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韓国語#18.マンションとアパート
外国語を勉強している際に知っている言葉に出逢うと、嬉しいものです。理由は至極単純で、新たに覚えなくてもいいから。
頭に入って来ては、元気よく滑り台を滑り落ちる子どものように勢いよく飛び出していく「覚えたはずの」単語たち。忘れたと気づいた時には時すでに遅しです。だって、あの子たちはもう、そこに居ないのですから・・・。
母国語に似ているって良いよね
言わずもがな、言語学的に似通っている言語同士は学びやすいです。その点では、多くの方がご存じの通り、日本人にとって最も学びやすい外国語は韓国語といえるでしょう。
文法はごく一部を除くとほぼ同じで、また互いに大多数の単語は漢字から来ていることもあり、慣れてくると、知らない単語でも音を聞いただけで、「おそらくこの漢字だな。ってことは、この単語か」と、推測できるようになります。
つまり何を言いたいかというと、母国語に似ている外国語って良いよねということです。
◆◆
マンションとアパート問題
しかし、母国語に近い外国語の学習にあるのは、メリットだけではありません。時間とともに、似ているからこその弊害にも直面するようになるのです。
個人的に、見事なまでにその枠にすっぽりとハマったのが、マンションとアパートでした。
韓国でも「マンション(맨션)」と「アパート(아파트)」という言葉を使います。ちなみにアパートは英単語の apartment から来ていますが、日本同様、韓国でもアパートをアパートメント(아파트먼트)と呼ぶことは少ないです。無論、使っても問題はありませんが。
맨션(メンション):マンション
아파트(アパトゥ):アパート
使い方も似ています。
日本では高層マンションやタワーマンションのように、鉄筋コンクリートの高い建物に対してマンションを使い、2~3階建ての比較的低い共同住宅をアパートと呼ぶと思います。
韓国語のマンションとアパートも住宅が入った建物に対して使うのですが、ややこしい、いや、少々面倒くさいのが、韓国語では逆の意味を指すという点です。
つまり、
(日本語で)アパート→(韓国語では)マンション
(日本語で)マンション→(韓国語では)アパート
ということです。
![](https://assets.st-note.com/img/1651720112988-vgUWYukPkE.jpg?width=1200)
この微妙な、でもはっきりとした違いを、私は韓国に来るまで全く知りませんでした。両方とも知っている単語ということで、わざわざ使い方を調べるようなこともしませんでしたし、気にすらしていませんでした。
しかし、語学を習得するには経験が重要だというのはまさにその通りで、少しずつおかしいぞと気づいてきます。
ん~・・・みんなマンションのこと、アパートって言ってるねぇ・・・。
だから、友人に訊いてみました。すると、「うん、あれはアパート。マンションはもっと低い建物のことよ」と言うのです。
やっぱりか~。
ということで、それからは私もマンションを「アパート」、アパートを「マンション」と言うようになるのですが、これがまたしっくりこないったらありゃしない。「アパート」と言う度に聞こえてくるのは、「あれはマンションだよね。仕方ないからアパートって言ってあげるけどさ・・・」という心の呟き。
なんともまあ使い心地の悪い言葉だこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1651720294831-5lxQM857ms.jpg?width=1200)
◆◆
慣れた先にやって来るもの
それでも、使っていると慣れてくるものです。
しばらくすると、高層住宅を見ても「アパートが増えたなあ」と思うようになりますし、「〇〇アパートの前の道を右に曲がって・・・」と言われても、全く違和感はありません。
が、しかし、ここで新たな問題が発生します。
今度は日本に帰ると、マンションがアパートに見えてしまうのです。気を緩めると、ついつい出てくる「ア」という頭文字。とっさにバレないようにと思った結果、「あ~の、マンション」という変なイントネーションの言葉を使ってしまう始末・・・。
どうでもいいことだけど、とってもちっちゃなことだけど、予期していなかった母国語への弊害です。
マンションとアパートというコングリッシュ(Konglish)に振り回される日本語脳。海外にいると否が応でも日本語に触れる機会が減り、日本語力が向上しないどころか幼稚になっていくというのに、なんてこったい。
![](https://assets.st-note.com/img/1651720501533-wHI671UoAq.jpg?width=1200)
◆◆◆
しかし、さらにそんな時期すらも過ぎ去ってしまうと、今度は間違えようがどうしようが気にならなくなります。伝わりゃいいじゃん、という境地。見方を変えれば、「伝わってるのに文句あっか、ぇえ!?」という逆切れの世界。
ということで、結論としては、韓国ではマンションとアパートは逆の意味で使われるよ、そして、間違って使ってもコミュニケーションに深刻な亀裂が生まれるわけではないから、特に気にする必要はないよ、という話です。
ご精読いただき、ありがとうございました。