白麟済家屋~無料で楽しめる近代様式の韓国伝統家屋~
安国駅から北村韓屋村(북촌한옥마을)に行く前は、あてもなく気の向くままにぶらぶらしていました。
入ったことのない細い道を行くも大した成果は得られず、それでも諦めずにまた次の小道へ。移動範囲はそれほど広くなかったと思います。
すると突然、広い駐車場の先に、なんだか格式の高そうな伝統家屋が現れました。しかも、外国人観光客が何組も出入りしているではありませんか。これは行くしかないでしょう。
白麟済家屋(백인제가옥)
白麟済家屋(백인제가옥)は、地下鉄3号線安国駅2番出口から徒歩10分弱の場所に位置します。
1913年に漢城銀行の専務を務めた韓相龍(한상룡)氏によって建設され、1928年まで所有していました。その後は漢城銀行、民族言論史に重要な足跡を残した崔善益(최선익)氏などの手に渡り、1977年~1968年までは家屋の名称にもなっている韓国医学界の第一人者だった白麟済氏が所有します。
白麟済家屋は、日本の植民地時代に黒松を使用して造られた韓屋(※)で、伝統的な優美さを維持しつつも近代性を取り入れているのが特徴です。その建築的・歴史的価値から、1977年にはソウル特別市の民俗文化財第22号に登録されています。
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◆大門間(대문간채)
白麟済家屋は、北村(복촌)嘉会洞(가회동)の高台に位置します。
階段を上り振り返ると、南山タワーがはっきりと見えました。当時は周囲を一望できただろうことがよく分かります。
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◆中門間(중문간채)
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◆家族の生活空間(안채)
広々とした中庭を囲むこの建物はアンチェ(안채)と呼ばれ、女性を中心とする家族の生活空間として使用されました。
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◆主人専用の舎廊(사랑채)
男主人の生活空間である舎廊をサランチェ(사랑채)と呼びます。書斎としての役割だけでなく、来客を招いたりと社交場としても活用されました。
それまでの韓屋ではアンチェとサランチェは別棟として建てられ、明確に区分されていました。白麟済家屋では2つの空間は廊下で繋がっており、外に出なくても自由に行き来できるのが特徴です。
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◆別堂(별당채)と景色
2,460㎡の敷地内で最も高い場所に位置するのが別堂(별당채)で、自然に囲まれた鮮麗な景色を楽します。
個人的には、静寂に包まれこじんまりとしたこの別堂が一番好きでした。
清らかな空気にサラサラと葉の揺れる音。隣のもみじを見上げれば、紅葉の季節がすぐそこまでやって来ていることを伝えてくれます。樹々の間から垣間見える見慣れたソウルの街並みも、いつも以上に美しく映りました。
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◆ハンアリ(항아리)と台所(부엌)
ハンアリ(항아리)と呼ばれる壺は、韓国料理に欠かせない醤油やテンジャン、コチュジャンなどを作る際に使用します。
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白麟済家屋は、無料とは思えないほど見応えのある韓屋でした。
朝鮮時代から続く伝統家屋に近代化と日本文化の影響を受けた建築構造は独特で、なかなか興味深かったです。ちょっとだけ、ちょっとだけね、賢くなった気分。