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イランの弾道ミサイル攻撃がこの世の終わりのような光景でビビる
イスラエルのレバノン侵攻への報復として、イランが弾道ミサイル攻撃を行った。その光景はネット上にたくさんアップされているが、本当に恐ろしい光景である。
空から振ってくる多数の光球は全てイランの弾道ミサイルだ。弾道ミサイルは大気圏外から高速で再突入するため、空気との摩擦で弾頭が光り輝いて見えるのだ。スペースシャトルと同じ理屈である。この弾頭の速度は秒速10キロにも達する。したがって弾道ミサイルの迎撃は困難である。今回の攻撃でも弾道ミサイルの多くは着弾することになった。
それにしても、結構弾道ミサイルの弾頭って目視できるんだなという感想である。この世の終わりにはこのような風景が見えるのだろう。弾道ミサイルは普通は核兵器の使用を前提としているので、ここに積まれているのは核弾頭である。きっと世界最終戦争が起こった場合、我々が目にする光景はこのようなものだろう。
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発射の光景と思われる映像もある。
Filmed from flight deck of an airliner near Shiraz, Iran. No warning from ATC who had no idea. Turned away immediately. pic.twitter.com/Iq6k6jY9Zm
— Tim L-G🇺🇦 (@IntercityFC) October 1, 2024
しかし、このミサイルによってイスラエル側の被害は殆ど出ていないようだ。けが人が多少といった程度であり、その多くは迎撃によるものだろう。同時に発生した銃乱射テロの方が遥かに多くの犠牲を出している。これは間違いなく意図してのものだろう。イランは標的を外して撃っていたのだ。事前に標的を仄めかしていたという話もあるし、これ以上報復しないことも明言している。今までと同様、報復はパフォーマンスに終止し、エスカレーションを避ける思惑だろう。
イランがイスラエルに大規模な報復を行えば戦争が勃発しかねず、そうなるとアメリカが参戦する確率が高くなる。イランの現政権は西側への融和路線を掲げているため、大変タイミングが悪い。かといって、子飼いのヒズボラを攻撃されて黙っているわけにも行かないし、世論の圧力もある。イランはこうした板挟みにより、ギリギリのところで間合いを調整していると思われる。イランは一般に危険なテロ支援国家とされているが、意外にも実際の行動は慎重で、自分から戦争を仕掛けたことはほとんど無い。イスラエルに関しては隠れて協調していたこともある。
一方、イスラエルの方は明らかに事態を沈静化するつもりはないようだ。中東諸国の政権が民衆の暴走を慎重に食い止めている一方、イスラエルは政権がむしろ暴走を助長しているとも言われる。ネタニヤフ首相はイランへの報復を予告していて、それは今までの攻撃と同様に恐ろしいものになる可能性が高い。バイデンは必死に仲裁を試みているが、スルーされている。アメリカは明らかにイスラエルを制御できておらず、西側陣営にとって重大なリスク要因となっている。この中国に対する北朝鮮に似たところがある。キッシンジャーが生きていたらきっと憤るに違いない。
イランの勢力は既に中東の広範囲に渡っているのだが、イスラエルが暴走することはむしろイランにとっては有利になるかもしれない。イスラエルはあまりにも地域で憎悪されているため、レバノンやその他の国を攻撃したとしても、政治的な影響力を及ぼすことができない。ハマスもヒズボラも復活は時間の問題だ。中東で反イスラエル機運が高まることによって、サウジアラビアは身動きが取れなくなり、イランの地域での影響力は拡大するだろう。
デンマークの首相がパレスチナ問題への軍事的介入を示唆したそうだ。このようなアイデアは一件魅力的に思えるが、たぶん失敗するだろう。パレスチナ問題はあまりにも憎悪が渦巻いており、外国が関与してもむしろ不安定化を招くだけに終わる。1983年の国連軍のレバノン介入は度重なるヒズボラの残忍なテロによって頓挫したが、パレスチナ問題への軍事介入は同様の結果をもたらすだろう。
パレスチナ問題が解決しない理由は当事者の憎悪だけとは考えにくい。このような民族対立は世界の他の地域でも見られるものだ。パレスチナ問題が突出して厄介なのは、宗教上の理由で域外からの関心が強すぎるからだ。アンチに反論すると炎上が悪化するのによく似ている。善意溢れる外国人が介入すればするほど、地域は不安定化する。パレスチナ問題を沈静化するにはまず無責任に憎悪を煽り立てるイスラム世界の世論を抑え込むしかないが、なかなか難しいだろう。最近はイスラエル社会の右傾化が進み、ますます和解が難しくなっている。今回の戦争もどこまで拡大するのかわからない。