<MBTI>NJ型の生存戦略〜NJ型は勉強を頑張ろう!!〜
恒例のMBTIシリーズである。筆者はNP型なので、基本的にNP型の生きづらさや生存戦略を書いていることが多かったのだが、最近思ったこととして、思いの外にNJ型であっても生きづらさを抱えていることが多いようだ。確かに勤勉で聡明なNJ型であっても、その形質は場所によっては生きづらさにつながることが多いかもしれない。今回はそんなNJ型の生き方について私見を述べたいと思う。
結論から述べてしまうと、NJ型にとっては「勉強ができること」が非常に重要になるということである。偏差値は高ければ高いほど良いし、社会的威信は高ければ高いほど良い。NP型と違い、NJ型が力を発揮できる場所は明確である。
NJ型の強みと弱み
以前の記事ではNJ型という分類について筆者は議論したことがある。
NJ型はとにかく数が少なく、その特性は世間ではなかなか認知されていないだろう。NJ型はストイックな理想主義者であり、人生の指針となる信念の束のようなものを持っていることが多い。NJ型は思慮深い上に勤勉で計画的なため、学業面でそれなりに優秀なことが多いだろう。
一方で苦手なこともある。反対のSP型が得意とするその場の反射神経やアドリブは不得意であることが多い。ESTPなどが得意とする「カン」のようなものも鈍い事が多く、商売人的なセンスは微妙である。集団への従属性もそこまで強いとは言えない。NJ型の信念や理想は単なる「こだわりの強さ」としてみなされる時があるからだ。体育会系組織の場合、NJ型はしばしば強い違和感を感じ、反発することがある。J型の規律正しさが柔軟性の乏しさとしてマイナスに作用してしまうのだ。
NJはN型あるあるで、大局的見地でものを見通すのが得意だ。NJ型のビジョンは荒唐無稽なこともあるにはあるのだが、ある程度現実に落とし込むことができれば、そこから先は強い。飽きっぽいNP型と違い、NJ型は自分の信念を達成するまで辛抱強く頑張ることができるし、理想の自己像に近づくまでの努力は惜しまない。体育会系適性は低いとはいえ、自由人のNP型に比べれば明らかに組織的な行動が得意である。ENTJはしばしば司令官なんて呼ばれてたりするが、NJ型は全般的に組織の幹部に向いているはずだ。
また、NJ型は知的好奇心がそれなりに強く、知識を集めたり、体系的に物事を考えたりするのも得意である。その上勤勉なので努力を惜しまない。NP型に比べるとその業界の第一人者のような存在を尊敬する傾向がある。したがって、NJ型は専門職にも適性があるだろう。
高学歴エリートとの親和性の高さ
NJ型が実力を発揮できる場所はズバリ「高学歴エリート」である。この点は疑問の余地が無いと思う。NJ型は大組織の幹部や高度専門職に向いているし、SJ型に比べても学識的な要素を必要とする場で光るだろう。
INTJは一般に生きづらいタイプの性格と言われており、確かに内面的にはストレスが普通よりも多いかもしれない。ただし、高学歴エリートの世界においてINTJはかなり成功度が高い。特に東京大学のような場所ではINTJはのびのびと実力を発揮できるだろう。
筆者はしばしば高学歴なのに社会に出てからうだつが上がらない人間についての記事を多数書いてきた。筆者もそうだし、筆者の周囲にもそのような人物がたくさん存在する。彼らを見ていると、多くがNP型である。NP型の多くは就職活動に失敗したり、エリートコースをドロップアウトしてしまったり、仕事を続けていても非常に満足度が低く、出世の芽も無さそうだったりする。NP型は特有の自由人的な性質が災いして、いわゆる「お堅い組織」との相性があまり良くない。NP型の場合はエリートコースに乗れば良いという問題ではないのだ。NP型の生き方やキャリア形成が困難である理由である。
一方、NJ型の場合はあまり当てはまらない。筆者の周囲でNJ型はかなりの割合で優秀層としてエリートコースに乗っていった。NP型が大学に入るとだらけてしまうのに対し、NJ型は大学に入ってからも熱心に努力を続けているので、学者コースに進んだり、司法試験等に合格している者が多数を占めた。NJ型は一応は組織的な行動が苦手なわけではなく、一応は職場の規範に合わせて行動するので、社会に出てからも優秀なことが多い。
高学歴エリートとされるような業界は基本的にホワイトカラーである。NJ型の弱みとして挙げられるのが、SP型のようなスピート感やバイタリティだが、これらは高学歴エリートの業界は多くは求められないことが多い。仮に求められたとしても、NJ型の強みが既に点数を稼いでいるので、深刻な事態には陥らないだろう。
