大解剖!東大のスクールカースト

   以前、別の方の記事で東大のスクールカーストに関する秀逸な考察があったのだが、どうも元の記事が消えてしまっているようだ。筆者としても東大のスクールカーストは色々と興味深い存在だったので、一般的な中学校にあるスクールカーストとは随分と異なった様相である。

   今回は東大のスクールカーストについて考えていきたい。一部元記事からの表現の流用があるが、他に適切な表現が思いつかなかったので、使わせていただくことにする。

スター

人口比:15%
イメージの近い業界:外銀
イメージの近い人物:河野玄斗
成績:優
よく見る学部:経済・法・医
よくある進路:外銀・外コン・四大弁護士事務所・上位省庁
よくある出身高校:首都圏の中高一貫校
特徴的なサークル:テニサー

  東大生の言う「陽キャ」は実際はこのタイプが多い。いわゆる「ハイスペ」であり、ヒエラルキーの頂点に君臨している。成績優秀で競争心が強いのが特徴。東大女子と付き合うことが多いのはこの層である。インカレ女子と付き合うことも多いが、その場合はミソジニー的な傾向が見え隠れする。テンションが高く、威圧感を放っているので非常に目立つ。

 東大で一軍の主流となっているのは「スター」である。中学校の一軍との違いは中心人物が存在しないこと、競争心の強さからか連帯感が薄いこと、学歴や成績にこだわる傾向が強いことである。スターは優秀である反面、かなり自尊心が高く、人によってはソシオパス的な傾向がある。ただし、表面にあらわれている以上のものはない。エリートと違ってひねくれているタイプの人間は少なく、単純にハイスペを良いことにオラ付いているだけである。酔って物を破壊したり、交際相手を中絶させたりという人も知っている。

 卒業後は大体が大手弁護士事務所や外資系などいかにもハイスペ系の所に進む。高給取りではないが、官僚も多い。一方でJTCは少ない。単純に志望度が低いというのもあるが、意外に面接で落とされたりもする。あまりにガツガツしているので、スターは普通の日系企業には収まらない人材なのかもしれない。西村康稔とか小林鷹之のような政治家をやっているタイプもスターと思われる。

エリート

人口比:15%
イメージの近い業界:官僚
イメージの近い人物:黒田東彦
成績:優
よく見る学部:法・医・工
よくある進路:官僚・学者・裁判官
よくある出身高校:超進学校・地方公立進学校
特徴的なサークル:学生団体

 東大のカーストの特徴として、「優秀」であることが求められる、というものがある。中学校であれば運動や遊びやユーモアになるだろうが、東大の場合は学業成績や要領や実務能力の方が重要である。エリートは学業を中心に能力が高い人間であり、一般的なエリート東大生のイメージに近いだろう。エリートの見た感じはメガネを掛けた「イカ東」風の人間が多い。黒田東彦とか植田和男といった人々もエリートの典型例だろう。

 東大の特異なところは、エリートとスターとの距離が近いことである。最低限の身だしなみとコミュ力があれば、あとは勉強ができれば十分にヒエラルキーの上位に入ることができる。これはスターがカースト上位層が成績にこだわる傾向が強いからである。エリートが一軍に入っていることは東大の大きな特徴である。エリートの中には一軍に入りたいという理由でスターにコバンザメのような振る舞いをする者もいる。

 スペック全般では劣るものの、学業面に関してはスターをも上回っていることが多い。高校時代は全国模試の常連だったものも珍しくないだろう。入学後も手を抜かず、進振りで80点台をマークしている。ただし司法試験や公認会計士試験はスターの方がやや得意かもしれない。スターほどではないが、エリートもしばしば東大女子と付き合っていることがある。やはり東大内部では優秀な人間は尊敬の対象になるのだ。あんまりインカレ女子とのカップルは見かけなかった。

陽キャ

人口比:15%
イメージの近い業界:総合商社
イメージの近い人物:桝太一
成績:可
よく見る学部:農・文・教育・工
よくある進路:総合商社・デベロッパー・インフラ総合職
よくある出身高校:都立進学校・麻布
特徴的なサークル:運動部

 こちらの陽キャとは世間一般に言う陽キャのイメージに近い。普通の中学校で一軍に入っているようなタイプである。先述の通り東大の一軍はスターとエリートによって構成されているので、陽キャは意外に目立たない。一軍とも二軍とも言えない人たちである。人にもよるが、陽キャは運動部に入り浸ってさほど学内カーストには関与して来ない印象である。

