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中居正広の女性スキャンダルが深刻化した理由は、相手が〇〇だったから

 前回の記事前回の記事ではマスコミ不祥事という点に焦点を当てたので、女性問題という観点にはそこまで触れなかった。筆者の見解では、この事件はもはや中居正広の周辺を離れており、フジテレビやテレビ局の問題へと移行しているので、中居個人の責任を考えることにはそこまで意味が無くなっている。

 しかし、一つのスキャンダルとして中居正広事件を捉えると、ちょっと別の見方が浮かんでくる。芸能界で頻発する女性スキャンダルの中で、中居正広は何故ここまで問題視されたのか。中居正広はある一つの決定的な過ちを犯したのである。

    それは危機管理の失敗でもなければ、示談の失敗でもない。中居正広の失敗とは。。。








 本来は慰み者にしてはならない身分の人間に手を出してしまったことである。


 今回の事件の被害者とされるのはフジテレビの局アナである渡邊渚アナである。渡邊渚は社会で優遇されるとネットで言われがちな「若い美女」であり、男女論の界隈ではこの点に着目して議論がされがちだ。しかし、筆者の見解ではそんな話はどうでも良い。注目すべきは渡邊渚の身分と経歴である。

 渡邊渚は芸能界の人間ではない。経歴は慶応女子⇒慶応経済⇒フジテレビである。はっきり言って相当なエリートだ。高校受験を経験した者なら知っているだろうが、慶応女子は女子の受けられる高校の中では最難関で、男子でいうところの開成クラスである。慶応経済やフジテレビといった進路は民間企業の中ではトップクラスである。雰囲気こそ違えど、開成⇒東大⇒三菱商事といった人々とそこまで変わらない属性の人間と言えるだろう。

 他の芸能人はこのクラスの人間とトラブったわけではなかった。例えば少し前に大問題になった香川照之を考えてみれば良い。この時相手になったのはホステスだったので、世間の反応も「まあそういう仕事だから仕方ないよね」という雰囲気があったと思う。松本人志の事件もおそらくそうだった。モデル志望のヤンキーとかそういった雑多な世界の人間が相手であり、社会的地位としては怪しげな層だったのではないか。もちろん性加害は平等に扱われるべきだが、どうしても相手の社会的身分によってその後の展開は変わってくるというのが現実である。

 エリートに手を出すと何がまずいのか。

    まずエリートはトラブルがあった場合に裁判や情報発信などで正統性を訴えてくることが多い。ヤンキー上がりの人間の場合、こうした正統性で訴えるタイプには太刀打ちできない。権力で握りつぶそうにもなかなかうまく行かないのではないか。

 また、エリートは何かあった時に失うものが多く、親兄弟がしっかりしているケースが多いため、反撃も遥かに苛烈になってくる。高橋まつりさん事件もそうだった。本人は自殺したが、親が裁判を起こし、未だに発信を続けている。

 また、エリートは発信能力が高いのみならず、発信の内容も信用されやすい。一流企業の正社員と怪しげな自称タレント志望ではどうしても周囲の目は変わるのである。

 しかし、更に重要な点がある。それはエリートはエリートから同情されやすいという点である。中居正広にとって致命的だったのはここだ。渡邊渚は客観的な目線では芸能界の人間ではなく、一流企業の正社員だった。まだテレビ局やメディア業界の文脈で捉えられている間は良かったが、JTCの文脈で捉えられるようになると深刻な問題とされるようになった。メガバンクでも総合商社でも良いが、そのような一流企業の常識では、許しがたい人権侵害と取られるのは間違いない。一流企業の社員にとって、香川照之は怪しげな世界の怪しげなトラブルだった。しかし、中居正広の事件は自分たちの社内でレイプ事件が起きたかのように感じられたのだ。スポンサーの撤退もこれで説明ができる。

 しばしばレイプは「魂の殺人」と言われるが、今回はそれだけではなかった。渡邊渚が会社を辞めざるを得なくなり、日本社会のレールから脱線してしまったことは、相当な問題と取られただろう。しかもその事件は職務上の上下関係によって行われのだ。医師免許等のないエリサラにとって、会社を外的要因で辞めることは「キャリアの殺人」に等しい行為だ。受験や就活といった過去の頑張りや、出世や退職金といった未来の可能性、そういったものが失われたのだ。9000万円の示談金やグラビアの販売では到底埋め合わせができない。少なくとも大企業の人間からはそう捉えられてもおかしくない。


 中居正広の相手が芸能人や夜職であればここまでの問題にはならなかったと思う。中居正広がここまでの衝撃を与えたのは、手を出した相手の社会的身分がかなり高かったというのが関係しているだろう。不平等かもしれないが、事実だ。やはりホステスとは勝手が違う。いいところのお嬢様に手を出してしまうと、極めて苛烈な反撃が返ってくる。そういった線引きが中居にとってもフジテレビにとっても崩壊していた点が致命傷となった。中居正広が敵に回したのは過激なフェミニストでもなければ、ゴシップ好きの主婦でもなかった。スポンサーの大半を占めるJTCの反感を買ったため、前例のない問題となったのである。


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