「難しい」言葉の種類
説明で難しい言葉を使うことの是非が論じられているのを見たので難しい言葉について考えてみようと思う。
「難しい」の種類
まずは難しいの種類として考えられる性質を挙げます。
理解しにくい
意味が複雑
抽象度が高い
知らない、使い慣れていない
古風
横文字
専門的
くらいでしょうか。
使う理由
意味が複雑、抽象度が高い、専門的な言葉
まず話している内容が複雑だったり抽象的だったり専門的だったりする場合に意味が複雑な言葉、抽象度が高い言葉、専門的な言葉を使うのは仕方がないでしょう。
内容を端的に表現しうる言葉を用いるのは思考において極めて重要ですし、相手がその言葉を知っているなら伝えるのも簡潔に済むという利点があります。
ただ相手がその言葉を知らない場合はその言葉をその場で説明するか、ほかの平易な言葉で置き換えるかする必要があります。
相手がその言葉を知らないだろうと予測がつくならほかの言葉を使う方が親切かもしれませんが、相手がその言葉を知っているかどうかが話してみないとわからない場合はとりあえず使ってみるというのは自然なことかと思います。
話している内容が特に複雑でも抽象的でも専門的でもない場合は気取っている、最近知って使ってみたかったなどの理由でしょうか。あまり使う必要はないように感じます。
横文字
まず、その横文字に相当する簡潔な日本語がない場合は仕方がないかと思います。例えばハイコンテクストという概念を横文字を使わずに説明するとなると「コミュニケーションが高度に文脈に依存しているさま」と言わなければならず話者からすると冗長です。
これは先ほどと同じで相手がその言葉を知らないと予測がつくならほかの言葉を使う方がよいかもしれませんが、話してみないと分からないならとりあえず使ってみるというのは自然なことでしょう。
次にその横文字に相当する簡潔な日本語がある場合です。この場合の理由としては普段使い慣れているから、日本語表現よりも言いやすいから、かっこよくて好きだから、何か知的な感じを演出できるから、最近知って使ってみたかったからなどが考えられます。
例えば客観的根拠をエビデンスと言ったり解決策をソリューションと言ったりするのはかっこいい、言いやすい、使い慣れている、知的感が出るという理由が考えられますし、高血圧をハイブラッドプレッシャーと言うのはかっこいいから(と話者が思っている)でしょう。
相手がその言葉を知っていると確信が持てるなら使っても問題ないでしょうが、確信が持てないならなるべく日本語表現を使う方が親切かと思われます。
古風な言葉
まず意味内容的に簡潔な代替表現がない場合は仕方がないでしょう。例えば「有終の美を飾る」というやや古風な言葉は「事を全うし最後も立派な成果を上げる」というような意味ですが、簡潔な代替表現がおそらくありません。これは先ほどと同じで以下略。
また言葉の意味内容は同じだがニュアンスが異なる場合。例えば「無聊を慰める」という表現の意味内容は「暇をつぶす」に相当しますが、もっとしんみりとした文学的趣を孕んでいます。また蒼穹は青空という意味ですが、より詩的な響きを持っています。これは先ほどと同じで以下略。
総括
難しいとされる言葉の種類と使う理由についてまとめてみました。結論としては、簡潔な代替表現がない言葉ならとりあえず使ってみるというのは自然なことであり、簡潔な代替表現があるならより一般的に認知されている方を使うのが親切であるというところでしょうか。
説明の分かりやすさについては使う言葉だけによるものではないのでまた別のところで考えたいと思います。