中学校の同級生の予後
最近、昔を振り返ることが多い。筆者はMBTI考察や人生考察のネタを結構書いているのだが、それらの社会性や人間関係のベースとなるのは中学校だと思う。MBTI考察仲間の友人に聞いても、やはり自我が形成され、人々の間での立ち位置が判ってくる時期は中学校だろうとのことだった。
筆者の出身高校はかなり特殊な場所だったので、そこにいた同級生や人間関係のルールは世間一般と違った独特のものだった。刺激的だった反面、高校から入ったこともあって、最後まで馴染めないままだった。良くも悪くも特殊な人たちなので、彼らを参考にしても、人生について考える基盤にはならない。
懐かしさや母校愛が湧くのはむしろ中学校である。特にレベルが高いわけではなかったが、バランスが取れていて、環境的には整っていた場所だったと思う。男女共学だったというのも大きい。当時は多感な時期というのもあって、悩むこともあったが、トータルで考えると充実度が高い時代だった。淡い青春のような思い出もある。最近は中学受験ブームで、中高一貫校への進学した方がメリットは大きいと思うが、自分の人生として振り返ると、中学受験しなくて良かったと思う。
筆者は中学校に入学して間もなくこれからは本格的に勉強が始まるんだなと洗礼を浴びせられた。定期テストで容赦なく学力が示されるので、全く手を抜けなかった。今から思うとそんなに気にする必要はなかったと思うが、内申点の関係もあって、学業面に関しては結構ハードだったかもしれない。筆者は入学して間もなく自分が結構勉強ができることに気が付き、成績上位陣と定期テストの点数を競っていた。今から思うとあれが基礎学力の涵養に役に立っていたと思う。一方で、中学校に入ってから勉強がうまく行かない同級生もおり、小学校時代と打って変わって目立たなくなってしまう者もいた。
興味深いことに、定期テストの順位と模試の順位は若干入れ替わっていた。大まかな分布は変わらないのだが、中3になって受験モードになるとみんなが駿台模試等を受け始めるので、そこで難問に対応できる生徒と定期テスト止まりの生徒の差が開いていたと思う。筆者は難問かつ科目が増えるほど上がるタイプだった。筆者はそれまで取り柄のない人間だったが、自分にも得意技があることに気づき、自身がついたことで以前よりも人と積極的に絡めるようになった。
今回は中学校の同級生の予後を考えてみたい。本質が変えない範囲で、一部脚色がある。
筆者の学年は上位3人が突き抜けていた。大体駿台模試で偏差値70オーバーのゾーンである。ここにいた同級生は中1からわけのわからない難しい数学を解いていたり、なにかと異次元だった。このゾーンの場合、日本の高校が全てA判定になったりする。進学先は開成か国立附属である。高校になってからも模試の冊子で名前を見たし、全員が現役で東大に合格している。今となっては信じられない話だが、筆者も一応このゾーンにいた。数が少ないので前後の学年も合わせて考えると、だいたい進学先は基本東大、たまに医科歯科や慶応医学部である。就職先は財務省・日銀・マッキンゼー・四大弁護士事務所という具合で、(筆者以外は)軒並みエリートコースを歩んでいるようである。
次のゾーンは駿台模試で65くらいに付けているゾーンである。このゾーンはだいたい校内テストで上位に来ている事が多く、学年で優秀層として挙がることが多かった。安全圏ではないが、開成や国立附属を狙える位置である。半分は受かり、半分は落ちるといった間合いだ。大学受験が前提であるため、早慶の附属に行った者はいなかった。最終的な進学先は現役か一浪で東大または首都圏の国公立医学部という感じだった。ただし、僅差で東大に落ちて早慶に進んだ者もいる。このゾーンの進路は下のゾーンとそこまで変わらず、学力の割に社会に出てからこじんまりしてしまう気がする。ただ最上位層に比べ人間的にまともな者が多く、人生の後半戦で強みを発揮するのかもしれない。筆者は一緒に勉強するなど、仲が良かった。
