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美容整形の話の続き

 前回は韓国の美容整形について書きましたが、今回もその続きです。

 実は前回の記事で美容整形について書いたのは、これから話す内容を書きたかったからなのです。ただ、前置きにちょっと統計でも見てみようと思い調べていると、忘れていたはずの記憶が芋づる式によみがえり、それをつづっていたら、結局本題に入ることなく終わってしまったという。おかげで、大学院時代の韓国人クラスメイトの話が書けたので良かったですが・・・。


 ーー数年前の話です。

 学生を終えた私はソウルのとある機関で働いていました。

 その日は、同僚の中国人と韓国人の3人で明洞にあるロッテデパートへ買い出しに行きました。免税店が併設されているデパート内は、人、人、人。平日の午前中でしたが、とにかく観光客だらけです。そして、そのほぼ全員が中国人のようでした。店員の方々も、韓国語より中国語の方が通じます。そう、私たちは知らぬ間に中国へ来てしまったようです。

 さっき通った扉は「どこでもドア」だったかな?

 それでも、息苦しい事務所を飛び出してのデパートは天国かと思うくらいに開放感あふれる世界です。必要なモノを買う前に、お互いに好きなお店を見ては自由に過ごしていました。


 しばらくすると、口をあんぐり開けた状態で突っ立っている同僚(中)に気づきました。

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 私は彼女に近寄り、「え? なになになに? なにか見つけたの?」と、その目線の先を見てみるとーー。

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 そこには、顔中をガーゼで覆われた4,50代くらいの女性がショッピングをしていました。鼻はテープでしっかりと固定され、サングラスを掛けてはいますが、隙間から見える目元は真っ赤に腫れ上がっています。目だけではありません。とにかく顔全体が腫れ上がり、気のせいか、ガーゼは所々血がにじんでいるようにも見えました。


 たった今、手術してきましたか?


 目を背けたくなるほどの痛々しい光景です。それなのに、とにかく不思議すぎて、ついつい凝視してしまうのです。

 そんな私たちのもとへ、韓国人の同僚も笑顔でやって来ました。

「なになに? 何かおもしろいものでも見つけたの?」


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 どれだけこちらが驚いても、当の本人はいたって普通です。一緒に来たのだろう友人とふたりで買い物を楽しんでいます。

 何が驚きって、私たち3人以外この場にいる誰も驚いていないことです。商品を手に取る彼女に、店員さんも積極的に説明しては、ここぞとばかりに別の商品もおすすめします。突然、異世界に放り込まれたような気分です。彼女の姿と周りの状況があまりにもかけ離れているため、頭の整理が付きません。

 話し声から、中国人であることが分かりました。
 ここでまず、同僚(中)が口を開きます。

(中)「怖い」
(私)「怖いよね!? 怖いよね!?!? あの状態で出てきて大丈夫?」
(韓)「すっごく痛そうだけど、痛くないのかな???」

 同僚(中)曰く、ここ数年、美容整形のために韓国に来る中国人が増えているとのことでした。美容整形と一緒になった観光ツアーも多く企画され、その場合は買い物ができる日程も決まってるため、彼女はこのタイミングを逃すと買い物ができなくなると思い、あの状態でも来たのではないかということでした。

 それなら友達に頼めばいいのになんて思ってしまいがちですが、そういうことではないようです。それほどまでにショッピングは重要なのです。特に買い物好きにとっては、自分の目で見て買うのが醍醐味です。また、ソウルに旅行に行くとなると、家族や友人からも色々なものを買ってきてと頼まれるそうです。そう、それらをきちんと買って帰る責任があるのです。


(中)「でも、あれはまだ出てきちゃ駄目だよね。怖いね、あの中国人」
(私)&(韓)「うん、怖い」


◆◆◆


  衝撃的な出来事でしたが、後で感じたことがあります。もし、あの光景を自分ひとり、または、日本人だけで見ていたら、「韓国って変なところ」「中国人はおかしい」なんていう結論で終わっていたかもしれません。

 でも、美容整形が身近な韓国で起きたあの光景はやはり韓国人にも驚きで、中国人の行動といえど同じ中国人にとっても理解しがたいものだったのです。

「これだから韓国人は・・・」
「これだから中国人は・・・」
「これだから外国人は・・・」

 なんて、その国のすべての人がそうだとでも言うように、簡単に一括りにしてしまいがちですが、やはりそれは良くないよなと改めて実感した出来事でもありました。


ではでは😊

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