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齋藤元彦知事について、兵庫県民が思うこと~「兵庫県民は知事のパワハラ・おねだり問題に興味がない!?」~
はじめに
兵庫県知事問題について、兵庫県民から見た感想的なのを書きたくなったので書きました。
※大前提として、この文章は特定の人・政党を支持するものではないです。
ここ数週間、全国のワイドショーにて兵庫県知事の進退が取り上げられています。
一人の県民の率直な感想として、ここまでうちの県知事が注目されていることに驚いています。
といいますのも、兵庫県において県庁や県知事は、他都道府県と比べて圧倒的に影が薄い傾向にあるのです……
・多民族国家・ヒョーゴスラビア連邦
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数年前、ネット上にて兵庫県のバラバラ具合をユーゴスラビアにたとえて、「ヒョーゴスラビア」というユーモラスな言葉が広まりました。この言葉は、兵庫県の地域ごとの独自性や、まるで一つの国ではなくいくつもの小国が集まったような状況を指して使われました。
神戸市は港町としての華やかさと都会的な雰囲気を持ち、明石市は明石焼き(たこ焼きの元祖)や子午線で知られ、姫路市には世界遺産の姫路城、赤穂市には赤穂浪士で有名な赤穂城跡があります。三田や尼崎は大阪のベッドタウンである一方で、淡路島などの地域は、都市部とはまた異なる自然や農業、漁業を基盤とした生活文化が色濃く残っており、兵庫県のどの地域に住んでいるかで、生活スタイルや価値観も大きく異なります。
(気候も大きく異なっていて日本海側は豪雪地帯である一方で、瀬戸内海側は雨の少ない穏やかな気候と、兵庫県内で北日本と南日本が共存しているような状態です)
ヒョーゴスラビアは造語ではありますが、私が思うにヒョーゴスラビアは兵庫県の状況を表すにかなり適切な言葉であると思います。 兵庫県は、いわば多民族国家のように、地域ごとに個性が強く、共通のアイデンティティを持つのが難しい県なのです。
この個性の強さや、共通のアイデンティティが存在しないことは、政治の側面にも大きな影響を与えています。
・目立たない県知事選と、大注目の市長選
兵庫県の各地域はそれぞれが異なる課題やニーズを抱えています。
県知事には、県全体をまとめるリーダーシップを求められていますが、ここまで多様な文化を持つ兵庫県の各地域の声をバランスよく汲み取り、県全体の発展を図るのは他府県と比較しても容易ではないです。
では、県庁や県知事が解決するのが困難なこれら課題やニーズを誰が満たすのか?
兵庫県において、県庁や県知事が目立たず、地域のニーズや課題に対処するのが難しい状況において、実際にその役割を果たしているのは、各市の市長です。
特に、神戸市や姫路市、明石市などの大きな市では、市長が強いリーダーシップを発揮し、地域の発展や課題解決に向けた具体的なアクションを取っています。
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私は過去に2回ほどお話しする機会があったのですが、めちゃめちゃ話が論理的かつ分かりやすくて感動しました。
代表的な例として挙げられるのが、前明石市長の泉房穂氏です。彼は特に子育て支援や福祉政策に注力し、「子育てしやすい町」を目指して大胆な改革を行いました。例えば、子どもの医療費無料化や保育施設の充実、おむつ定期便など、数々の施策が市民の生活を直接的に改善し、結果子供の数が増加したことで、全国的にも大いに注目を集めました。
他にも、兵庫県には(良い意味で)癖の強い市長が多いです。
例えば、灘高校、東大、ハーバード大を経て史上最年少の26歳にて芦屋市長に当選した高島崚輔氏。
同様に東大、ハーバード大学院卒業の加古川市長の岡田康裕氏。
先日、三宮周辺のタワマン規制や高校生以下の通学定期無償化でも話題になりました、3期にわたって政令指定都市の神戸市を率いる久元喜造氏、などなど……
泉氏のように、市長が地域のニーズに応じた実効性のある政策を迅速に打ち出すことで、市の働きぶりが注目を集める一方、兵庫県全体を統括する県知事や県庁の影はますます薄くなるという構図が生まれています。
実際、泉氏の子育て政策が注目されて以降、とりわけ播州地域(明石市より西の方)を中心に市単位で明石の子育て政策を導入し広く普及するようになりましたが、その一方兵庫県の政策は全く注目されませんでした、
このように、兵庫県では、市の課題は市で解決するという意識が根付き、市長選が大きな注目を浴びる一方で、県知事選はあまり関心を引かないのが現実です。
(余談:今では目立たない兵庫県ですが、昔はとある政策について大々的に推進していました。とある政策……それは、旧優生保護法です。ダメだこりゃ)
・5期20年という前知事の長期政権
兵庫県民は県知事選に関心はありません。
その傾向は特にZ世代で顕著です。
前任である井戸敏三氏は、なんと5期20年にわたり知事職を務めました。
この長期政権は、県知事選への関心の低さをある意味象徴するものでしょう。井戸氏の在任中、県民の多くは「安定感」と「継続性」に満足していたため、知事選が大きな話題になることはほとんどありませんでした。県政の停滞感や大きな変革が必要とされていないという認識が広がっていたため、新しい風を求める声は少なく、結果として選挙自体が無関心のまま進行することが常態化していたのです。
Z世代からすれば、幼い頃、あるいは生まれる前から、ずっと同じ人が県知事であり続けていたという現実は、彼らにとって「県知事」という存在が非常に遠く、固定化されたものであるという印象を強めています。
