なぜ男性医師とハイスペ女子のカップルは少ないのか

 今回は婚活記事である。最近はハイスペ婚が世間で流行っているらしい。女性の社会進出に伴い、以前は女子力や専業主婦耐性が求められていたのが、最近はキャリアや学歴を求める男性が増えたとのことである。令和の婚活の最前線を行くのはハイスペ女子なのだ。

 ハイスペ婚の形態の一つとして、医者意外のハイスペ男性と女医のカップルが存在する。典型例は林修である。他にも筆者の周囲を見ても、総合商社とかコンサルの男性と女医が結婚した例は多数観測している。ハイスペなのかわからないが、東大卒ポスドクを養っている女医の話も聞いたことがある。このパターンはかなり機能性が高いようで、女性の側は働き方の自由度が高いため、ライフステージの問題を比較的低減できる可能性が高いのだ。

 一方、その逆、すなわち男性医師とハイスペ女子のカップルは今のところ聞いたことがない。純粋なスペック面では男性医師は大半のエリサラを上回っているような気がするので、ハイスペ女子はそちらに群がりそうなものだが、そうなっていない。筆者の医学部最強論に基づけば男性医師こそがハイスペ女子の憧れの的になるはずだ。これはちょっと不思議である。

 今回はなぜ男性医師とハイスペ女子のカップルが少ないのかという点を考察してみたい。

他の業界から隔離されているから

 医者という職業は非常に特殊である。他の高学歴の業界から隔離されていると言っても過言ではないと思う。弁護士・会計士・金融専門職・JTC総合職・キャリア官僚辺りはお互いに密接な関係があるが、医者はこの辺りとはかけ離れたところに住んでいる。18歳の段階で選抜がされるのも特異だ。医者はエリートではあるが、他のエリートとは18歳段階でもはや接点がなくなると言っても良い。

 となると、男性医師がハイスペ女子と知り合うのは難しい。そもそも接点がまったくないからだ。女医も接点がないという点では同様なのだが、女医の場合は婚活への危機感が強いため、アプリ等で積極的に他の業界に乗り出すところがあり、男性医師とはインセンティブが全く異なる。

医者は地方に多いから

 ハイスペ女子の定義は曖昧だが、一般には早慶旧帝以上の学歴かそれに準ずる資格や事業等を持っていて、同程度のステータスの男性と同様のキャリアを進めている人間のことを指すと考えてよいだろう。

 地方にはこのような仕事が医者以外にほとんど存在しない。大企業や中央省庁は当然首都圏に集中しているし、同じ資格業の弁護士や会計士ですら首都圏偏重である。

 となると、男性医師の場合はそもそも大半が地方に住んでいて、ハイスペ女子と知り合う機会がないという要因は大きいだろう。ただし、最近は医者の東京集中も進んでおり、これだけが単一の要因とは考えにくい。

 ちなみに素朴な疑問なのだが、地方旧帝大の女性はどんなところに就職してどんな人間と結婚しているのだろうか。筆者には全く情報が無いので誰か教えてほしい。

女性に困っていないから

 医療職はケア労働の性質が強いため、伝統的に女性が優位である。例えばフローレンス・ナイチンゲールは看護師の代表格として崇められている。実はナイチンゲールは優れた統計学者でもあるので、ジェンダーロールに当てはまる存在なのかは疑問だが、そういう話は置いといて、伝統的な価値観によると、看護師が女性が多い職であることは間違いない。

 医者は医療職においては頂点であるため、当然看護師などの医療職にはモテる。同級生の親などを見ても、医者と看護師や薬剤師のカップルは極めて多い。平成初期までは女性の社会的地位が異なっていたため、むしろハイスペ婚よりも一般職的な結婚のほうが好まれた節もある。

 最も最近は医者もスペック婚の波がやってきて、女医との結婚を望む人が増えたようである。資格業という性質上、女医の増加は今後も続くと思われるため、男性医師が結婚相手に困ることは無いだろう。

金銭に困っていないから

 医者の給料は非常に高い。正直、夫が医者なら妻は専業主婦をやってもお釣りが来るくらいだと思う。となると、医者は家事をやってくれなそうなハイスペ女子との結婚は嫌がるかもしれない。

 女医の場合はまだ職場で接点があるし、ライフステージの問題にも強い。しかし、ハイスペ女子の場合はキャリアの自由度という観点でも女医より劣るため、男性医師の側に結婚するメリットが少ないのかもしれない。

スペックが足りないから

 人間とは面白いもので、スペックと金は別のものとみなされている。典型例は大学教授で、給料はそこまで高くないものの、社会的威厳は非常に大きい。

 男性医師は確かに経済的には圧倒的なのだが、一昔前の私立医学部はコネ入試が横行していたり、そもそもの偏差値も低かったりして、スペックが高いとは言い難い人間も在籍していたようだ。言ってしまえば親の病院を継げば良いボンボンである。

 このような人物の場合、仮に経済力があったとしても、価値観や品性の側面でハイスペ女子と釣り合うとは到底思えない。ハイスペ女子が経済的に困っていないことを考えると尚更である。ハイスペ女子が求めているのは価値観の一致や尊敬できるか否かであって、純粋な経済力は以外重要ではないのかもしれない。

医者に飛びつく層が雑多だから

 医者は婚活の文脈では最強とされる。確かに合コンに行くと医者はモテまくるだろうと思う。しかし、筆者は実は医者が婚活で最強という話には懐疑的である。

 というのも、医者はあらゆる層の女性から認知されているため、どうしても迫ってくる女性が雑多になるのである。婚活において好ましくない人物、例えばドンファン妻のような人物が医者に接近する姿は想像できても、東大卒のデータサイエンティストに接近する姿はあまり想像がつかない。愛人を作るなら良いが、いざ結婚となるとモテすぎるが故に相手の質は下がってしまうかもしれない。

 マニアックな高度専門職であればそもそも価値を理解できるのがハイスペ女子しかいないため、必然的に精度は上がる。一方、医者の場合はあまりにも多くの女性からモテるため、ハイスペ女子まで行き着かないのかもしれない。ちなみに筆者の観測範囲でハイスペ女子を捕まえることに成功しているのは、具体的な年収や職業というよりも、東京大学の出身者に顕著である。必ずしもハイスペであるとも限らないようだ。実は東大卒の肩書が最も有効活用できるのは婚活なのかもしれない。

まとめ

 今回は男性医師とハイスペ女子のカップルを殆ど見かけたことがない理由について考察した。ハイスペ女子と男性医師のカップルはお互いに補える要素がほとんどなく、インセンティブがあまりないのではないかと思われる。  

 この点、ハイスペ男子と女医の組み合わせは強い。女医は働き方の自由度が高いので、産後の復帰や転勤の帯同も可能だし、業界が違うことで余計な比較も存在しない。都内においてはハイスペ男子の収入は男性医師に劣後しないし、多少劣後したとしても女医の収入で容易に補填できる。このタイプのカップルは相互補完的な存在である。

 ちなみに東京大学等を出ている場合は特にハイスペではなくても女医と付き合えるようで、ポスドクや塾講師といった婚活市場でそこまでウケの良くない職種であっても女医と結婚できるようだ。筆者はも実際に理学部物理学科で研究の道に進む人間が女医に養われているという例を見たことがある。研究内容は……「超ヒモ理論」に違いない。


いいなと思ったら応援しよう!