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ありのままを生きること〜ルチアのラスール物語〜

第14話 緊急事態宣言で生活が一変

母が脳梗塞で倒れたのが3月後半のこと。
母の入院の対応に追われていたその頃、緊急事態宣言が発令された。
病院の現場も混乱していて話が2転3転する。最初のうちは、入れた病室もすぐさま入れなくなり、着替えを届けに行っても母の顔を見ることができなくなった。

当たり前の日常が当たり前でなくなった。

あれから3年経った今では、当たり前でなかったことが当たり前になっている。マスク生活で人の顔や表情が見えない生活。気楽なおしゃべりを咎められる毎日・・・

介護や看護が必要な人に会えない生活と限られた専門職の人たちが疲弊している姿を目の当たりにした。

パートで勤めていたインテリアショップも営業休止で休みとなった。唯一外に出るのは、母の着替えを届けに病院へ行くときだった。

生まれ育った板橋の石神井川沿いの桜はとても見事に咲き誇っているのに人の気配は殆どなかった。その桜の美しさと目の前の現実とのギャップになんとも言えない虚しさを感じたことだけ鮮明に覚えている。

そんな、介護生活の入り口に差し掛かりコロナでのロックダウン。
やっと見つけた本当にやりたいことへのはじめの1歩であるラスール認定に向けてのスタートを切ったばかり。
これから講座に入って実践的に学んでいくスケジュールがガタガタ音を立てて崩れていく様だった。

コネクションプラクティスの講座は対面で行うことになっている。
なのに、ロックダウンで人が集まって講座を開くことができなくなってしまった。

そんな中、マスターラスール(ラスールを認定するラスール)や先輩ラスールが試行錯誤を重ねてオンラインでも開催できるようにと様々な工夫をしてくれたおかげでオンラインでの開催ができる様になった。

私は自分専用のパソコンを持っていない。いわゆるIT音痴だ。家族からも「お母さんが触ったら壊れるから触っちゃダメ」と触らせてもらえないほどだった。

今まで、オンラインの講座や仲間とのzoomでの練習は全てスマホで行っていた。小さな画面に見えるのは自分以外に3人。画面も小さいからあまりよくは見えない。
家族のパソコンをなんとか広げてzoomに入る様になった。

衝撃だった!

みんな、こんなに大きな画面で見えていたなんて!急に恥ずかしくなってきた(笑)夜の講座では、お風呂上がりにパジャマで参加していたけど、みんなこんなにはっきり大きく見えていたなんて・・・

見えていないのは自分だけでみんなから丸見え状態なことにその時ようやく気がついた。もう諦めるしかない。済んだことを悔やんでも仕方がない。開き直っていた。

それほど、何にも知らないまま、学びたいだけの一心で食らいつくように学んでいた。

今思うと、仕事が休みだったことはその当時の私には非常にラッキーだったと思う。病院との行き来や様々な対応をしながら、学ぶのにここに仕事が入ってきたら到底学ぶことなど出来ずに諦めざるを得なかっただろう。

ラスールを目指した直後の母の脳梗塞。その後にコロナでのロックダウンで生活も環境も一変する中、打ちひしがれながらも一筋の光を見つけては進んでいたことを今振り返って気付かされている。

次回へ続く

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