韓国語#05. チヂミを韓国では 부침개(ブッチンゲ)または 전(ジョン)と言います
チヂミといえば韓国の代表的な料理です。家庭で作ることも多いですし、旧暦の8月15日に行われる秋夕(추석/チュソク)の名節では必ずいただく定番料理です。
今日はそんなチヂミに関する韓国語ついてお話ししたいと思います。
韓国ではあまり聞かない「チヂミ」という言葉
韓国に来てしばらくすると、あることに気がづきました。
今までの経験上、韓国の人が「チヂミ」という言葉を使っているケースはひとつだけでした。それは、日本人に説明するときです。
韓国でのチヂミの呼び名
それでは、韓国ではチヂミを何と呼んでいるのでしょう。
疑問1.なぜ日本ではチヂミと呼ぶのか。
それなのに、なぜ日本ではチヂミと呼んでいるのでしょうか。
チヂミは 지지다(チヂダ)という動詞から来ています。
この動詞を名詞の形に変換すると、지짐이(チヂミ)になります。
最初にこれを見たときは、2や3の意味から来た言葉なのだろうと思っていましたが、지짐이 という単語を標準国語大辞典で調べると、こんな説明がされていました。
え、全く違う料理がふたつ。
2があるからいいじゃないかと思うかもしれませんが、一般的にはチヂミという料理は1のことを指すそうで、2のチヂミは江原道や慶尚道の一部で使われている方言だそうです。
そうなんです。詰まるところ、色々と調べた結果、江原道や慶尚道の一部では方言としてブッチンゲをチヂミと呼んでいて、その地方出身の方が日本に来てチヂミを広めたというのが最も有力な説だそうです。
興味深いことに、日本に来た韓国の人も「なぜ日本で、韓国の方言である『チヂミ』という言葉が標準語のように使われているのだろう」と不思議に思うことがあるそうです。そりゃそうだ。
疑問2.부침개(ブッチンゲ)と 전(ジョン)の違いは何なのか
ここからは、부침개 と 전 の違いについて見ていきたいと思います。
両方ともチヂミのことを指しますが、何かしらの違いがあるから、ふたつの名称があるはずです。
◆부침개(ブッチンゲ)
부침개 は부치다(ブチダ)という動詞から来ています。
これを見ると、チヂミに 부침개 という名称を使うのも理解できます。
標準韓国語辞書では、부침개 を次のように説明しています。
부침개 は、様々なやきもの料理の総称のようです。
◆전(ジョン)
それでは、전 とは何なのでしょうか。
전 は漢字で書くと「煎」になります。せんべいの「煎」ですね。
標準韓国語辞書では、전をこう説明しています。
なるほど、分かるようで分からない(笑)
ただ、부침개 に含まれる料理のひとつが 전 と言える気がします。
전 の一番の特徴は、おそらくこれでしょう。
実際に料理を見てみると、よく分かります。
こちらはタラと海老のジョン(동태새우전)です。確かに、形はそのままで焼いています。
ジョンの盛り合わせ(모둠전)です。
薄切りにしたエリンギ、しいたけ、エホバク(※)、タラの白身に小麦粉をまぶし、卵につけて焼いています。
その他にも、ミンチにしたお肉を団子状にして焼いたもの、ミンチを詰めた青とうがらし、ミンチをエゴマの葉っぱで包んで焼いたものが盛られています。また、一番奥にあるのはハム、ネギ、カニカマを串にさして、卵を付けて焼いたものです。
(※)エホバクとは、ズッキーニ似たウリ科カボチャ属の野菜で、韓国料理には欠かせない食材です。
전(ジョン)と名が付くチヂミ料理
ややこしい 부침개 と 전 ですが、お店のメニューで使われているチヂミの名称は「전(ジョン)」を使うことが多いように思います。
ということで、最後に 전 の種類をいくつかご紹介したいと思います。
どれもこれもおいしいです。
해물파전(へムルパジョン):海鮮とネギのチヂミ
호박전(ホバクジョン):エホバクのチヂミ
호박해물파전(ホバクへムルパジョン):エホバクと海鮮とネギのチヂミ
감자전(カムジャジョン):ジャガイモのチヂミ
◆◆◆
韓国では、チヂミを焼いているときの音は雨音に似ているといわれ、雨の降る日はこんな会話を耳にします。
ではでは、今日はこの辺で😊
どろん。