 陽キャはかなり人格的にバランスが取れており、プライドの高さはさほど伝わってこない。スターとの違いは学業成績をはじめとする東大の内部競争へのこだわりが少なく、留年への抵抗感が薄いことである。単位を落としてもあまりショックを受けることなく、笑って流している。

 オラ付いている者もいるが、スターと違って尊大な言動・行動はそこまで見られない。東大女子と付き合っている人間はそこまで多くなく、他大の女子と付き合っていることが多い。精神年齢は一番高いので、特定の彼女と一緒に過ごし、あまり大学に来ない者もいる。陽キャの大学時代は交際相手と運動部とやっつけの卒論で完結していて、ある意味で東大の毒を受けない人たちである。進路はいわゆる就職人気企業であり、JTCとの相性は良い。

 文科二類から文学部に進学した人間はやたらと陽キャの割合が高かった気がする。一方、超進学校の出身者でこのカテゴリに入る人物は少ない。

二軍

人口比:25%
イメージの近い業界:日系金融機関
イメージの近い人物:林修
成績:良
よく見る学部:経済・工
よくある進路:メガバンク・生損保・総合系コンサル
よくある出身高校:傾向なし
特徴的なサークル:地味な運動サークル

 二軍はそこまで尖った特徴のない人たちである。競争心はそこまで強くはないが、落第しない程度には真面目である。オタクと親和性が高いが、彼らのような尖ったマニア性を持たない点が異なる。一軍に絡んでいく者もいるが、スペック面でスターやエリートには敵わないため、劣位になってしまう事が多い。中間層の東大生である。発達障害傾向の人間もしばしば見かける。成績は真ん中が多いが、サボりすぎて下の方になってしまう者もいる。留年する者も一定数存在する。ただし、東大の場合は留年しても一年であればそこまで響かないので、普通にエリート街道に進んでいる人間が多い。

 二軍の場合、東大女子と付き合っている例は殆ど見ない。インカレサークルかバイト先などで付き合っている印象である。彼女がいない者も増えてくる。学業面は平均的である。進路に関しては特にこだわりが強いわけでもないが、一方で波に乗り遅れるわけでもなく、適切な時期に適切に行っている印象だ。就職先は官僚などもいるが、メガバンクを筆頭とする日系の金融機関や生損保が非常に多い。どうにもこの層と日系金融機関は波長が合うのかもしれない。

オタク

人口比:20%
イメージの近い業界:研究者
イメージの近い人物:QuizKnock
成績:得意科目は優、後は可
よく見る学部:理・文・工・法
よくある進路:IT系・メーカー研究職
よくある出身高校:傾向なし
特徴的なサークル:オタサー

 エリートと並び、東大を象徴するような界隈である。競争心はそこまでで、自分の関心事を突き詰めることに意識が向いている。発達障害傾向を抱える人間が珍しくない。というより、発達障害傾向の人間があまりにも多いので、特に意識に登らない。興味深いことに彼らの興味や話し方は地域や出身校に限らず似通った傾向を示すのだ。

 東大内のカーストは三軍で固定である。彼らが東大女子と付き合った例はかなり少ない。いるとすれば、相手も同様のオタクだった場合である。

 オタクは一般にコミュ障とされるし、コミュ障と自認してもいるのだが、東大の場合はこの層が非常に分厚いのでむしろ交友関係には困らない印象である。オタクはネットとの親和性が高く、SNSなどで学内の交友関係を深めていることも多い。Xに入り浸っている東大生の多くはオタクが多い。カーストの低さで困難を抱えることが多いのだが、一方で充実した学生生活を送ることも多く、全タイプで最も交友関係が長続きしている印象である。スターとは同じ大学に通っているとは思えないレベルで活動場所も価値観も異なっている。

 オタクの進路だが、あまり就職には強くない。総合商社や外資コンサルなどに進んだ人間は皆無である。保守的なJTCでもこのタイプは明確に嫌われることがある。東大卒を好む日系金融機関であれば就職する者は多い。興味深いことに、理系はもちろん、文系であってもSEになるものがいる。理系就職との相性が良いように思える。いずれにせよ世間的な上昇志向はあまり強くないので、自分軸で生きられるキャリアを選択する傾向がある。おそらく文系総合職との相性がかなり悪いのだろう。

