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さよならカプセルタワービル

現存する日本最古の民家は、兵庫県にある箱木家住宅らしい。室町時代に建てられ、その後改築をしながらダム建設で移設される1977年まで(400年以上?)住宅として使われたようだ。
そんな稀有な例は別として、住宅の寿命は50〜60年くらいだろうか。名建築と言われながらも、取り壊されてしまう住宅はたくさんある(住宅に限った話ではないが)。

黒川紀章が設計したメタボリズム建築の代表作、中銀カプセルタワービルも2022年に取壊しが予定されている。新橋駅からもほど近い銀座にある丸窓の付いた白い箱がいくつも積み上げられた建物だ。
内部見学会なども開催されているらしいが、解体されるという話もあってか、予約枠も埋まっているようだ。

でも一度内観も見てみたい。
そう思い立って降り立ったのは京浜東北線北浦和駅。

まずは腹ごしらえと思い、さいたまのソウルフードであるスタミナラーメン、スタカレーを提供する娘々に向かう。しかし、15人ほどの行列。コロナ終息は嬉しいことだが、混雑や行列が復活するは残念でならない。入店を諦めて、気になっていた豚骨ラーメン屋へ。久留米の風を感じる濃厚な一杯で結果正解だった。
そのラーメン屋さんからもほど近い北浦和公園には埼玉県立近代美術館がある。
エントランスを囲う格子状の構造物が特徴的なこちらの建物は、黒川紀章設計。



そんな縁もあってか公園内には、中銀カプセルタワービルのモデルハウスとして活用されていたカプセルが放置もとい屋外展示されている。

残念ながら鍵がかかっているので窓とドアから覗き込むことしかできないが、必要最低限の機能がギュッと詰まった空間は、今見ても斬新で未来的だ。


しかし、広場にポツンと1つだけカプセルが置かれている光景は寂しいし、強烈に惹かれるモノもない。いくつものカプセルが積み上げられたあの集合体としてビルが魅了なのだと感じた。

なんとかして解体前に、ホンモノに訪問したいな。

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