その次のゾーンが駿台模試で60辺りの人々である。校内テストだとそれなりに得点できるが、ガチの受験となると差が開けられるゾーンである。開成や国立附属はかなり厳しいが、早慶附属や公立トップ校であれば順当に合格できる。このあたりになると進路のバリエーションが増えてくる。早慶附属に合格し、そのまま進学してしまうものも結構多かった。とはいえ進学校に進んだものの方が多く、彼らは早慶の上位学部や一橋、地方の国公立医学部に行っている。東大の合格圏ではないが、MARCHよりは明らかに上という感じである。社会に出てからも医者弁護士やエリサラといった形で活躍している(らしい)。ここより上の大半はスクールカーストで言うところの二軍である。性格の悪そうなガリ勉タイプが一定数おり、ストレスが強そうだった。ただ彼らの予後が悪いわけではなく、むしろ大学以降に伸びる人間はいる。
その次は駿台模試でいうと55辺りとなる。学年で成績上位とは認識されていないゾーンである。人数が増えてくるので、いろいろな進路がある。早慶附属に合格するものもいて、彼らはそのまま進学していた。だが受験に失敗して滑り止め校に行くものも多かった。一軍陽キャのうち、地頭が良いものがこのゾーンに密集していたと思う。彼らは高校に入ってから勉強に目覚め、かなりの人数が早慶に合格している。浪人して地方医学部という者も結構いた。中には学力がぐんぐん伸び、難関国立医学部に進学した者もいる。学力が伸びなかったり、受験に失敗した者でもMARCHや国公立には受かっていた。彼らは根が陽キャなので、その後も強く、就職人気企業に順当に就職していった。弁護士や研究者になった者もいる。JTCのボリュームだろう。正直、社会に出てからの筆者は完全に逆転されている気がする。
その次のゾーンとなってくると、早慶が厳しくなってくる。進学先は有名私大の附属や、公立の三番手校くらいである。浪人して早慶に滑り込んだ者もいるが、大半はMARCHや中堅の国公立である。親が医者の場合、私大医学部に進んだ者もいる。学年平均はここだろうか。MARCHの場合はエリサラになるには不利になってくる。学校の先生になるものが結構おり、もしかしたら彼らのうち誰かは母校に戻ってくるのかもしれない。スクールカーストでいうと一軍が多かったが、二軍の下位もいる。それぞれの進路でそれぞれの能力を発揮して活躍しているイメージがあり、幸福度も高そうだ。ただ予後不良者も結構いるはずで、詳細はわからない。
その次のゾーンとなると、学年でも半分より下となり、MARCHに引っかからない者も増えてくる。進路がよくわからなくなってくる群である。日東駒専や成成明学が多いだろうか。女子の場合は有名女子大等もいる。文系の場合はエリサラになるのが難しいので、進路に結構苦労している印象がある。ただし、理系であれば大手企業に入ることも可能である。勉強が嫌いな一軍が目立つが、三軍も増えてくる。二軍は少なかったと思う。筆者の中が良かった友人はこの辺りが多く、学力的には筆者が一人だけ浮いている感じだった。
その下のゾーンになると、成績不振層となる。学校生活はしんどかったのではないかと思うが、詳しくはよくわからない。ただ勉強を頑張ってMARCHに進んだ者もいたし、驚異的なコミュ力で人生順風満帆というタイプもいる。女子はさっさと結婚して子供がいたりする。職業に直結する進路を取ったかどうかが予後を分けている印象である。