深海魚

人口比:10%
イメージの近い業界:なし
イメージの近い人物:今井(雷獣?)
成績:不可
よく見る学部:傾向なし
よくある進路:塾講師・医学部再受験・自宅勉学その他
よくある出身高校:地方進学校
特徴的なサークル:ノンサー

 大学生活の中で何らかの問題を抱え、落ちこぼれてしまった人々である。深海魚になりやすい人間に傾向はなく、任意のタイプが問題を抱えると深海魚になりうる。オタクと似たような扱いで見られることもあるが、深海魚の場合は交友関係に乏しいことが多い。見た目はむしろイケメンというケースもある。スターとは正反対で、自信の無さと控えめさが特徴である。

 深海魚は発達障害傾向の人間も多いのだが、それ以上にメンタルが弱かったり、他人に優しすぎたりというタイプが多い。地方出身の場合、親元を離れているため、尚更深海魚になりやすい条件が揃っている。途中であまり大学に来なくなることが多く、留年する割合が非常に高い。途中で自信をなくしてしまい、悪循環に陥っている。

 進路の予後は悪く、行方不明になることが多い。塾講師でなんとか食いつないでいる者もいるが、ニートになってしまった者もいる。大学院に進むケースもあるが、問題の先送りにしかなっていないため、むしろ状況が悪化してしまう。

総論

 概ね東大生を6タイプに分類してみた。東大のカーストの特徴としては学業も含めた「スペック」に重きを置くことである。ここでいう陽キャよりもスターの方が存在感があるし、内部でも尊敬されていることが多い。コミュ力も必要だが、中学校のカーストのような面白いことをやる能力はあまり求められておらず、ビジネスマンとして必要な範囲内であれば十分である。容姿に関してはほぼ関係ない。むしろオタクのグループに入るほうが純粋なコミュニケーションの難易度は高い可能性がある。カーストに容姿はほとんど関係ない。オタクだけは独特の雰囲気をはなっていることが多いが、ほかはほとんど見た目ではわからない。深海魚であってもイケメン風の人間は存在する(ただし威圧感や自信の無さという雰囲気面の特徴はある)

 一軍はスターを中心に、エリートや陽キャで構成されている。中学校のカーストと違い、人間関係の輪の中心人物が存在しないのは特徴的である。いわばムクドリの群れに近い。なんとなくメインの集団に所属していた方が有利だろうという本能的なものである。二軍や三軍に関してはそこまで一般的なカーストと変わらないと思われる。ただし、普通の中高では一軍や二軍に所属していたと思われるタイプが深海魚になりうるのはちょっと意外である。

 カーストでは女子については言及が少なくした。確かに女子もカースト分類は可能なのだが、普通のコミュニティと違って男女比が明らかに偏っているため、同性間カーストが未分化なのである。在学中の東大女子は非常にモテるので、本来ならカーストが高いタイプでも余裕でやっていける。実のところ、社会に出ても東大女子はちょっと特殊な立場なので、彼女らは生涯同性間カーストには巻き込まれない可能性が高い。

 東大卒の有名人を例にとって分析しようとも思ったのだが、中間層の人間は有名人になりにくく、サンプルが偏ってしまう。スターやエリートは政治家のような公的空間で出世して有名人になることが多い。興味深いことに政治家には深海魚も一定数存在する。自由業系はオタクか深海魚が多い。陽キャや二軍はそこまで有名人を見出すことはできない。このあたりの層はJTCなどで部長や役員をやっていることが多いと思われるが、そのような生き方では知名度は上がらないのである。

 7番目の区分として「意識高い系」というものも思いついたのだが、東大の場合はこの層の人口はそこまで多くない。後期教養にやたらと多い印象がある。三軍ではないが、一軍とも少し違う。就職先は外資系・政府系金融・ベンチャーが多い。独立して論じられるほどサンプルがいなそうなので、省いた。

まとめ

 今回は東大のカーストについて思い出してみた。筆者がこの考察を行った理由は、東大内部で陽キャとされている集団が世間一般の陽キャと少し違うような気がしたからである。一方、陽キャは超進学校にいたようなタイプとも違う。一番イメージに近いのは外資系にいそうなハイスペ系である。実は筆者はあのタイプが高校時代にどのような生態だったのか、良く分かっていない。大学になって突然現れるような印象を受けた。

  他にも色々な分類が考えられるが、疲れたのでこの辺りにしておく。

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