教師は出世を目指すべきか? #8
ブラック労働を乗り越えて、地方でぬくぬくと高校教師をしているマッスル先生です。学校組織は「鍋蓋構造」といわれ、管理職と言われるのは一般的に「教頭」と「校長」のみです。どんな仕事においても、立場が上になれば給料は増え、意思決定の範囲が広がりますが、それに伴う責任も増します。長い教師人生において出世を目指すべきか、考えをまとめましたので、ぜひ最後までお読みください!
(1)出世にはいくつかのパターンがある
①校内で主任など、何かしらの責任者になる
多くの場合、20代は担任など一般的な業務を担い、30~40代から徐々に何かの主任を任されていくことが多くなります。高校においては、学校組織全般の運営に関わる「教務」、生徒の指導全般に関わる「生徒指導(最近では生徒支援とも言われます」、進路業務全般に関わる「進路指導」、これらの主任が管理職ではないですが、学校組織において重要な役割を担っています。もちろん「学年主任」や「教科主任」など、「主任」「長」と言われる役割はいくつもありますが、特に重要なのが先に述べた3つです。例えば、30代後半で学年主任、40代で教務主任を経験して、50代には教頭として中間管理職になるというパターンがあります。
②教育委員会など、学校外の組織で勤務する
40代で将来の管理職として見込まれた教師の多くは、学校現場から離れます。その中で多いのが、所属する自治体の教育委員会に配属されるケースです。教育委員会には学校全体の予算運営、研修、人事、情報管理など、様々な部署があります。これらの組織で経験を積んだ後、管理職として現場に帰ってくるパターンは非常に多いです。逆に言い換えると、40代で教育委員会に入った人は、ほぼ「出世確定」という認識です。やはり感覚的にも「できる人」が異動しています。
(脱線しますが、現場の教員にとって、教育委員会が決めたことは絶対的なもので、決定事項を覆すことはできません。ただ、学校で何かトラブルがあった時に「教育委員会に通報するぞ」的な脅しがありますが、教育委員会の職員の多くは現場を経験した教員です。状況の聞き取りはあっても、よっぽど教師の言動や学校の対応に問題が無い限り、教育委員会が直接教師を指導するとか、ドラマのようなことはあり得ません。)
③教職大学院、他の自治体との交流など
本人の希望もあって学びたい人は大学院に行くことができます。多くの国立大学には「教職大学院」が設置されています。現場を離れて1~2年大学に通い、管理職になることを見据えて学びます。
また、自治体によって、他の都道府県、高校から中学、特別支援学校に行くなどして、様々な経験を積んで出世するケースもあります。
(2)管理職の責任は重い
①管理職の適性とは?
教師といっても、すべての人が生徒との関わりが上手だとは限りません。逆に生徒は慕っているけれど、小難しいことや事務的な仕事は苦手としている人もいます。生徒には見えづらいですが、事務作業や学校運営に関わる裏方の業務で貢献している先生は多くいます。もちろん、どちらも出来る、完璧なタイプの人もいます。学校は公的である以上、情報漏洩などミスが許されない仕事が多いです。また、対生徒、対保護者とのやりとりでは、常に対応力も求められます。つまり、管理職の適性としては「高い理解力」「正確な作業力」「正しい判断力」を持ち合わせている人が望ましいといえるでしょう。
②管理職になるタイミングは年齢でほぼ決まる
公立学校であれば、40代後半、もしくは50代でようやく教頭職に就けるという認識です。特に高校はそのタイミングが遅いです。ほとんどの場合、教頭を経験して校長になれるので、校長には50代半ばくらいでしかなれないということになります。
③教頭は間違いなく大変である
私が経験する中で、中間管理職である教頭はやはり大変だと感じています。最終決定は校長に委ねられるため、裁量が特別大きい訳ではないですし、現場の教員からの質問、相談、異議などの多くを受け止めなくてはなりません。何かトラブルが発生すれば、対応にも回らなければならないので、非常にストレスの大きい役職ではないかと思います。
④校長の数は学校の数
10の学校があれば10人の校長がいるということになります。規模の大きい学校であれば、教頭が2人配置されていることが多いですが、校長が2人ということはあり得ません。教頭で教師人生を終える人も多くいて、教頭になれても、校長に必ずなれるとは限りません。教頭という、最も苦しい中間管理職の職務を全うしたのにも関わらず、そこで教師人生が終わってしまうというのは、やはり報われないような感じがします。
結論
現時点で、私自身は管理職を目指したいという強い思いはありません(なりたくてもなれるとは限りませんが)。授業や部活動から離れ、学校を取りまとめる教頭、校長という職には憧れを抱かないからです。公務員は年功序列の賃金であることを踏まえると、責任の重さに対して給与が見合っているかも疑問です。ただ、50代を迎えても今と同じように生徒達と向き合い、教壇に立ち続けられるかと言われれば不安もあります。出世を目指すかどうかは別としても、より良い教師であるために自己研鑽は続けていかなければならないと思っています。
まとめ
教師の出世について述べていきましたが、50代以降になっても、生徒達との関わり、授業、部活指導など、教職にやりがいが持てれば、「平」の教諭であっても幸せな教師人生を歩んでいけると信じています。もちろん管理職になることで、学校全体の舵取りができる面白さもきっとあるのでしょう。教師人生をどう生きていくことが幸せなのか、日々考えを巡らせて、最適解を出していきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました!