済州島旅行#04.すてきな道立美術館で出逢った画家コ・ヨンマン
前回の済州道立美術館の続きです。
済州の芸術文化を支援する道立美術館。
2022年からは毎年テーマを変えながら済州芸術の発展に寄与したアーティストを紹介し、現代美術の多様性を伝える「제주 작가 마씀」を開催しています。제주 작가 마씀 とは済州島の表現で「済州の作家です」という意味なのだとか。
2024年のテーマは、西洋画家のコ・ヨンマン(고영만)画伯です。
企画展「コ・ヨンマンが歩んできた道」では、画伯独自の作品世界と芸術感性、そして済州の地だからこそ生み出された表現を辿ります。
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済州の作家です:コ・ヨンマンが歩んできた道
◆コ・ヨンマン
日帝時代の1936年に済州島で生まれたコ・ヨンマンは幼い頃から絵を描くのが好きで、済州島四・三事件や朝鮮戦争という悲惨で過酷な状況下でも、画家になるという夢を抱きながら育ちます。
その後、1955年には第1回済州美術協会の展示に作品を出展し、1957年には「コ・ヨンマンとキム・テクファの西洋画二人展」を開催。1976年には初めての個展を開き、その後も様々な展示会に作品を出展します。
また、コ画伯は小学校の教師を14年、中学校の美術教師を25年勤める傍ら、独自の表現方法を追求。済州美術の発展に貢献しました。
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◆自然
済州の美しい風景と環境汚染に対する懸念を、画伯ならではの表現方法で描き上げました。
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◆済州神話
朝鮮半島には古くからムダン(무당)と呼ばれるシャーマニズムが存在します。済州ではこれをシンバン(심방)と呼び、コ画伯はシンバンによって語られる神々の姿を自身の視点から分析、表現しました。
その表現というのが、神の瞳を二重に描くこと。
これにより「人間の姿をしているものの、これは神の存在である」と表現したかったのだとか。確かに、シンバンの儀式に参加している人々の目とは異なります。
おもしろい表現だなあと思いつつ、個人的には見た瞬間からくらくらして吐き気がするので、ちょっと苦手。好きなのに、じっくり観れないから残念だわ~。
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◆生命・共存
自然主義的感性と生命の価値を、裁縫技術とナイフのタッチで表現した作品です。
鮮やかな色づかいと美しいグラデーション。特に、細い線で表現する独特な手法に惹かれました。調和があって、とっても美しい・・・。
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済州道立美術館にはカフェも併設されています。
ゆっくりと作品を鑑賞し、自然を眺めながらのんびりコーヒーを楽しむのもおすすめ。ヒーリングに最適の美術館でした。