例えば高学歴エリートの典型例である医者はかなりNJ型に向いている。まず医者になるまでが強力な参入障壁であり、高度な学習能力が求められる。NJ型はこうした課題を苦にしない。社会に出てからは色々と大変だが、立場が「先生」であるため、Seを要する作業をそこまで高度に求められないことが多く、N型の好む裁量と思考能力を生かしやすい。他の進路、例えば弁護士やコンサルであっても似たような要素がある。
学術面でもNJ型は強い。NP型はアイデアマンではあるが、学習にムラがありがちだ。体系的な知識の積み上げにおいてはNJ型の方に分があるだろう。いわゆる専門性が高いとされる分野は高度な積み上げが必要であり、こういった性質の分野はNeよりもNiが求められるだろう。
また、高学歴エリートが多数集まるような組織は組織文化がNJ型を下敷きにしていることが多く、その点でもギャップは生じにくいだろう。N型が多い組織にはそれなりの問題はあるのだが、NP型よりはNJ型の方が馴染みが良いことが多い。J型なので一応お堅い組織にも合わせることができるのだ。「白い巨塔」のような場所において君臨しているのはほとんどがNJ型である。少なくともこれらの業界においてNJ型が性格面で劣等と扱われることはまず無いだろう。
普通の会社員の場合はここまでNJ型に偏っていないだろう。それでも一流大学を卒業してそれなりの規模の会社に入った場合は、NJ型は強い。末端においてはS型の方が強いかもしれないが、大組織は必ずNJ型の洞察力や思考力を必要としている。特に一流大学を卒業している場合は配属等で管理部門や専門性の高い部門に送られることが多く、NJ型が苦手な部署を回避できるだろう。仮に営業等に送られても、大企業の出世レースは長期に渡るため、意外に問題にならないことが多い。むしろ若い頃の修行という扱いになるだろう。
兎にも角にもNJ型は「勉強ができることが必要とされる業界」との相性が良い。NJ型の場合は学歴は高い方が良いし、なるべくそういった高学歴が多い業界に進んだ方が良いだろう。NJ型はエリートとして会社や業界を引っ張っていく立場に向いており、そうでなくてもNJ型の高度な知見は評価されることが多い。
ノンエリート社会の相性の悪さ
一方、NJ型はノンエリート社会においては前述のような強みを発揮しにくいだろう。頑張って付いていくことは可能かもしれないが、その能力に比して報われない努力を強いられるだろう。NJ型にとって、色々と大変な人生となってしまう。
まずノンエリート社会の仕事の多くはNJ型が理想を投影するようなナラティブを欠いていることが多い。NJ型がイメージする理想像は高学歴エリートか自由業が多いが、前者はここでは触れないし、後者はどちらかというとNP型のフィールドであるボランティア等であればNJ型の好むナラティブは存在するかもしれないが、今度は「食えない」といった問題が発生する。ノンエリート社会の仕事は単に職場で労働力を提供し、対価をもらうという点で終わっていることが多く、NJ型の考えるビジョンは求められていないことが多い。
それ以上に問題なのはNJ型の強みがノンエリート社会では生きにくいことである。仕事は勉強と違って場所によって求められる能力が異なるので、高学歴リートに向いている人間が、ノンエリート社会に入ると全くの無能といったケースはよくあることだ。
例えば営業職であればNJ型のセンスの無さが問題になるかもしれない。営業職の場合は図々しさに加え、スピード感やその場の機転が重要なので、じっくり考えたり積み上げたりするのが得意なNJ型にとっては相性が良くないだろう。現業であればNJ型の思考力はほとんど活かせない。体力の無さや瞬発力の無さはここでも足を引っ張るかもしれない。能力的に可能なことは多いかもしれないが、あまり職場への満足度は高くないだろう。
事務職などであればSJ型の天下なので、NJ型にとってはもう少し相性が良いかもしれない。しかし、どうにも満足度は上がらないだろう。というのも、事務職は業務の独立性が低く、マニュアル仕事になりやすいからだ。NJ型の革新的なビジョンは末端の事務職では全く実現できないし、ただモヤモヤして終わってしまうかもしれない。考える能力が高いのに、それが実社会で生きないばかりか周囲の理解も大して得られないで終わるだろう。
NJは勉強ができればできるほど良い
これらを踏まえると、NJ型の人生においては勉強はできればできるほど良いという結論になる。NJ型の積み上げ式の思考力が生きるのは大組織の幹部として全体を俯瞰した時であり、思慮深いリーダーとして遺憾なく実力を発揮できるだろう。NJ型は年が行っても柔軟な志向を保つことが多く、組織全体を管理し、ビジョンを与えることが得意である。気のせいかもしれないが、企業で出世するタイプは一見活躍しているように見えるSP型ではなく、現場では地味なNJ型のように思えなくもない。こればかりは職場にもよるだろうが。