実際筆者もZ世代ですが、同世代を話をしていても知事に注目している人は(例のパワハラ・おねだり疑惑以前では)ほとんど皆無であり、なんなら2021年に知事が変わったことを知らなかった人もたくさんいました。
井戸氏が長期政権を維持している間、県民生活に目立った混乱や大きな問題が生じていなかったため、特に若い世代は県政に対して積極的な関心を抱くことなく、もはや存在すら忘れて日常生活を過ごしてきたのです。
・斎藤氏の登場
2021年、20年にわたって知事を務められた井戸氏が退任され、新しい兵庫県知事を決める兵庫県知事選挙が行われ、現職の斎藤知事が当選しました。
元副知事で井戸氏の後継であった方が選ばれるのだろうなぁと勝手に思っていた私は、選挙結果を聞いた当時、維新の斎藤知事が当選したことに大変驚きました。
でも今思い返せば、斎藤知事が当選したことは起こるべくして起きたことだと思います。その理由は3つあります。
①長期政権後の閉塞感と、斎藤知事の若さ
これはいつの時代でも起きてしまうのですが、やはり長期政権の後には、県民は政治に対して閉塞感を感じるものです。井戸氏の20年間の政権は、安定していたものの、新しい風や改革を求める声が徐々に高まっていました。
斎藤元彦氏が当選した背景には、その若さと、新しい視点を持ち込むリーダーとしての期待が大きかったのです。斎藤氏は、40代と他の候補者に比べて若く、若い世代にもアピールできる候補者として注目されました。
②わかりやすい公約とメディア露出
県知事選には斎藤氏は公約は、大きく注目されました。
特に関西のメディアで大注目を浴びたのは、『前知事が公用車として使用していた高級車「センチュリー」を解約する』という公約です。(パワーワードすぎる)
斉藤知事は当選後、実際に「センチュリー」から「アルフォード」に乗り換えたことで、リース費用を1/3にしました。他にも退職金の減額など維新らしい身を切る改革が大きく注目されました。
↓youtubeで100万再生超えされるなど、本当に大注目でした。
③関西の吉村大阪知事フィーバー
私的には、これは一番デカかったのではないかと思います。
同じ維新の会に所属する吉村洋文大阪府知事の人気が、斎藤氏の追い風となりました。関西圏(とりわけ大阪)では維新の改革姿勢が強く支持されています。
2021年といえばコロナがまだ流行していた時期。コロナ禍において、全国的に吉村知事のカリスマ性が注目を集めていた時期です。その吉村氏が応援する若い維新の候補者である斎藤氏には、結果として多くの県民が変革の象徴として期待を寄せたのです。
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このように、斎藤元彦氏が兵庫県知事に当選した背景には、時代の流れや改革への期待が強く反映されていたのでした。
「兵庫県民は斎藤知事のパワハラ・おねだり問題に興味がない!?」
冒頭にも述べましたが、兵庫”県”がこのような形で注目を浴びていることに、大半の県民は戸惑っています。
このパワハラ・おねだり問題は、知事の公私にわたる振る舞いに疑問を呈する内容であり、全国のワイドショーで連日取り上げられるようになりました。
特に、県知事という立場にある人物が自身の権力を利用して周囲に不適切な要求をしたのではないかという疑惑が浮上し、自殺者も出ていることからも、兵庫県民の間でも斉藤知事に対して否定的な論調となっています。
現在、不信任決議や議会の解散などが取り沙汰されていますが、ここで問題となってくるのは、主権者である県民の関心です。
・兵庫県民に果たして当事者意識があるのか?
この問題を通じて、兵庫県民が初めて県知事に注目するという状況が生まれました。これまで、県政への無関心が目立っていた県民も、パワハラ疑惑が報道されることで、斎藤知事や兵庫県の政治に対する興味を持つようになったのです。しかし、この関心が一過性のものになるのか、それとも県政に対する真剣な議論が続くのかは、正直なところ怪しいなと私は考えています。
なぜなら、兵庫県民は他都道府県に比べて『県』に対しての帰属意識が乏しいからです。
先にも述べましたが、兵庫県はヒョーゴスラビア連邦と喩えられるほど、地域ごとの文化の差がはっきりとしています。
『神戸市民は自己紹介で兵庫出身ではなく神戸出身と言う』『尼崎の人は大阪府に帰属意識がある』等々、(県内では)有名なこれらエピソードも、兵庫県民の地域性の強さを象徴しています。
もっとも、兵庫県民だって今回の問題が、いかに県政及び人道的な観点からして大問題であることは理解しています。
しかし、多くの県民にとって、今回の県知事や県政の問題は『兵庫県様が起こしており、自分たちの地域には関係無い』という風に、どこか他人事と捉えてしまっているのが現状です。
県庁所在地である神戸市の市民ですら、当事者意識を持っていることは少ないと思います。(神戸市は政令指定都市の中でもとりわけ独自性が強く、多くの市民は市単位での独立意識を持っています)
今回の騒動が、県政に対する意識を変える契機となるかもしれません。
私も一人の県民として、見守っていきたいと思います。
あと、これは勝手な予想なのですが、泉さんが次の知事(または県議会)選挙で動くかどうかで、情勢が一変すると考えてます。
はたしてどうなることやら……
まとめ
・兵庫県は実質多民族国家で、ここ数年は県知事よりも市長の方が注目されてきた。
・兵庫県民は今回の問題を深刻に受け止めているものの、『県民』意識が乏しいため、他人事のように感じている!
・兵庫県民がこの問題をキッカケに、県政に対する意識が変化するかが重要!
最後に
ここまで読んでくださりありがとうございました。
あくまでもこの文章は、私個人の意見に基づくものであり、兵庫県民の総意ではないことをご留意ください。