気晴らしに映画館へ
しばらく鬱々として無気力な状態が続いていたので、気晴らしに映画館へでかけた。
自宅から映画館までは徒歩50分。歩行障害を発症する前は30分もあれば充分だった。
「ゆっくりしか歩けなくてごめんね」
不自由と迷惑をかけている申し訳なさから、夫に何度も何度も「ごめんね」を伝える。夫も私のペースに合わせてゆっくり歩いてくれる。でも、夫が気を抜くと、夫のペースでスタスタ先へ進んでしまう。
「うっかり自分のペースで歩いてた。ごめんね」と、また私のペースに合わせてくれる。
映画のまえに大型ショッピングモールでお買物。
ピカピカに磨き上げられたツルツルの床面。
歩行障害のわたしにとって、ツルツルの床面はとてつもなく歩きづらい。コンクリートのように凹凸がないので、足を踏みだすのにとても力がいる。健康なときは床面の材質なんて考えたこともなかった。
わたしの歩き方を 高齢のご婦人がじっと見ていたことを夫が伝えてきた。
わたしは夫にこう言った。
「きっと心配してくれているんだね。必ず治るから心配しないでくださいね、って伝えたいね」
もしかすると、そのご婦人は好奇な目を向けていたのもしれない。
でも、これ以上夫にみじめな想いをさせたくないから、とっさにこのような言葉が出てしまった。
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