俯瞰してみてみると、スクールカーストと予後はある程度相関している印象である。進学先が最も良いのは二軍で、いわゆる高学歴系の進路になることが多い。一軍の場合はどこの進路に行っても、その場その場で人生を切り開ける印象がある。二軍は進学に成功した場合はハイスペだが、受験に失敗すると予後不良である。引きこもりになってしまった者も知っている。学歴によって左右される層と言えるだろう。予後が良くないのは男女ともに三軍や孤立気味の生徒である。進学先が一軍二軍より悪いことが多く、就職活動がうまく行かない者も多かった印象である。早慶以上に進んだ人間はほぼいないのではないか。そういった意味では一軍・二軍・三軍・その他のヒエラルキーは今も存在しているのかもしれない。
陰キャ陽キャとは言うが、二軍の多くは大学に入るとメガネを外してそれなりの格好をし始めたので、そこまで陰キャという雰囲気はなかった。有名大で騒いでいる陽キャの大半は二軍だと思う。一軍は大学デビュー系は少なく、だいたいは運動部と彼女に時間を割いていた。三軍は陰キャのままだった。一軍はだいたい大学に入っても何かしらの運動部をやっていて、安定したJTCに入ってさっさと結婚するというケースが多い。二軍の場合は専門職に就いている印象だ。トータルだと一軍と二軍には優劣がない気がする。一軍はMARCH以上に入れれば安泰、二軍は早慶以上に入っておきたい。
就職という観点では、早慶以上に進んだ者に関してはあまり大きな差はなさそうだった。早慶以上に進んだ中学校の同級生と、地方から出てきた東大の同級生は同じくらいだと思う。一方、MARCHになるとエリサラになる人数は減ってくるので、兎にも角にも早慶とMARCHの間の壁は大きいと感じる。ただ、エリサラ以外にも進路はたくさんあるので、そこまで気にする必要はないのかもしれない。明確な勝ち組は医学部だが、純粋な学力面では東大に行った層とかなり差があった。私大医学部に行くのは親が医者ばかりで、地方国立に行く層は将来のことをきちんと考えている成績優秀者が多かった。難関医学部になると普通の人は東大の魔力に抗えなくなるため、親が医者という者が却って多かった気がする。
東大に関しては新卒時は早慶にちょっとリードしているくらい、転職市場ではMARCHにちょっとリードしているくらいの間合いだと思う。東大に進んだものの、特にエリートコースに乗っていない群は、医学部には劣り、早慶に進んだ同級生と比べても、ほとんど差はないと思う。新卒で入った会社を抜けた場合は、一軍でMARCHに進んだ者とも大きくは変わらないのではないか。そういった点では進路にギャップを感じやすい可能性はある。
予後を分けるものを考えてみると、やはりいちばん影響が大きいのは大学受験である。早慶・MARCH・それ以下の選別は大きいと思う。ここに医学部を加えても良い。東大と早慶の差はそこまでだが、これはむしろ例外的である。スクールカーストも重要で、一軍は大学受験さえ失敗しなければ後は安泰であり、そうでない者も天性のコミュ力でしぶとく生き抜いたり、早めに結婚して家庭に恵まれたりして、成功度は高いと思う。進路選択のセンスも重要で、自分の勝てそうな分野を見つけて頑張ることが重要ではないかと思う。名門大に行けなかった場合も、職業に直結する進路に絞った場合は予後が良い。逆に予後不良のパターンもある。スクールカーストで三軍以下の者はよろしくない。二軍にあっても、自分をよく見せようと虚言に走るタイプは、途中で化けの皮が剥がれ、予後不良である。人生で高学力の発達障害系をたくさん観測したが、中学校の同級生には見なかった気がする。
筆者の予後に関してだが、おそらく自分の個性や興味に合わせたセンスの良い進路選択ができなかったのが敗因である(別に勝ち負けではないのだが)。それでも新卒就活なら学歴パワーで大手企業に入ることはできる。ただ、特に専門性や特技があるわけではないため、早慶などに進んだ陽キャ層に対して優位を保てるような要素はない。同級生から見ると筆者がタダのサラリーマンになったのは意外だったらしい。凄まじく違和感があるようだ。だが、世の中はそんなものである。