる。INFPの男性の中には小学校低学年くらいまでは女の子と遊んでいたほうが気が楽だったという人もいるのではないか。

 なお、数としては少数だが、ダーク型に関しては男性も一定数存在する印象である。だがその場合も男性が生来持っている闘争心や暴力衝動とは無縁ではいられない。またまた極端な例だが、京アニ事件の青葉真司はダーク型の一種と思われる。純朴で子供っぽい内面と抱えている問題の深刻さ、それに加えて激しい暴力衝動が噛み合っておらず、ダーク型の良くない点をよく表しているだろう。

純朴型・あざとい型男性は存在するのだろうか?

 男性の大半が擬態型というのが筆者の見解なのだが、少数ではあるが、純朴型やあざとい型の男性も存在するらしい。例えば庵野秀明なんかは純朴型のメンタリティを全面に押し出して成功した人物かもしれない。他にもランボーなど、文芸関係の人間に純朴型INFPはしばしば見られる印象だ。

 ただ純朴型INFPがそのまま生きるというのは非常に難しく、創作物の中でしか自己表現ができなかったり、成功するまでは擬態型やダーク型だったという者も少なくない。例えば庵野秀明を見ても、その人生には心の葛藤が相当あったようだ。擬態型やダーク型の要素が多分に入ってきていることは間違いない。

 あざとい型男性も実のところ少数ではあるが存在するようだ。筆者は見たことがないのだが、他の人の証言を聞く限りは稀に見かけるらしい。ただ、その場合も別のペルソナを持ち合わせていることがほとんどだろう。

 奇妙な話ではあるが、筆者の観察によれば、男性において内面が一番メルヘン的なのは実は擬態型である。普段は全然別の姿をしていても、創作物を見たり、プライベートな場で価値観を掘り下げてみると、お花畑のような世界観を隠し持っていたりする。職場のような間合いではまず見ることができないのが残念である。

まとめ

 今回はINFPについての4類型を分類して考えてみた。INFPを分類するというのは非常に難しく、男性においてはほぼ投げているところもあるが、大抵の人はこの4パターンに当てはまるのではないか。中間形態や混合形態もいるだろうが、そういた場合も、この4パターンを念頭に置くと考察しやすいかもしれない。もちろん他の分類もあると思うので、もし別の分類方法を考えたという人がいれば、コメントしてほしい。

 INFPは性差が大きい性格タイプだと思う。N型は本来ジェンダーロールには疎いのだが、INFPの場合はどうにもこのタイプの特徴と男性に求められるジェンダーロールが噛み合っておらず、相性が良くないように思える。したがってINFPの男性は人生の序盤にペルソナを発達させることが多い。

 大変興味深いのだが、ENFPには同様の性差は見られない。多少はENFP男性も男らしさを求められるかもしれないが、その程度である。どうにもENFPは純朴な状態で振る舞っても、そこまで問題にならないらしいのだ。したがって、ENFPは男女ともに似たような振る舞いと雰囲気を持っていて、言っていることもあまり変わらない。MBTI関係の議論でやれS型が良いとかやれT型が得とか言われているが、おそらく最も潰しが効く性格因子はE型ではないかと思われる。

 今回もNT型っぽい論調になってしまった。文章を書くと人間の素の姿が現れるのか、それとも文章という場に合わせた1つの表現型なのかは分からない。きっとどちらもあるのだろう。SNSを見ていても、普段社会で出せない本音が明らかになったという点と、SNSという場に合わせて人格そのものが変わっていったという点が見て取れる。そもそも「素の状態」というのは存在せず、人間の本性とはあくまで社会との関わりの中で生まれるものなのかもしれないとも考えている。

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