末端の現場であってもNJ型はそれなりに活躍できる場所がある。ただし、その多くは教育関係や士業である。したがって、「勉強ができること」は大いにプラスになるだろう。医師や弁護士のような難関資格はむしろ大組織の幹部以上に勉強ができることが要求される。いずれも高い参入障壁によってNJ型が苦手とするSe的な要素はそこまで高くは求められない。
しばしば低学歴から成り上がった系のNJ型もいる。多くはENTJかINTJだ。しかし、彼らはどこかしらの時点で個人事業主に転換していることが多い。こうなると、NJ型のビジョンは大いに生きてくるだろう。ただし、ほとんどの人間は手が出せない選択肢だ。独立開業しやすい仕事は先述の士業などが多く、この場合はやはり勉強ができることが必須となってくる。
高学歴でコースから外れて楽しく生きている人間も多いが、彼らの多くはNP型である。NJ型が積極的にコースから外れるメリットは薄いように思える。日本社会においては最初に入った会社に居続ける方が出世の可能性が高まるし、できることも多いだろう。NJ型はなるべく偏差値の高い大学に入り、世間的にエリートと思われそうな就職を目指し、その中で順調に出世街道を歩むのが一番期待値が高いのではないかと思われる。NJ型の性質は地位が高ければ高いほど、業務が高度であれば高度なほど生きるので、とりあえず上を目指すという選択肢は悪くない。NJ型の長期的な視野や積み上げ能力はそのための努力を容易にしてくれるだろう。
まとめ
今回はNJ型の強みと弱みについて考えた。日本社会、いやどこの社会であっても中枢部ほどNJ型の要素が強く、周辺部ほどSP型の要素が強くなってくる。ENTJが司令官とか元帥と言われるように、NJ型は大組織の幹部に向いている。革新的なビジョンを持ちながら、それを組織社会の枠組みの中で実現することに関心があるからだ。高度専門職ともNJ型は相性が良い。これらの仕事は高い学習能力に加えて長期間の積み上げが必要であるため、NJ型の価値観にピッタリである。これらの業界はNJ型が多く、組織風土がNJ型にとって居心地が良いという要素もあるだろう。
NP型の生きづらさは中心とも周辺とも居場所が定まらないことだが、NJ型の場合はエリート性が高いほど相性が良いので、人生の指針は明確である。言い換えると、何らかの事情でエリートコースに乗れなかったNJ型はNP型と同様の生きづらさを抱えてしまうだろう。ノンエリート社会はSeを高度に要求されたり、裁量権が少なくNiを活かせなかったり、出世の糸口がほとんど無かったりするので、NJ型にとってはどうにも能力が生かしにくい。
エリートコースに乗っているNJ型の主観的な幸福度が高いとはあまり思わない。INFJに至ってはどの段階であっても生きづらさを感じているようだ。MBTIの界隈はFiを重視する人間が多いので主観的な幸福度が全てかのような風潮があるが、実際は客観的な達成度も人生において重要だろう。したがって、仮に主観的な幸福度が変わらないとしても、NJ型の能力を活かせるに越したことはないと思われる。
筆者の知る限り、高学歴エリートの世界に生きているNJ型は総じて優秀である。主観的な大変さはあったとしても、客観的には社会的に尊敬される存在であることが多い。仮に苦労が多い人生だったとしても、社会的地位が高く、それなりの収入があれば、失敗とは言えないだろう。少なくともキャリアをてこに問題を解決できることが多い。
一方、ノンエリート社会に入った場合はN型特有のモヤモヤ感を長期に渡って抱えることになるかもしれない。かなり極端な例ではあるが、例えば山上徹也のような人は居場所を見つけられなかったNJ型の最悪の例かもしれない。報道を信じるならばINFJの可能性が高いが、彼の遍歴を見る限りどう見てもオーバースペックかつミスマッチに見えるのだ。山上徹也がまともな家庭の出身なら父と同様に京都大学等に進学し、安定した人生を送っていたかもしれない。前代未聞の凶行の背景には、本来自分のいる場所では無い場所でもがいているというモヤモヤ感と、NJ型特有の卓越した計画達成力があったのではないか。
もちろん、こうした例は極端である。NJ型の殆どは真っ当に生きているはずだ。とにかく重要なのは、NJ型にとってレールの上で上昇していくことが重要だということである。そのために必要なのは学歴あるいは資格だ。それらがなかったとしても、最低限専門性は持っておきたいものである。
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