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日本一のビルが再び更新されるらしい

 2023年11月24日に森ビルの「麻布台ヒルズ」が完成する。高さは325メートルで、高さ300メートルのあべのハルカスを抜いて日本一になる。東京が日本一のビルを有するのは都庁がランドマークタワーに抜かれて以来、30年ぶりだ。

 日本の高層建築をまとめた面白いサイトがあった。

 日本の高層建築はどんどん更新されている。私が小さい頃に読んだ古本の科学読み物には霞が関ビルの話がよく出てきていた。当時は日本で一番高いビルだったのだ。しかし現在ではトップ100にも入らない。小学生の頃に読んでトラウマになった漂流教室という漫画があったのだが、作中では現代の巨大建築の象徴として京王プラザホテルが登場していた。1970年代に日本一のビルといえばこれらの建物だったのだ。これらはサンシャイン60が完成したことで抜かれてしまう。

 それ以前は遥かに低い建物が日本一となっていた。日本は地震が多く、高層建築物には向かないと考えられていたからだ。なんと1936年から1964年まで日本で一番高い建物は国会議事堂だった。国会議事堂よりも高い建物を立ててはいけないという法律があったらしい。現代の感覚ではびっくりである。

 それ以前は浅草12階こと凌雲閣が日本一の建物として人気だった。浅草の有名な観光スポットだったが、関東大震災の揺れで倒壊し、多くの犠牲をだした。高層建築物が規制されるようになったのもこの影響だ。さらにその前となると東大寺大仏殿が江戸時代に掛けて日本一の高層建築物だった。

 世界の高層ビルはもっとすごい。ドバイのブルジュ・ハリファは高さ636メートルで、162階建てだ。麻布台ヒルズが縦に二つ入る大きさである。現在でこそ高層ビルは湾岸と中国でホットだが、20世紀はアメリカで次々と高層建築が立っていた。エンパイアステートビルが完成したのは1931年だ。日本で国会議事堂が一番高い建物だった時代にアメリカでは102階建てのビルが立っていたのである。「鬼滅の刃」の時代、日本が浅草12階で喜んでいる時代にニュヨークでは高さ200メートルの高層ビルが次々と建設されていた。戦前の日米の格差がいかに大きかったか理解できる。

大正時代のニューヨーク
ちょっとレベルが違う

 世界の高層建築と比べればレベルが低い日本だが、見方を変えるとそうでもない。東京は高層建築の数が香港とニューヨークに次いで世界で三番目に多い。突出して高いタワーが存在しないだけのようだ。日本という国は大金持ちが少なく、小金持ちが多い国なのだが、高層ビルにも似たような傾向があるのかもしれない。

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